0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
3つの事件と1人の男性が、どこでどう結びつくのか。
犯行までの年月が長すぎて、現実味がないように思ったが、そこに至るまでの犯人の生活や心情などが細かに描かれていて、残虐な犯行なのに同情も覚えてしまう。
星野警部と稲葉の、表面上は友好的だが、腹の探り合いのような会話に、ぞわっとした。柔らかく、丁寧な口調なのに、その裏にはお互い何かを隠し持っている、という感じ。
読み応えあり、一気読み必至。
投稿元:
レビューを見る
3つの事件が繋がった時、それぞれの刑事の捜査がクロスした時、頁をめくる手が震えそうになった。心臓がギュッとなった。稲葉という人がとても怖かったけどその逆、とても悲しい人だと思いながら読み進めました。稲葉を死刑になどさせない、死なせるなんてことには、しない。星野警部の闘いは稲葉が本当の意味で『贖う』まできっと終わらないのだろう。
投稿元:
レビューを見る
息子が、同級生のいじめにより自殺し、それを防げなかったと悔いる父親。息子の復讐のためとはいえ、20年もの間、ここまで己を律し、ストイックに生き続けることができるのだろうか。
父親にその思いを遂げさせてあげたい。読み進むうちにその思いは募るが、しかし彼の犠牲になった子供たちに罪はない。
真相が明らかになるにつれ、題名の『贖い』が心に重くのしかかってくる。
追われるもの=犯人の心のありようと共に、追うもの=刑事たちのそれぞれが持つ心の闇を描くことによって、重厚な作品となっている。
それぞれの葛藤を抱えながらも、遂に犯人に辿り着く。
星野刑事と犯人との息詰まる心理戦は、どちらに心を寄せたらいいのかと思いながらも、圧倒されるばかり。
これを機会に、星野刑事が登場する一作目を再読してみよう。
投稿元:
レビューを見る
とても悲しい話だった。
あり得ない話ではない。
そしてタイトルの贖いの意味がわかったとき、胸が詰まりそうだった。話の先に進みたいのに胸が苦しくて読むのを止めたいくらいだった。
投稿元:
レビューを見る
警察側ではなく犯人側に寄り添いながら読み終えるという、珍しい一冊になった。
罪のない幼い3人もの子供達を殺害した人間を美化することも正当化することも許されるわけではないが、
誰も救われず報われることのない、心が痛むばかりの人生を選んだ犯人の心情は察するに余りある。
子供達は閉鎖的で小さな世界に生きている。
まだ幼い彼等は逃れる術を持たない。
ひとつの小さな命が消えた時、その周りには罪深い人間が多く存在した。
人は正しさだけでは生きていけない。
過ちも犯す。
そしてそれを赦すことも大事。
ただ、愛が深ければ深い程、誰かを憎まずにはいられない情がある。
この犯人は、息子をいじめ自殺に追いやった加害者達を憎み、そして自分を憎み、怒りと悲しみと絶望の中20年という長い長い年月を復讐の為に費やしてきた。
こんなにも哀しい生き方があるだろうか。
投稿元:
レビューを見る
7月1日東京・杉並。小学校の校門に男児の切断された頭部が置かれていた。2日埼玉・和光。林で、中学生の少女の刺殺死体が発見された。3日愛知・名古屋。ス-パーで幼児が行方不明になる。これらの事件を追う捜査員の姿を丹念に描き、事件の背景、犯人の動機を重層的に炙り出す五十嵐ミステリーの新たな金字塔。ベストセラー『誘拐』で活躍した星野警部が、新たな相棒とともに難事件に挑む。
投稿元:
レビューを見る
上巻で苦労してここまできた下巻。
話の展開に圧巻です。
読む価値あり。
ただ、なぜこういう事件が起こってしまったのかと真実がわかるにつれて、とても切なくやりきれない思いに。
投稿元:
レビューを見る
途中で事件の背景についてはおおよその検討がついたけれど、最後まで緊張感を保つことができる凄い作品でした。
キツイ内容でしたが、稲葉のストイックさと星野警部のひたむきさに救われた感じです。
投稿元:
レビューを見る
難航する3つの事件が大きく動き出す。
それぞれを担当する刑事たちは、それぞれに警察の中で微妙な位置に立たされている者が多く見られる。
それらもまた、この話の味というか、魅力になっていると思う。
事件の真相は悲しいものだったが、そこへ至る過程には様々な思いが過った。
2023.9.25
投稿元:
レビューを見る
上巻と比べて、早く読み終わったw
面白いのは間違いないんだけど、やっぱり★は3つかな?w
というのも、(エンタメすぎてシラケる最後の展開wは別として)ラストにむけての流れが(個人的に)しっくりこなかったんだと思う。
確かに、犯人は本来はまっとうな人だから、犯行を躊躇することはあるだろう。
とはいえ、直接的に関係ない被害者3人は殺してしまったわけだ。
なら、張本人である3人に対する行動は、もっと早く実行してもいいのでは?と思ってしまうのだ(もしくは、ほっぽらかしにするか)。
あれでは、まるで良識が実行を躊躇させている内に捜査の手が及んでしまったので、慌ててそれをしたようだ。
そもそも、あの場でうまく逃げられない可能性だってあったわけで、その辺りはちょっと納得がいかないw
最後まで読むと、やっぱりこれは、(いい意味で)“たんなるエンタメ小説”だと思うのだ。
なら、たんなるエンタメ小説らしく、犯人の方からアクションを起こして、派手にドンパチな展開を読みたかった気がする。
納得がいかないといえば、星野警部や鶴田の口から何度か出てきた、「人として、絶対してはいけないことをした」というのも素直にうなずけない。
確かに2人は警官だから、法に反した犯人をそう言うしかないだろう。
でも、なら、人を自殺に追い込むようないじめをすることは、「人として、絶対してはいけないこと」ではないのか?
