紙の本
五月革命
2023/01/24 13:51
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
五月革命、それはヴィアゼムスキーとゴダールにとって最高潮に高揚した瞬間であり、また崩壊の始まりでもあったのだろう。映画『グッバイ・ゴダール』は無視して構わないが、小説はあんな薄っぺらなだけのものではない。
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彼女は素敵な女性だよなあ。女性ならではのしなやかさがあり、男性的な好奇心と勇気、子供のような歪んでいない素直な眼差し。それに対してゴダールのちっささ。若くて綺麗な彼女を常に傍に置いておきたい。叶わないなら彼女にも周りにも癇癪。結局彼女の外見ほど中身を重要視してなかったと思う。彼女はまだ二十歳でどんどん新しい出逢いが起こる。その度に嫉妬を露に。本編はエッセイどころか、私生活そのものが赤裸々に隠さず書かれている。その時代を生きた映画製作に関わる生きた歴史が書かれてるので、その辺が好きな人は読むべし。
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すぐに感情を爆破させてしまう四十手前の大人気ないゴダールと、若さの持つ気ままさゆえに他者への気遣いをそれほど客観視できない、自由を希求する少女としてのアンヌ・ヴィアゼムスキー。二人の夫婦としての日々は恋人同士の延長戦上にあるのだろう、ゴダールの嫉妬はやや微笑ましいようでいて鬱陶しい。女優としての自我とゴダールの妻としての役割との板挟みの中で、やはり自由でいたいというこの時代の女性らしさの最先端である彼女の振る舞いは、ゴダールにとっては不安の種だったのかもしれない。ちょうどゴダールが政治に傾倒していく時期に差し掛かり、彼女は彼の映画への回帰を心待ちにするゆえに、二人の互いへの思いとは裏腹にすれ違いを重ねて行くのが少し悲しくもある。彼女と彼の映画への想いと同様に。しかし出てくる知識人、映画作家、セレブが豪華すぎるのは彼女自身の自己顕示欲の現れなのか?ゴダールとの日々を綴るということは彼女にとってどんなに意味があるのだろう。偉大なる映画作家ゴダールの寵愛を一身に受けたということをことさらに書き記すことは、未練なのだろうか?それとも敬愛なのだろうか?あるいは作家としての彼女は、女優としての彼女を客観視して切り離し、区切りをつけたかったのだろうか?書くことであの時代の二人を歴史として固定化し、葬り去ったのだろうか?