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カバーに惹かれて中島たい子作品初読了。病院のカフェに来るお客さんたちのオムニバス短編集。
両親の介護の後夫の介護をすることになった妻の話が、自分の近い未来の話のような気がして身につまされた。結婚生活20年30年を超えた夫婦の微妙な距離感、依存するようになった年老いた親とガッチリ寄りかかられる子どもの危険な距離感のなさがせつなく悲しい。夫婦の現状を打破する方法が、読んでる私にはちょっと甘ったるい感じがしたけど、ある程度関係が出来上がっていても、あがけば今からでも関係を変えられるんだなと思った。人生いくつになっても人間関係は難しい。
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病院内にある、町中でよく見かけるチェーン店のカフェが舞台の長編小説。
カウンターの内側には、バイトの村田君と、週末だけバイトをしている作家兼主婦の相田亮子がいます。
レジをはさんだ向こう側には、医師や患者と思われる人たちや、患者の家族など、常連客で賑わっていて、病院と言えどもちょっとしたオアシスのよう。
エスプレッソマシンのプシューというスチーム音が聴こえてきそうです。
お客さまを遠くから見ているバイトの亮子も、実は悩みを抱えています。
カフェの常連客である、両親の介護を終えた朝子と、入院中の夫孝昭の夫婦の話がとても良かったです。
「健常の世界と病気の世界の間には壁がある。
病人が自分の世界に閉じこもるのも、闘うための手段ではあるかもしれないが、出ていくことを忘れちゃいけない。
それと向き合うのは自分しかいない。」
この夫婦の手紙のやりとりが最高に素敵でした。
そして、物語の最後には、カフェ内でとても「いい話」が巻き起こります。
読み終えて、身も心ぽかぽかと温かくなるようでした。
初読みの作家さんということもあって、とても新鮮な気持ちになれました。
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病院内のカフェのお話。通院していた病院のカフェを思い出しました。病院は無機質な感じだっだけど、院内カフェだけはほっとする暖かい場所だったなぁ〜。
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今日もカフェにはいろんなお客さんが来られる。
ドクターだったり、患者さんだったり、その家族だったり。みんなそれぞれ理由は違えど、カフェを心の拠り所にしていたりして。
病気と向き合うことはとても勇気がいること。もちろん本人もだけど、それを支える家族もとても神経を使う。
いざ自分がこの立場だったら...と、医療や介護について考えるきっかけになりました。
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病院の話は気分が暗くなりそうなので、避けていた。
この本はタイトルで『病院のカフェってどんなところだろう?』と惹かれた。
おそるおそる捲った頁には『花粉症』についての面白い見解があり、この本はきっと暗い気持ちにはさせないでくれそうだ、と思って読むことに決めた。
勿論病院が舞台なので暗くなる話はあるが、暗いままでは終わらせず、自分の知らなかった見解を知る事ができ、登場人物たちが進んでいく道を見守っていくと最後には明るい気持ちになれる。
カフェのシーンが多いということもあって、落ち着いて読めた。
現実からかけは慣れたハッピーエンドは有り得ないと興醒めするし、かといって現実的すぎるバッドエンドは鬱々とするけれど、この作品はその中間で好きです。
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出版されて即購入し、一旦は読みはじめたものの頭に入って来ずに閉じてしまいました。あれから3年半。弟が癌になり、積読の山の中にあった本作に再び目が留まる。先月まで弟が入院していた病院、そしておそらくもうじきホスピス棟に入ることになる病院のカフェを思い浮かべて読む。
患者は、希望がない現実を見るよりもいいと、怪しげな道であってもミラクルを期待する。そんな時期がありました。現実を見るのはとても辛いことだけど、こんなカフェがあればいいなと思う。って、コーヒーはいたって普通のようですけれど(笑)。
ここで待っていたい。
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院内カフェの店員さんとお客さんの話
病院とカフェの境目
病気と健康の境目
家族や夫婦だからこその孤独感
中島たい子さんの文章がとても好きです
朝子さんの介護の話は、これから自分も経験するかも知れないと思うと憂鬱になる
何でもかんでも当たり前はないこと
周りにいる人や健康な身体に感謝しないとと再度思わせてくれる本でした!
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健康ってなんだろう。心身のどちらにも病名がついてないことを言うのだろうか。そんなことないよな。病気がない状態でも病名がついてないがゆえに不安になることもあるよな。結局、皆んな健康であって病人なんだろう。その均衡が崩れると、病人になるのかもしれない。なんか難しい。
たしかに病院のカフェって、患者もその家族も医療者もいて、その中には病気と健康の壁がない。唯一、一般社会のように心身の病めるものを意識しない場所かもしれない。そのカフェのあり方について納得できることが多かった。毎日自分が通う病院のカフェも、そしてあのパン屋さんも、一足踏み込めば、みんな横一列になる。あえて振り回すことなく無関心で、でも受け入れてくれる。寄り添って独立している。あの気持ちを言語化してくれたのがこの物語。
病人は、殻の中に閉じこもり、非病人との間に壁を作る。夫婦とは所詮他人。介護はいつの間にか始まっている。血縁の依存。バックアップシステム。種。遺伝子。ウイルスとの共存。進化には時間がかかるけど後退するのは簡単。
好きな考え方がたくさんあって、悩める自分の道標になってくれそうだ。
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母がお世話になっている病院のカフェの、あの席を思い浮かべながら。
病気になった本人、その家族、医者、そして院内カフェの店員…それぞれの立場から、それぞれの病気との向き合い方がある。
皆が皆、前向きに病気と向き合えるわけじゃない。ヒリヒリとした気持ちで読んでいたけど、最後の章で、気持ちがほっと解けていくのを感じた。
サンタクロースがゲジデントだったら良いな、と個人的に思う。
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院内カフェで見かける個性的な人、医師、夫婦の修羅場から始まり、それぞれの事情が語られていく。
気づいたら介護が始まっていて、終わったらどうしたらいいのかわからなくなったとか、病気に対する本人と家族の気持ちのすれ違いとか共感できた。
紆余曲折の後、朝子からの手紙と孝昭からのメールのやりとりは、病気に立ち向かう夫婦の絆を感じられた。読み進めるほど話のなかに入り込めた。
最後のクリスマスプレゼントの主はだれだろう?
私もゲジデントのような気がする。
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釧路労災病院のカフェを思いだしながら読んだ
介護はホント大変実際やった人にしかわからないから、私は悔いなくやりたいからやってるんだと実感した
だけど毎日不安でハラハラな介護なんだけど一緒に居たいから介護しながら生活してるんだと今一度思わせてくれた小説だった
だから朝子さんと孝昭さんの関係が解せなかった
まぁ色々な夫婦がいるよね
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総合病院に併設されたカフェのお話。
カフェ従業員、病院職員、患者、患者の家族、様々な人たちが集います。
病と向き合い、それに伴う人間模様はどの病院内でもあることで、それが現実的に描かれていると思いました。正直、実際の病院内はもっと厳しい空気が流れているように感じますが。ラストに向けての展開に、肩の力が抜ける思いでした。個人的に、病院には大切な人が長年お世話になり、その度、心が沈むことも多々あって。自分はやり切ったので何の後悔もないですが。例えカフェが無い病院でも、待ち合いの椅子に座って飲む缶コーヒー、これでどれだけ救われたかわかりません。重い空間だからこそ、美味しいコーヒーの存在はなくてはならないものです。元気がもらえるクッキー、いいですね(買ってみたい)。
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これから親の介護に向かっていくはずの自分の心構えのために読んでみた。家族に寄り添う形は正解は1つではないのだなと思った。