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人から聞いた怪異をテーマに、実話怪談調のタッチで描かれた連作ホラーミステリ。一見地味なのだけれど、読み進むごとにじわじわ来ます。来すぎます。もしやこれって実話? と思わされてしまう部分があるのが怖くて怖くて……これって、完全なフィクションですよね?
最初はありがちな実話怪談。次はそこにやや現実的な解釈を加え、解きほぐされた感のあるミステリ。なのだけれど、やはりどこかしら解決できない部分は残って……という、個人的には理想的なホラーとミステリの配分だったのですが。最後に明かされるすべての物語の繋がりに驚愕。たしかに伏線はあったのだな、と気づかされ、しかしこれでミステリとしての整合性のほうが上がったかと思いきや……あれ? なんだか余計に怖くなっていませんか???
……迂闊に怪異に関わってはいけないのだなあ。でも読むだけなら大丈夫……だよね?
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読むたびに違う顔を見せてくれる芸達者な作家さん。これを読む前に『バックステージ』を読んでいたので、あまりのギャップに驚いた。
こちらは、これ、実話なの?と思えるほどの臨場感たっぷりに実録風に描かれていて、読み終えた今もなお思考が追いついていかない。正直、実話と言われた方がしっくりくるくらいで、これをフィクションと言われた方がビックリしてしまう。
それにしても、後からゾクゾクくるホラー。芦沢さん本人が怪談特集の依頼を受けるところから物語が始まる。周りでそういった経験をしている人たちにインタビューをし、それを短編集として本にするわけだが、その一つ一つのエピソードが怖く、インタビューを受けた本人であったり、その周りの人が亡くなったりする。そして、最終章では、それらのエピソードには、必ずといってある占い師が絡んでいることがわかるー。
第5話で、娘を亡くしたおばあさんが、隣の大学生のところに霊が出る話を聞き、その霊を感じ取れるようになりたい。というような内容がある。
確かに普通、霊とは誰も関わりたくないってのは当たり前のことだろうが、その人には特別の霊ってのがいるわけで、それは怪談ではなく、もう一度新たに触れることができる娘との物語だったとある。私も兄、父親、祖父母を失くしているのだが、そうした気持ちは痛いほどわかるなぁと思った。遺族としては、絶対にそう思ってしまうもの。芦沢さんは、そうした経験をされているのかはわからないが、その捉え方に関心してしまう。
さて、ラスト。このラストは本当に怖い。芦沢さん、フィクションなんですか?ノンフィクションなんですか?
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染みが一番怖かったかなあ
人為なのか怪異なのか、呪いとか悪意とか負のエネルギーってめぐる。連鎖をどう断ち切るのかが難しい。でも、この連作は原因は1つか。作中作者は逃れられたのだろうか。そんなはずないよね…
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論理的に説明のつくもの、つかないもの。偶然だと笑い飛ばされそうなもの。だけどこの作品のなかにあるリアリティーはすごい。目に見えない力、抗うことのできない力。その恐怖が一話進むごとに積み重なっていく。怖いけど面白い。一話ごとに怪異があり、さらにミステリーの謎解きの要素もあってグッと引き込まれ一気読み。人々の恐怖がどんどん繋がっていくさまには圧倒される。短い作品ではあるけれど中身は濃くて怖くて面白くて小説を読むことの楽しさ、嬉しさが詰まっている。
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短編集。
それぞれ独立した現代の怪談として面白かった。
読んだあと、ちょっと怖かったし。
ので、最終篇は1冊の本として成立させるために取ってつけたように読めたので、あえてなくても良いかなと感じた。
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作家である「わたし」は出版社から執筆の依頼をうけた。テーマである怪談は書いたことなかったのだが・・・
印刷したての車内広告にシミが入る・・・染み
読者から不躾な来訪を受けて・・・お祓いを頼む女
買ったばかりの新居にて隣人が妻にあらぬことを吹き込む・・・妄言
ある家で身体を苛むまでの悪夢を見続けて・・・助けてって言ったのに
格安のアパートでおこる不気味な現象を祓おうとしたら・・・誰かの怪異
この本を出すにあたっては・・・禁忌
以上六本の短編集
こわい怪談ながらちょっと引いたところで淡々と語る作者の後ろで安心して読んでいられる感じ。
怪異そのものは実感したことがないので、あるとかないとか考えたことすらないですが、
「あぁ、そんなこわいこともあるのか」なんて他人事でいられるのはほんの偶然なのかもしれない・・・と、最後にチラリと思いました。
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これってフィクション?ノンフィクション?
