紙の本
少しだけ大人になっていた
2019/06/25 18:21
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投稿者:まのじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
チルドレンの続編だが読んだのがずいぶん前で、登場人物の設定とか全く忘れていた。
なのでチルドレンも再読してみたが、チルドレンが陣内の回りにいる人間が主人公であるのに対し、本作は職場の部下の武藤が主人公となっていて、陣内に対する視点がある程度固定されている。
そのせいか一見支離滅裂な陣内の行動に対しても、鷹揚に受け止められた。
実際身近にいたら付き合いを遠慮したい陣内が、やけに格好良く、友達になりたいと思わせる伊坂ワールドは堪らない。
人付き合いに悩んでいるシャイな現代人に強く薦めたい。
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やっぱり好き
2020/04/30 23:47
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投稿者:あおたいがー - この投稿者のレビュー一覧を見る
『チルドレン』の続編。
やっぱり陣内さんが大好きだ。
『チルドレン』の頃よりもパワーアップしてる感じ。
自分の中にきちんと軸があって、すごく適当に見えるんだけどすごく正直で、ちゃんと人(少年たち)と向き合ってる人だと思う。
一緒に仕事をするとなると大変だろうけど…。
少年犯罪に限ったことではないのだろうけれど、罪とか更正とか、故意なのかそうではないのかとか、育ってきた背景とか、人の人生に関わり、責を担うのは難しいことだ。
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魅力的な登場人物
2019/09/08 14:14
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投稿者:りり - この投稿者のレビュー一覧を見る
チルドレンの続編のようなもの。読んでたほうがおもしろい。一見いい加減なんだけど、その人なりの考えがある、魅力的な登場人物に振り回される主人公の関係が変わらずおもしろかった。伊坂作品の醍醐味である伏線は相変わらずすばらしい。
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まずは『チルドレン』を読んでから
2019/06/24 08:53
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投稿者:touch - この投稿者のレビュー一覧を見る
家裁調査官・陣内の活躍?を描く『チルドレン』の続編。
とにかく陣内のキャラがいい!
常識はずれで、ちょくちょく周りを巻き込んだ騒動に発展させてしまうが、その言動に、ハッと胸を突かれることが多い。
小学生を無差別に襲おうとした男を取り押さえ、「前から気になっていたんだ。自暴自棄になって、こういう事件を起こす奴はどうして、子供だとか弱い奴らを狙うんだ?どうせ人生を捨てるつもりで、暴れるなら、もっと強そうで悪そうな奴をどうにかしようと思わねえのか?(中略)どうせなら酷い悪人退治に乗り出すほうが、いろいろ逆転できそうじゃねえか」。
川崎・登戸事件を思い出し、本当にその通りだと頷いた。
軽妙な筆致で進む物語だが、結構、重いテーマも投げかけている。
先述した通り魔のように、強い殺意をもって行為に及ぶも、取り押さえられて未遂に終わり、結果、誰も傷つなかったという場合と、急に道路に飛び出してきた子犬を避けようとハンドルを切って、そのために人をはねて死なせてしまった場合とでは、どちらが罪深いのか?
答えを出すのが難しい問題だからこそ、一見、無責任にも見える陣内の対応が、一番正しいんじゃないかと思えてくる。
この本は、前作『チルドレン』を読まなくても話は通じるが、陣内を深く知るためにも、まずは『チルドレン』を読むことを強く強く勧める。
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続・傑作
2022/05/26 17:41
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投稿者:イギー - この投稿者のレビュー一覧を見る
チルドレンから12年、ずっとこの本が出版されることを待ち望んでいたきがします。学生時代に読んだ青春の一冊。伊坂ファンの若者はぜひ!
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愛すべきキャラ設定
2019/05/30 17:21
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投稿者:TM - この投稿者のレビュー一覧を見る
陣内さんという登場人物のキャラが魅力。
深いところで人と真摯に向き合っている。
でもそんなそぶりは微塵も垣間見ることのできない、破天荒キャラ。
身近にそんな人がいたら迷惑と思うのか、それとも魅力的と思うのか?
