紙の本
毎度の瀬島批判
2018/08/13 20:45
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和末に出た瀬島龍三の伝記を「文藝春秋」で読んでから、30年以上千篇一律の瀬島批判を飽きずに書くものだ、と感心すらしてくる。瀬島伝でも触れてはいるが、彼は2・26事件で岡田啓介の身代わりになった松尾傳藏の娘婿だ。「岡田啓介回顧録」に従えば、参謀本部の情報を部外者である義理の伯父に流したと読めるが、こういう事は、他の人も含めて、調べようとしないものだ。もし、本当に瀬島中佐がソ連のスパイだったら、何故昭和31年までソ連に抑留されていたのだろうか?「将校団の民主化の旗振り役をしている」人物なら、逆にスパイとして使えないだろうに。「内容が具体的」なら是非、書いてほしいものだ。
「ある出版社から皇室事典を刊行したのだが(「岩波 天皇・皇室辞典」の事)、私は三笠宮殿下の項を執筆した」とあるが「昭和天皇、敗戦からの戦い」では「歴史的な誤解に基づく記述をした」(つまり、三笠宮家が昭和10年に「創設時に「お印」は三笠山にちなみ、「若杉」が与えられ」という個所も指すだろう)ので「殿下から出版社へ記述が事実と若干異なっているようだがとの連絡があり、私はその出版社の担当者(岩波の編集者か、と思っていたら、「AERA」の薨去の時に「編集」と名前が上げられている原武史氏が同じ事を書いていた)などと事実を確かめに赴いたことがあった」とあるが、この本では「津野田事件」について「三笠宮説という表現でこの件に触れた。すると三笠宮殿下から出版社に連絡があり、『そうではない』という説明をするので、宮家を訪ねた」と変わっている。勿論、工藤美代子氏の「母宮 貞明皇后とその時代」で「津野田事件」が一切、触れていないが、三笠宮薨去後に彼女の夫が「三笠宮と東條英機暗殺計画」を出しているから、見当はつく。「殿下は応接室で各種の史料(宮内庁にある殿下の行動や軌跡を記録した文書など)を示され、この点は歴史的に誤解が続いているので訂正してほしいとの説明を受けた。私は殿下の反論を聞きながら、この計画は未遂に終わったのになぜ裁かれたのか、殿下は心を傷めていることもわかった」。こういう事は加藤本には出て来ないから、是非こちらも書いてほしいものだ。「秩父宮と昭和天皇」の担当編集者が書いた「皇族と帝国陸海軍」では津野田本が「それらが正確であるのは『東久邇宮日記』などから確かめられる」と書いているが、加藤本の113頁に写真版が掲載されている「三笠宮所有の『わが東条英機暗殺計画』」の書き込みを見ると、津野田兄弟は今の秩父宮記念公園である御殿場の秩父宮御別邸と三笠宮妃殿下が滞在されていた箱根を混同していて、それも「空襲を避けて」と前置きしている。東條内閣倒閣の頃に空襲が激しかったらしいが、これで大本営参謀を務められたものだ。余程、当時の事に疎いゴーストライターが書いたのだろう、とすら思えてきた。
紙の本
昭和を考える
2018/09/04 10:41
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投稿者:たか - この投稿者のレビュー一覧を見る
改めて昭和を考えることができる。いまだに謎の多い人物。興味深い。
紙の本
読みやすい
2018/12/30 10:47
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投稿者:弥生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
特に松岡洋右の項目は、これまでのイメージを一新させてくれた。
当時の彼らは、米との戦争回避を主観としていたこともよく分かった
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保阪正康の著作には、昭和史の大きな流れを扱ったものと、小さいポイントを掘り下げたものと2タイプあるが、これは後者のカテゴリーに入る。昭和の歴史を見つめた当事者の聞き書きをもとに、深層に迫っていく。いささか重箱の隅をつついている感は否めないものの、年表や出来事を羅列するだけが歴史の綴り方ではないとも思うから、これはこれで正解なのだろう。
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講談社現代新書今月の新刊。丁寧なインタビューと一次資料の読み込みにより昭和史の謎に迫る。第1章の東條英機についても予断を排してその存在を再構築していく様が白眉かつ痛快。2章以下は 石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂。2018年必読の書。
以下本文p13-14より 東條英機論
…とにかく強引で、自分に都合のいい論理しか口にしない。(中略)いわば人間形成が偏頗なのである。こういうタイプの政治家、軍人は三つの共通点を持つ。「精神論が好き」「妥協は敗北」「事実誤認は当たり前」(中略)(その点では安倍晋三首相に似ているともいえるが)。(中略)つまるところは「自省がない」という点に尽きる。(中略)その行き着く先は国家存亡の危機である。