いずれにしても怖い…。
今年の夏みたいに暑苦しい夜にはいいかも。
最後に伏線回収されてゾクゾクする。
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ひとつのお話を読み終わるごとに「ぞぞっ」っと怖くなる短編集。
でもこの作家の小説は、もっと長いお話を読みたいと思うので★少な目で。
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内容(「BOOK」データベースより)
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の「私」は、かつての凄惨な体験を振り返る。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。「私」は、事件を小説として発表することで情報を集めようとするが―。予測不可能な展開とどんでん返しの波状攻撃にあなたも必ず騙される。一気読み不可避、寝不足必至!!読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
初めて読む作家さんですが夜中に一人で読み始めたものだから結構怖くて、トイレに行くのも階段を上るのもかなり苦痛でした。なんだろう、この実録感が何とも言えず怖いのですよ。内容的には新味はないけれど同じ神楽坂という場所を舞台にしている事で、水面下で物語が動いて行く怖さみたいなものが湧き上がりますです。
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現代の怪談。
短編集だが、まとめて一つの話。
どの話も、ぞわ~と来る。
死者と縁を作ってはいけない。
道端に花を生けてあったりしても、そこで「どうかやすらかに・・・」なんて祈ってはいけないって言うか、しちゃダメ絶対!らしいです。こわー
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何って、本当に怖い…ゾッとする。一気に寒くなる。暑い夏にどうぞ………いやもうほんとに怖すぎるでしょ。
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『染み』
作家の私が書くことになった怪談。
その内容は会社勤めをしてた頃、友人から相談された話だった。友人が連れてきた相談者は付き合っていた彼氏との結婚運を占い師に占ってもらいに行った。すると占い師は別れろという。その占い結果に怒った彼は占い師に怒鳴り、お金も払わずにそこを出たという。それがきっかけで彼に冷めてしまった彼女は別れ話を切り出すも、彼は応じず別れたら死ぬと言い募り、その後も何かと不安定になっては彼女の生活も考えずに呼び出すようになる。そんな生活に疲れた彼女は或る夜のメールを無視した。その夜彼は運転中車で事故を起こして死んだ。それから彼女の担当である電車内の広告物に赤い飛沫のような染みのようなものが現れるようになった。そしてその染みはルーペで覗くとある言葉で溢れていたのだ。
このお話から始まる五つ(六つ?)の短編集。一つ目の階段の真意を知りたいために他の人から怪談をつのった作者のもとにひとつひとつが絡めとられるように集まっていく。
そして五つの怪談を一冊の本にまとめるだんになって五つの怪談はまた違う意味をさらし始める。
めちゃくちゃ面白かった。こういうジワリとした話は本当に怖い。そして最終話で提示されるあらたな悲劇の?惨劇の?または種の発芽の様子がとても怖かった。
思わずフォローしているTwitterで著者が存命なの確認したくらい(笑)
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今、話題の本ということです。
以前、同じ作者の『許されようとは思いません』という
短編集を読みましたが、あまり心に残ることもなく
今回のこの作品は、怖くて面白くて話題ということで
読んでみました。
所謂、これもフェイクドキュメンタリー風小説という
ジャンルになるのかしら?
私の読解力が無いせいか
さっきまで読んでいた澤村伊地の本を
また読んでいるのかと勘違いしてしまった。
似ている!?というか
今の作家さんがこういう感じなのか!?
個性が無いというか、なんというか。
「その霊との縁を作りたくなければ、
寄り添うように語りかけてはいけせん。〜〜〜〜」
というくだりは
小さいときに、父母や祖父母から言われていたことに
とても近く。怖さを起こさせるものでもなく。
新たに気付かされることでもなく。
「内心で語りかけるだけでも
縁ができてしまうのだとしたら〜〜〜〜〜」
というくだりは百物語のことで
さして、怖さを感じさせることもなく。
鍵となる霊能者は、悪霊?生霊?貞子テイスト?(笑)
ということで、全く怖くないホラー小説。
だけど、第4話と第5話に出てくる陣内さんは良い。
特に第5話のラストは身内を亡くしたものにとっては
とてもとても心に触れ、良いものでした。
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これがノンフィクションなら恐ろしいし
フィクションなら、原因の調査などもう少しストーリーに厚みが欲しいところ
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実録風の怪異譚で、怖いようで怖くなく、つまんないかっていうとつまんなくもない。第四話の『助けてって言ったのに』の結末は、分かったようで分かんなかった。榊さんや岸根さんは頼りがいあって、各章それぞれの悩める人びとに対してまっとうな助言やお祓いしてくれたのに、結局はほとんど報われず、しかも死んじゃうんだね。あの神楽坂の母なるおばさんは、人を救うどころか祟り殺すならばあんまりじゃないの。おっと、こんな非難も危ないかも。小花柄のチェニック着たおばさんなんて、オラが町にはなんぼでもいらっしゃるけど。