戦争には大義はなく、無意味
2021/10/31 09:48
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めると、いきなり不思議な雰囲気の世界に引き釣り込まれ、物語の中に取り込まれる。表題作は、戦時下のライオンと人間の関りを描き、そこに人が起こす戦争の無意味さを、強く心に残す。「流離人」にも、戦争を起こし指導していく人間は、現場の苦しみなど知らずに戦うさまが、描かれずとも浮かび上がり、云われるままに、世の中でさ迷うしかない一兵士が、哀しい。
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【いつの時代、どう生きても、運命は降りかかる。感動短編集】太平洋戦争末期、「彼」は人間の愚かしさと優しさを見つめている――涙と生きる智恵が満ちた六つの物語。解説・吉川晃司。
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いやぁ〜〜、これは良い本。
獅子吼
帰り道
九泉閣へようこそ
うきよご
流離人
ブルー・ブルー・スカイ
6編の短編集ですが、それぞれに味が異なっていて良い。とても同じシェフが作った料理だとは思えない。
時空を超えているため、いつ書かれた作品かを思わず確認しちゃいました。
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最近の浅田さんの作品ではなかなか良かったです。個人的には「帰り道」が一番ですね。最後の「降りられなかったの、どうしても」がなんだかジンときました。
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短編6本
人間の業を描いた掌編
個人的にはどれもちょっと物足りないが
短編に収めるには仕方ないのか
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短編6話。
浅田さんの短編、重厚さを期待すると少し裏切られますが、やっぱり短編ならではの制約があるんでしょうか。
「帰り道」、一番気に入りました。
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泣かせ屋、浅田次郎先生の短編集です。太平洋戦争や集団就職など、自分が知らない時代の短編が多く記載されています。表題の獅子吼は、邂逅から始まる、とても悲しい物語です。獅子吼という意味を知らなかったが、改めて勉強させていただきました。
獅子吼:雄弁を振るうこと。意気盛んな大演説をすること。
[使用例] 長い政治経歴の間、演説で論争で獅子吼を続け、つぶれ、きたえ上げられた声だ[小松左京*日本沈没|1973]
[由来] 仏教の経典で、非常によく使われている表現。たとえば、「法華経―勧かん持じ品ほん」には、たくさんの菩薩たちが仏の前で「師子吼(「師子」は「獅子」と同じ。ライオンがほえるように力強いことばで弁じること)」して誓いを立てる場面があります。
浅田次郎先生の短編集の中でも心を揺り動かされる素晴らしい短編が詰まっています。
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いまひとつ
戦争時代物と思いきや、それを含む短編集でした。
涙の王道六編とありますが、正直いまいち。
■獅子吼
これは、びっくり。ライオンの物語。獅子としての矜持と誇りを持ちながらも、太平洋戦争での悲哀
動物の視点から見た人間の愚かさが伝わります。
■帰り道
昭和の時代の日帰りバスでのスキーの帰り道の男女の物語。
ほんと、昭和の高度成長時代を感じさせます。
■九泉閣へようこそ
九泉閣に遺棄されたままの3つの死体。その理由とは..
■うきよご
東大闘争時代の物語。入試が延期され、東大浪人となった和夫とその姉の物語
■流離人
さすりびとと読みます。
学徒将校が満州で出会った奇妙な中佐。その中佐から下された最後の指令は..
これは、ちょっと面白いお話でした。
■ブルー・ブルー・スカイ
田舎のグロサリーストアのポーカーマシンで当てたお金が2万ドル。そのお金を巡って..
映画でありそうなパターン(笑)
これも、設定が変だよなと思いながらも面白い話。
流離人が一番好きです!
ということで、どの物語も浅田ワールド全開のお話でした。
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浅田次郎の本にハズレはないな。
収められた6編全て良かった。中でも最後の「ブルー・ブルー・スカイ」1編だけは、他の5編と大きく異なる作風・語り口。まるで片岡義男の作品みたいで、面白かった。
吉川晃司の解説も楽しめた。
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ええが、草野。軍隊はお前が考えるほど甘いところではねぞ。何の恨みつらみもない人間を、片っ端からぶち殺すだぞ
片隅に身をこごめてさえいれば、苦労を苦労とは思わず、不幸をささやかな幸福で塗りつぶして、生きていける
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「獅子吼」
戦争の愚かさを思い、獅子の矜持に感動しました。
「帰り道」
なぜ、降りれなかったのか、切ないです。
「うきよご」「流離人」
浅田さんらしいです。良かった。
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短編集であるのだが、表題作「獅子吼」「流離人」戦時中の話が刺さった。
「獅子吼」
動物園で飼われているライオンの心情が表される。動物の思いが中心となっているので意外な感じであったが、戦争に対する馬鹿馬鹿しさ、怒りが伝わってくる。
怒りの感情を滅す、という掟を死を前にして自らの矜持のため、対する人間のためだろうか破り吼える。
「恨み憎しみのかけらもない相手に、敵という名を付けて殺す戦争ではないか、その最中にある君が何をためらう」
人間を憐れむライオンの言葉が残る。
「流離人」
目的地を目指さず満州国を流浪する、桜井中佐。決して命令違反ではないと屁理屈のように言葉を返す。
この人もまた戦争を軍を馬鹿馬鹿しく感じている。それでも戦争からは逃げ切ろうと自ら迷子となり、沢村にもその道を薦める。
別れのとき、敬礼でなく帽子をとり頭を下げた中佐の思いは国の代わりに沢村に詫び、生き延びて欲しいという思いが切実と伝わる。そして死ぬなという最後の命令が終わりであって欲しい。
氏の戦時の物語は本当に戦争の愚かしさが伝わり考えさせられます。
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浅田次郎にしては、余韻を残すのに策に溺れすぎた感があります。
どこかで読んだストーリーに似ていたり終点も気持ち悪い。少し手抜き感があり寂しいです。