投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ハードだ。そして温かい。
小学生で自殺してしまった息子を、数年後インドの牛の瞳の中に感じた、という記述。涙があふれて止まらなかった。
生命の大切さとか善悪とかでなく、ただ生き返ってほしいという気持ちが必要なのだ。
自殺しようとする人は一所懸命に生きてきた人なのだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
母親をダイナマイト自殺で亡くした筆者による、
インタビューを中心にまとめられている。
テーマは重たいけど、筆者のサブカルっぽい?
文調は、自殺を良くないことと決めつけるのではなく、達観している印象を受ける。
●冨永昌敬さん
筆者をモデルとした「素敵なダイナマイトスキャンダル」を映画化
●松本ハウスさん
統合失調症のハウス加賀谷さんと、松本キックさんからなるお笑いコンビ
●岡映里さん
元「週刊新潮」の記者。3.11のあと危険区域に入って取材。その後双極性障害に。
●茂幸雄さん
東尋坊の用心棒。クセが強めのおじさん。警察官時代に、議員に言われた「東尋坊は自殺の名所として知られているからこそ潤っている。自殺防止を口にすることは、地元の人の意に反することになる」という言葉に憤る。退官後、NPO法人を立ち上げ、「心に響くおろしもち」という店を開き、自殺しに来た人を保護して住まわせている。
筆者曰く「繊細かつ乱暴な人」。
ちなみに、飛び込む箇所は3箇所に限定されており、一番人気なのが25メートルほどの断崖がある大池。しかし、そこから飛び降りても70%の確率でし死ねないそう。
自殺を考えている人にたくさん会ってきたが、誰も「自分がなんとかしてやる」と言わない。悩みを解決する方法を知っていても、手を抜く。自殺企図者からすれば、自分が不甲斐ないと思う。「頑張れないから、この世から消えます」となる。
再出発をした人は恩を感じていると言うが、恩は送るもの。本当に恩を感じたら、それを他の人に送る。
●原一男さん
息子を自殺で亡くした映画監督。
●坂口恭平さん
登場人物の中でも特に興味深かった。携帯番号をさらして「いのっちの電話」を開設、24時間死にたい人からの電話を受け付けている。本人も躁鬱病。「うつ状態も躁状態もすべて脳の誤作動で起きている」が家訓。「死にたい」も空腹などをサインとした誤作動。
みんな、仕事をしながら仕事をやめたい。やりたい方を削って、仕事に夢中になるのが健康と思ってる。坂口さんは、逆に二つを三つにする。焦点を増やすことで、多数を見ることになれてくる。
●岡まゆみさん
自殺の最も少ない街、徳島県海部町の研究を行っている。
●岩崎航さん
筋ジストロフィーを抱える詩人。
●向谷地生良さん
べてるの家でおなじみの向谷地さん。
●弓指寛治さん
母親を自殺で亡くした画家。自殺した人をテーマに作品を描く。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
『自殺』の続編。あれは結構印象的な本だった。今回も自殺に関わりのある人達との対話。
震災直後の福島原発危険区域に入った記者や作業員には、死にたい雰囲気の人が多かった、そこでみんな気が合って親しくなった、という話が印象に残った。確かに家庭、仕事、趣味や人間関係諸々がうまくいってる人は行かないだろう。
東尋坊の自殺防止のおじさんは、なかなか強烈なキャラのようで、対話に苦心している様子がおもしろかった。このおじさんアル中なのではないか?読んでいくうちに、「繊細と乱暴」という言葉が末井さんの頭に浮かんだのもわかる気がする。
原一男さんがガンジス川の源流で息子の気配を感じた話は、サードマン現象ぽいと思った。スピリチュアル性に欠ける想像だけど。
海部町訪問記は「生き心地の良い町」を補完するような、町に住む個人の様子が伝わってきたのが良かった。
向谷時生良さんとの対談の中で引用された、『長い間、人間は狩猟採集生活に適応して平等に暮らしてきたのに、農耕社会になって競争が生まれ、それに適応できない助け合いと協調の遺伝子が自殺という絶滅スイッチを入れるようになった』という話は興味深いけど、眉唾な感じもする。過度な競争や格差が良くない影響を与えているのは確かだろうけど。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
うつ病で、死についてよく考えてしまうので、足止めになればと思い読みましたが、共感してしまい死にたい気持ちがまたぼんやりと浮かんできてしまいました。
岡映理さんの章にとても強く心が打たれました。また、岡檀さん章と対照的でこちらも引き込まれました。自殺や死について、各章ごとに様々な価値観で語られており、この世にはいろんな生と死があって、みなそれぞれの思いで受け取ってるのだなと理解させてくれる本でした。そして全体的に死についてフラットに会話していることで、皆さんにとって生死は常に寄り添っているような、他人事ではないのだなという印象が強くのこりました。どれも良い話です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
軽い気持ちで手にとったけれど、筆者の経験がわりとショッキングだったので最初から少しぎょっとした。ダイナマイト心中なんてなかなかリアルに想像しづらい…けど現実にあったわけなんだよなぁ。ふむ。
死を選択することは基本的にタブーとされているのだけど、確かにその選択を尊重してあげることで当事者も周囲の人も救われることがあるように思う。「死ぬな」とは言えないけど「生きろ」と言うのも酷すぎる状況下にある人に対して、究極的には周りは何もできないものだ。
人生は結局のところ素晴らしいと主張する本が多い中で、自殺をしてしまった人を見てきたからこそ語れる言葉が、実にリアルな実感を持ってずんと腹に落ちてくる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
完全にタイトルに呼ばれて読んでみた。自殺というあまり公には話題にしない内容をあえて議題として挙げている感じの、様々な人の話を載せた一冊。松本ハウスの加賀谷さんの統合失調症の話などを読んでいると、その症状が出ている本人にはどうしようもないこともたくさんあって、周囲のサポートって本当に大切なんだなと。分かった気になって、自殺しようとしている人に向かって死んではいけないとかいうのではなく、ただ話を聞くだけでもいいのかなと思ったりもした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
自殺から保護する人、過去に自殺を試みた人、そして著者を含む身近な人に死なれた人、自殺の多い/少ない地方で生きる人‥そんな自殺に関わる人々を訪ねてインタビューを重ねた本なのだが、様々なタイプの人々に出会いそれぞれの時に熱すぎる思いを聞き取りながらも、「死なないでほしい」というシンプルな願望を切実に訴え続ける著者の姿にはしんみりする。