正解がない社会の奥深い問題にどう向き合うのか、どう判断するのか、伊坂さんらしい軽快なタッチで問いかけられます。
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31
伊坂幸太郎の話は読みやすい
今回はまた難しいテーマでうまい解決方法がなくてモヤモヤしながら読んでたけど、最後ちょっと救いがあってよかった
悪い人は轢いたらいけないのかって問いかけ、即答で違うって答えられないな
人を一人轢き殺した、という結果だけじゃなく、加害者や被害者の生い立ちでどちらかに同情させるように仕向けるのが今のマスメディアのやり方で、それが結果裁判とかに左右されるとなるとたまったものじゃないね。裁判官ってそういう世論に左右されないようにきちんとしてるの??
未成年の犯罪は罰則より更生を、という形だけど
更生するような社会になっているとはわたしは思えないな。だからこそまた犯罪を繰り返すんじゃないの、そういう生き方しかできないし、それを世論は望んでいるのだから。
わたしだって自分の周りに前科持ちの人がいたらいやだもん。
そんな中 陣内の存在は救いだったな~。
飄々とした小山内に、友達だろって言ったところ感動した。
火星にでも住むつもりかい?と同様に、勧善懲悪じゃないし難しいテーマだからモヤモヤするけど、面白かった。
2019.04.29
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無免許運転で人を轢き殺して、しまった青年。彼は何故、このような凶行を引き起こしてしまったのか?
故意、過失。担当官の武藤は悩む。そこへ問題児監査官である陣内さんが、σ(^_^;)
少年法の問題は難しい。改めて思ってしまった。それをエンタメで読ませてくれる伊坂さんの力量よ!
すごい作家さんですわ。
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なぜサブマリンか、解説にあるように、「意識の奥底のほうに押さえつけている、どうしようもない欲動」の比喩か。帯にもある「暗い深海からの声」か。
今回もまたヘビーなテーマを扱う伊坂先生。
交通事故は、誰もがあっという間に加害者にも被害者にもなりうるもの。さらに、加害者が少年であるということや、その少年の背景であるとか、家庭環境であるとか、そういうところに思いを馳せずにはいられない。少年は、加害者である前に、被害者だったんだ。
とある番組で、「制裁として」いじめをした側がクラスを変わったり転校するのではなく、いじめられた側がそれらを強いられてしまうことについて、スクールカウンセラーさんに意見を問うたところ、「なぜいじめた側が制裁を受けないのか」答えられなかった、といったような内容のニュースを目にしました。そして、それに答えられなかったカウンセラーさんを信用できないと。また、コメントを見るとそのように思っている方が多くいらっしゃるそうで。
けれど、このスクールカウンセラーさんが言いたいことは、いじめをした側の話も聞こうよ、って、そういうことだと思うんだ。なんにもない子がいじめなんてしないもの。何かがあるんだよ。大人が、その何かに気づいてあげないと。
少年に必要なのは、制裁ではなくって、SOSに気づいてあげること、そのいじめっ子にとっては、そのいじめがイコールSOSなんじゃないかな?加害者とか、被害者とか、そういう風ではなくて、みんな感情と肉体を持った生身の人間で、思っていることや育った環境なんてみんな違うんだから、みんなが安全に、自分らしく生きることができるようにしましょうよ、っていうことではないのか。
決していじめっ子を擁護しているわけではありません。暴力はよくない。
個人的には、あのスクールカウンセラーさんの意見に、批判が多いことのほうが驚きました。
話は逸れたけれど、ちょうどこの作品を読んでいる時に、そんなニュースを目にして。
スクールカウンセラーさんの意見に納得できなかった人は、この作品を見てどう思うだろう。若林青年が生きていること、棚岡佑真が生きていること、小山田俊がこのまま日常生活を送ることは、許せないのだろうか。
みんないろんな事情がある中で精一杯生きていて、自分ではどうにもならなくなったことを、暴力でどうにかしようとする人がいる。いじめも同様に。それは、どうにもならなくなったことへの発散方法がいけないだけで、別の方法で発散すればいいのだ。その発散方法を、関わっている大人は一緒に考えていくべきで、加害者=犯罪者=はじき出す、みたいなやり方は、その子からただ逃げているだけで、その子にもきちんと向き合う機会を失わせるし、大人は大人としての責任を放棄してしまっていると思うんだ。だから、「制裁として」いじめっ子を転校させるのは楽だし、その学校でのいじめ被害はなくなるかもしれないけれど、根本の解決には全くなっていなくて、結局また、転校先で同じことが起こるかもしれない。だから、武藤も陣内も、奇跡を信じて、少年と向き合いつづける。暗い深海からの声に、耳をすませる。次の声が、その少年の、本���かもしれないから、諦めずに、向き合い続ける。
