紙の本
久しぶりのマガー作品
2020/05/31 00:49
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
「被害者を捜せ!」「七人のおば」など斬新な設定で唸らせてくれたパット・マガーのほんとに久々の翻訳ということで読んでみた。
今回は過去に起こった不可解な死亡事件が、17年経った現在に再び大きな影を落とし、関係者たちを翻弄する心理劇だ。そして過去に死亡した脚本家の当時7歳だった息子が、その事件の真相を匂わせるタイトルの戯曲を書いて上演する運びになったことから、事件の真相に深く関係していそうな人気役者が息子の動機を探るために自ら出演すると申し出るところから物語が始まるというまさに「ハムレット」を彷彿とさせる設定が、読者を一気に客席に引き寄せる絶妙な効果をあげている。
人気役者は舞台稽古から初日までの2週間で息子の意図を突き止めようとしながらも、そこはプロの役者、芝居そのものにも真剣に取り組むという二重のドラマが同時進行してゆく。
この作品の視点は最後までこの人気役者だが、彼が過去の悲劇にどう絡んでいるのかがなかなか見えてこない。そこへ死亡した脚本家の妻がまさに飛び入りのように自分もこの芝居に出演したいと申し出ることで人気役者は三つもの問題を抱えることとなり緊張が徐々に高まってゆく。この女優が圧倒的な存在感で、あちらこちらに気をつかい無難に事を収めようとする人気役者をさらに振り回す。本当に彼女の容貌までがはっきりイメージできるほどで、この作品の真の主役はこちらだと思わせるほど。
結果として女優は自己を肯定したまま舞台からもこの世からも消えてしまい、後始末を人気役者に委ねてしまう。彼の最後のセリフが果たして贖罪なのか、愛のためか、女優に最後まで支配されていたからなのかは読む人それぞれだろう。
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かき乱す悪女
2019/04/14 19:57
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
継息子の書いた脚本は、過去に起きた事件をモチーフにしているのか。そんな不安に当てられて、その舞台に自分をねじ込む大物俳優。しかし、最初はかなり退屈します。舞台稽古を綿密に描いているのですが、主人公の慎重さも相まって、「うーん」と言わざるを得ないほどストーリーに迫力が欠けるのが難点。しかし、中盤に女優をしている母親が出てきてから俄然面白くなります。彼女の存在は、トラブルメーカーというよりトラブルそのもの。嘘を重ねてきた主人公が最後に継息子についた嘘に、優しさとペーソスが漂います。
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初めて読んだマガーの本
2019/03/11 10:23
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投稿者:美猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーとしてだけではなく、古典の戯曲を絡めた家族愛とか、役者の感情とか、いろいろな視点で楽しむことができ、60年代の作品の面白さに改めて触れた感じがした。マガーの他の作品も読んでみたいと思った。
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『七人のおば』で有名なパット・マガーの初邦訳長編。
演劇をテーマにしているだけあって、非常にドラマチック。特にラストシーンの台詞はそのまま舞台に乗せたら衝撃的な結末になりそうだ。作中で演じられる新作の不条理劇、見てみたいな〜。
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俳優のマークは、親友が”事故”で死んだあとその妻だった人気女優と再婚。そして17年後、駆け出しの劇作家である義理の息子ケニーが書いた不条理劇の題名を知り、その劇のキャストとして参加することを決意する。実父が死んだ事件に関してケニーが何か知っているのか探ろうとするのだが…
まずこの不条理劇が難解だし、過去の事件に関しては詳細もマーク自身が何を知っているのかも曖昧にしか語られず、ケニーとの腹の探り合いもじれったい感じで進んでいくが、中盤の急展開からぐっと面白くなる。
ミステリとしては『〜を探せ』シリーズのような派手さはないが、キャラクターの攻防を楽しむ話。やはりパット・マガーは女の描き方が実にうまいと思った。
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愛のドラマだ。人は愛のために嘘をつく。重ねて行く。積み木のような物体は常に監視をしてほころばないように見張っていなくてはならない。その事実を渦中の人間が知らされた時には積み木を積む行為が責められ、気持ちの方は置き去りにされる。しかし憎しみが原動力であったなら行為も正当化されるのは変な物だ。
継父の俳優と再婚した女優と新人脚本家の息子が3人で舞台をやることになった。それに巻き込まれる共演者舞台演出家達を描いたドラマ。やはりこの人の作品は好みだ。1967年作。
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さすがパット・マガー。見事な演劇(小劇団)ミステリ。
スター俳優夫婦の「過去の事件」と、その事件を目撃したかもしれない義理の息子。守り通さなくてはならない秘密と、成長した息子が書いた現代劇の中に織り込まれた「真意」とは?
