紙の本
執事が実用からイメージに変わるまで。
2019/05/07 16:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
執事というとイメージされるダークカラーのフォーマルな格好、というところにポイントを置いてあるせいか、近現代中心。
中世における貴族子弟が他の貴族に仕えたという起源から説き起こしているところがいいが、そこにもう少し筆を割いてもらえると楽しかった。呼びかけ方の細かい分別などのコラムがいい。
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写真や図版を参照しつつ英国執事の歴史と彼らの日常を解説するムック本。人件費のかかる男性使用人を抱えることができたのは一部の富裕層だけで、もう少し下の階級ではメイドなど女性使用人だけを雇っていたという話に、言われてみたらそうだよなあと目から鱗が落ちつつ。家令と執事とその他の使用人の違いやルーツ、男性使用人が出世していく過程(日本の江戸時代で言えば丁稚にあたるような下積み時代から、執事などの上級使用人になるまでの流れ)なども紹介されている。酒や競馬で身を持ち崩す執事の話とか、やらかし失敗談とか、当時の雑誌の風刺画などもたくさん紹介されていてなかなか可笑しい。数年前からアンダーザローズにハマっていたり、少し前にカズオ・イシグロ「日の名残り」を読んだりしたので、ちょっとくらい知識があったほうがもっと楽しめるような気がする……という大変軟派な動機で読み始めたのだけれど、楽しい読書だった。
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新装版の図説英国執事。執事だけでなく男性使用人についても詳しく書かれていて読み応えがある。資料も多く、掲載されている写真や当時の雑誌からの挿絵などを見ているだけでも楽しめる。
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本の体裁から見て、ごくごく軽い本だろうと思っていたがなかなか読み応えある。図書館から前に借りてきたけれど、目下集中して読んでいるところ。
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NDC 366
「古き良き時代の、貴族と男性使用人たちの生活とは? 何を思い、どんな仕事をしていたの? 何時に起きて、給料はいくら? 出世の道は? 恋や結婚は? 御主人様や奥方様とのあやうい関係? ときには犯罪に走ることも……?
コミック『黒執事』作者、枢やな氏推薦!」
目次
序章 執事の幻影
第1章 執事の起源
第2章 主人の生活
第3章 執事の出世
第4章 執事の日課
第5章 執事の生活
第6章 執事の余暇
第7章 執事の堕落
第8章 執事と主人
著者等紹介
村上リコ[ムラカミリコ]
文筆・翻訳家。東京外語大卒、千葉県生まれ。一九世紀から二〇世紀初頭のイギリスの日常生活、特に家事使用人、女性と子どもの生活文化をテーマとして活動している。『英國戀物語エマ』『黒執事』などアニメーション、コミックのアドバイザーも務める