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読了。
七つの謎なのに主な登場人物は六名(笑)。そして何故この六名を怪物としてピックアップしたのか、その基準は良く分からない。
実際、怪物?といえるのは石原莞爾と瀬島隆三、登場場面は少ないが牛島辰熊くらいだろう。
だが、昭和を語るうえで重要だと思われる人物の評伝を通して、戦前~戦後を俯瞰する、という試みは成功しているように思える。
但し、特段新たな発見は無い。
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紹介されている人物、いい面だけでなく悪い面も書かれてあり、引き込まれやすかった。東条と石原の比較がやはり面白い。なぜ日本は戦争に走っていってしまったのか、戦争が始まってもなぜなかなか終わらせることができなかったのか、という点でも再確認でき勉強になった。
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平成という時代のが終わろうとしている今、戦前、戦後の昭和の時代に何が起こり、誰がどんな判断をしてきたのかを2018年の今こそ知らしてくれる一冊。
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東條英機と石原莞爾との確執。
犬養毅とその娘渡辺和子。
瀬島龍三は何をどう改竄したのか。
吉田茂と護憲。
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近現代史はあまり好きではなく、ましてや小説でもなく、ましてや戦中・戦後は一番嫌なのですが、なぜか興味を引かれ読みました。前提として当時の人物、組織、事件なんかをわかっていないと理解しづらいなと思いました。途中、やっぱり受け付けなくて飛ばし読みしたところも多いです。ただ当時の軍の中にも多面的な見方をできる人たちは大勢いて、戦争回避する動きもあったのに結局はそうはならなかったのが残念です。今も昔も大きく物事が見れない自分本位な人が戦争をしたがるんだなと思いました。
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半藤一利と並ぶ昭和史研究の大家である著者が、太平洋戦争の目撃者たる東条英機、石原莞爾、吉田茂ら6名の人物に焦点を当て、それぞれの謎について、膨大なこれまでの研究成果をもとに著者なりの真相仮説を提示する。
特に重点を置いて描かれるのは東条英機と石原莞爾の二人であり、この二人に対するパートで本書の半分弱が占められている。東条英機と石原莞爾の対立関係、というよりも東条の石原に対する怖れや、石原莞爾が描こうとして理想の社会とは何だったのか、そうした問に、具体的かつ百科全書的な著者のこれまでの昭和史の知見がフルに援用されながら、ストーリーが語られる様は見事で、知的好奇心を多いに満たしてくれた。
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平成が終わる中、今一度昭和史、特に戦中、戦後と社会が大きく変わった時代のリーダーたちを知りたくてこの本をとった。
東条英機の文学や哲学、学問を軽視する姿や逆の立場であった石原莞爾など、時代は違えど人間として、現代人にもi-eyところはあった。
特に瀬島龍三のエピソードにあった、平気で一次情報の文書を書き換える姿勢は、現代の官僚と通じるぶぶんがある。70年賀状たった今でも、変わらないところはあるのだと感じた。
ただし、各エピソードに出てくる事件や物事など、ピンと来ない部分がある。それは自分がまだ歴史の理解が足りない部分である。
今、未来を考えるにも、過去も学ばなければいけないと、再認識した一冊です。
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第1章 東條英機は何に脅えていたのか
第2章 石原莞爾は東條暗殺計画を知っていたのか
第3章 石原莞爾の「世界最終戦論」とは何だったのか
第4章 犬養毅は襲撃の影を見抜いていたのか
第5章 渡辺和子は死ぬまで誰を赦さなかったのか
第6章 瀬島龍三は史実をどう改竄したのか
第7章 吉田茂はなぜ護憲にこだわったのか
著者:保阪正康(1939-、札幌市、作家)
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「謎」であるかは別として、昭和史の特定の人物をわかりやすく取り上げてくれる。序盤の東条英機と石原莞爾の対立は興味深い。
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石原莞爾や東條英機など、今まで深く知ることのなかった昭和の時代を動かしてきた人物の考え方を学ぶことができた。