心理描写の絶妙さと、演劇界を舞台にした故の各種設定が生きてて、ほんとこれ、映像作品や舞台にそのまま持って行けそうな見事な「演劇作品」ですね。
特に終盤にググッと出てくるあるキャラは、これ、役者ならぜったい演じてみたいでしょう?って感じのても魅力的なキャラで。いやほんとにマガーは心理描写からのサスペンス描写が上手ですね。面白かった。
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(チャラララッチャッチャ〜)
ひまわりめろんはレベルが上がった
ひまわりめろんは「予約」を覚えた
我が市には市立図書館というものが6ヶ所あるんですね
1つは中央図書館で残りが分署ということになるんですが
元々広い市だったのと合併した町村の図書館がそのまま残ったことでその数になっているわけです
そしてこの図書館群、狙ってのことかはわかりませんがそれぞれ微妙に得意分野が違うんです
児童書・絵本が得意だったり、実用書が得意だったり、古い蔵書が多かったり、海外ミステリー(特に文庫本)が新旧問わずに得意だったり…
で、もちろんこの海外ミステリーが得意な図書館に行きたいわけじゃないですかひまわりめろんさんとしては
でもね遠いんですそこ
もう端と端なんですそこ
土瓶さんやhiromida2さんが薦めてくれる作家さんや
NWクレイヴンやアンソニー・ホロヴィッツの新しめのやつとかそこにしかないんです(泣)
で泣く泣く諦めてたんですが…
最近になってホームページで予約すると近隣の図書館に届けてくれることを知りましたw
え?もしかして常識だったのかな?
というわけで、やっとパット・マガー読めました!
1番読みたかった「4人の女」はどこにもありませんでしたが本作は読めました!
そしていつもの通りのオチで申し訳ないですが前読んだことありました!w
恐らく「4人の女」も読んだことある気がします
ま、とにかく今後さらに海外ミステリー率上がると思います
そしてどうせまた読んだことあるんでしょと思わずおすすめお願いしやす!
今回も読み直せて良かった!
面白かった!
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パット・マガーさん。好きです。
なにがそんなに好きなんだろうと考えてみたんですが、人物描写なんですよね。
もちろんパット・マガーさんより優れた人物描写をされてる小説なんて数えきれないくらいあるでしょう。
でも、本格推理でありながらだとどれほどあるのか。
本格推理物はどうしてもパズルになりがちという印象があります。
被害者A 。容疑者B。容疑者C。容疑者Ⅾ……。
特に一昔前の海外推理小説はそんな印象でした。
犯人当てクイズ。トリック。
少し辟易していた頃に出会ったのがパット・マガーさんの「被害者を探せ」。
新鮮でしたね~。人物が目に浮かぶようで。
そして「七人のおば」。
名前の憶えづらい海外物で、しかもタイトルでもわかるとおり七人もおばが登場する。にもかかわらず、登場人物が個性的できちんと判別できる。おもしろい。
そこから一気にパット・マガーさんの著作を全部読んでしまいました。
と、いっても翻訳されていたのは5作品のみ。
ずいぶん前にコンプリートしたものだと思い込んでいました。
しかし、いつのまにか出たんですね~。新しく翻訳するならするで教えてくれればいいのに。
そのひとつが本作「不条理な殺人」。
う~ん……。
期待して読んだのですが今回のは分かりづらい。
登場人物のほとんどが役者であり、急に役名が出てきたりするので混乱します。
できれば登場人物一覧に役名も添えて欲しかったな。
推理、という点でも弱いです。
事件そのものより、この舞台がうまくいくのかどうかの方に焦点が当てられ、興味も向けられます。
ラストはさすがにため息が漏れます。
決してつまらなくはないんですが、後半に行くまでがつらいな。
いままでの5作品からするとかなり見劣りします。
それとも……過去に読んだ本が素晴らしく思える「思い出補正」でも入っているのかな?
もう一本ある未読作品「死の実況放送をお茶の間へ」はどうしようかな。う~ん。