この話は、たんなるエンタメ小説なのだ。
たんなるエンタメ小説だからこそ、3人が自分の家族や社会から軽蔑や非難され、過去の行いを悔やみながら自ら死を選ぶ、そんな胸のすく絶望を描いてもよかったんじゃないだろうか?
少なくとも自分は、そんなエンタメ小説が読みたい!(爆)
投稿元:
レビューを見る
上巻と同じく、先が気になって一気読み。
上巻ではバラバラだった事件が繋がっていく。そのスピードが速すぎて驚いた。
私としては上巻のドキドキする感じが好きだったから、下巻は肩透かしというか…。ただ解決に向かわざるを得ないから仕方ないのかな。
投稿元:
レビューを見る
「贖い」の意味するものが、想像以上に重いものだった。
上巻の勢いのまま、一気に読んでしまいました。
3つの事件が少しずつ噛み合っていって、じわじわと犯人を追い詰めると思いきや、終盤はかなりのスピード感で展開して行きました。
面白かったけど、上巻がとても面白かった分、期待値が上がりすぎてしまった感。
犯人の、憎しみへの執着が狂気で恐怖だったけど、経緯を考えるとやるせない気持ちも少しある。少しだけね。
断言出来るのは亡くなった子供たちがとにかく可哀想。
大久保さん上巻でイラッとさせられたけど、思ったよりいい人だった。
投稿元:
レビューを見る
やはり辛く悲しい結末だった。。
三人の子供に罪はないけど稲葉さんの最後の思いは遂げさせてあげたいと思ってしまう。
いつの間にか自分も三友の同僚やお蕎麦屋さんやジュースバーの店員さんと同じ気持ちに。
星野さんについてはちょっと都合良すぎるなと思うところが多々あり展開が強引な気もしたけど読みごたえ十分でした。
にしても五十嵐さんは本当に作風が幅広い!
投稿元:
レビューを見る
面白かった!
「贖い」は「あがない」と読みます
タイトル通りの物語です
下巻では、いよいよ3つの事件が結びついていきます。
しかし、連携捜査の壁。そんな中で現場の刑事たちの執念と連携が熱い。
さらに、坪川の苦悩、星野の過去も明らかに
稲葉はどうかかわっているのか?
そして、一気に真相が明らかになっていきます。
今までの捜査の伏線も回収されてすっきり。
なぜ、子供達が殺されたのか?
どんな関係・関連があるのか?
そこには、過去の哀しい物語が..
犯人の深い思いと執念、そして復讐心
犯人の想いにも共感してしまいます。
一方で、それを追う刑事たちの熱い想いにも。
さらに、最後の最後に「贖う」ということ
とても重い物語でした。
これは、とってもお勧め
投稿元:
レビューを見る
20年という歳月について考えてみる。
その長さと重さについて考えてみた。
稲葉さんの息子さんが自殺してから、その原因となった3人にある復讐をしようと決め、機会をうかがっていた20年。
例えば、今わたしの前にいる人の人生の中から無造作に取り上げた20年という時の流れは、いったいどんな形と色をしているんだろう。
犯人もその動機もすべて分かってからも、ラストまで気が抜けなかった。
稲葉さんの苦しみと彼ら3人に対する怒りと憎しみの深さが恐ろしかった。稲葉さんは息子を救うことができなかった自分もずっと許すことができず、自分をも憎み続けてきたんだろうと思う。
心理的に残酷極まりない練りに練った復讐のための計画も、そのための下準備も、未来に自分が犯すであろう犯罪によって傷つく人たちへの贖いの積み重ねも、そのすべてが悲しい。
事件自体はとても辛いものだったが、それぞれの刑事がいい味を出していたので読んでいて本当に楽しかった。現実にもこういう刑事がいて、正義のために、そしてわたしたちの平和のために、こうしている今も頑張ってくれているのかもしれない。
きっとそうだと思う。