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2ヶ月前に読み終わってたけどメモも書いてなかった。個人的な話だけど、前作チルドレンで僕は小説の面白さというものを知ったので、続編が出ること自体に感慨深いものがある。登場人物は、相変わらずの武藤無双があるのが世界の繋がりを感じるし、一方で、この小説ではこのご時世に目指したいモデル像というのがなかなかいない世の中で、武藤という一つのヒーロー像を描いていることだ。思えば過去の伊坂作品では、こうしたヒーロー像なるものは何度か描かれてきた。そして少年達には正にそうした、追いかけたい背中を見せる大人ってもんが必要で、現実へのアンチテーゼになっているような気がしてならない。
そしてこれは、少年のみならず社会に出ている人々にも通じるのだと思う。僕自身がそうだ。
多様性と呼ばれる多様な価値がひしめく中、相対的な価値観の世界で何が自分にとっての絶対かが分からない。そうした不安の中で生きる人にとって、武藤の言動はある種魅力的に見える。
サブマリンとは、そうした社会の荒波の中で潜水しじっと耐えている人にも届くメッセージ性があると僕は思えて仕方がない。
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最近Kindleばかりだったから久しぶりのフィジカルな本。罪って何か。犯してよい罪なんてあるのか。全て一律に断罪されるのか。それは違う。何であれば許されてどこからは許されないのか。その内面に触れるほど酌量の余地のある事情に気づくかもしれない。犯罪を犯す者が全員悪魔のような顔をしている訳ではない。身の回りにいる人と同じかもしれない。わざとではないから、事情があったから仕方ない、でも被害者からしたらそんなことは関係ない。きっと腸が煮えくり返るほと許せないはず。じゃあ極めて重い刑罰でもいいのか。酌量を勘案して軽くしてもいいのか。単純な答えは存在しない。そこに寄り添って、どれだけ考え悩み抜くか、その過程に意味があったりするのかもしれない。難しい。考え続けなくちゃいけない。
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伊坂幸太郎作品を久しぶりに読了。
家庭裁判所の調査官と子どもたちの話。いや上司との話か。
不本意ながら十字架を背負った子どもたちの葛藤と想いがぶつかり合う人間ドラマ。大きな展開はないものの、流れていくストーリーの中で、心の変化が垣間見えて楽しめました。
伊坂作品はよく音楽をモチーフにされているけど、
今回もジャズのプレイヤーを引き合いにしていて、そのあたりも面白い表現だと思った。
【個性心理學分析】
伊坂幸太郎
本質 人間味あふれるたぬき
表面 猿
意志 子守熊
レール ワイルド
⇒ 執筆スピードはまさに「鉱脈」×「鉱脈」細部までこだわるのはお猿さんかな。
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チルドレンの内容が頭から飛んでいるんですけど。
まあ、考えさせる未成年者の事件や交通事故ニュースも絶えませんので良い読書だったと思おう。
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家裁調査官・陣内の短編集「チルドレン」の続編。今回は長編。前作に出た人物も登場していて思わずほくそ笑んでしまう。
本作でも陣内のキャラは健在で、暴言や規格外の行動で周りを困らせていた。そして視覚障害者の永瀬の落ち着いていて達観した感じもまた相変わらずだった。2人ともなんと魅力的なんだろう!
少年犯罪を扱っているため、最後にスーッとするような明快な結末は待っていない。それでも未来は捨てたもんじゃないと思わせてくれた。やっぱり伊坂ファンはやめられない。
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おお、新刊だ、と購入。
なんて言うのか、思ったよりも先輩が良い人だった。そして、良い話だった。確かに彼は仕事が恋人というか伴侶なのかもしれない。
罪を贖えるとか、償うってどういう事なんだろう。
物事の表面だけを見て善か悪か、〇か×かを決めつける世間というものに対し、個を見る事の大切さと難しさ。
そんなものを感じさせながらも重くならない。重いけど重すぎないし、希望がある。でも全体としてハッピーエンドというわけではない。
上手いなぁ、と思いました。バランスが。
そして正義感強い人って生きにくそう、と思いました。