紙の本
免疫関連の本が近時いろいろ出ていますが、本庶佑さんの研究の軌跡をたどることができます。
2019/04/26 10:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、本書の中でオプジーボの薬価について「もしPD-1抗体投与によって、三か月から半年の通院により、完全寛解あるいは半永久的に腫瘍の増殖が防げるということになれば、その医療費削減効果が大きいことも想定される」とした。特に第4書の社会のなかの生命医科学研究と、第5章の日本の医療の未来を考えるを多くの人たちに読んでほしい。本庶氏の発言が全て正しいというわけではないが、これからの日本の医療を考える参考にしてほしい。
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「はじめに」に書かれているひとりの研究者として自立していくために必要と考える「6つのC」とはCuriosity好奇心、Challenge挑戦、Courage勇気、Confidence自信、Concentration集中、 Continuation継続。まず、好奇心を大切にすること。その好奇心の対象に対して挑戦する勇気を持つこと。そのとき必要なのは、自信を持つこと。そして集中し、継続すること。これを読んだだけでも意味があった。これらは研究者だけでなく、若者がふつうに社会に出て行くにあたっても必要と考えられる。それどころか、学校生活を送る、そして受験をひかえた子どもたちにこそ必要とも思われる。さてさて、専門的な内容はともかく、後半で、生命科学と医療の関係や、日本の保険制度などについては考えさせられることも多かった。というか、ノーベル賞をとるような研究者も、こうして社会と関わっていかれているわけだ。そりゃ、当たり前か。年齢的なこともあるし、湯川先生や朝永先生を持ち出すまでもなく、みなノーベル賞受賞者だからこそ、社会的な影響力もあるわけで、当然なんだな。
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2章が免疫療法の詳細を述べた部分である。3章では生命倫理、4章では研究をめぐる資金などの話であった。
もっと歴史的なことも含めて免疫療法や他の方法について詳細に書いてもよかったような気がする。
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はじめに
第1章 免疫の不思議
第2章 PD-1抗体でがんは治る
第3章 いのちとは何か
第4章 社会のなかの生命医科学研究
第5章 日本の医療の未来を考える
参考文献
ノーベル生理学医学賞受賞晩餐会スピーチ
あわりに
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オプジーボの生みの親である本庶先生による、ガン免疫療法の解説である。
オプジーボとほぼ同じ働きをするキイトルーダの点滴を現在受けていて、ほぼガンが見えないところまで改善してきている。ここまで生きてこられたのは、本庶先生のお陰と言える。
その説明が本人から得られるのはありがたい。
免疫療法の理解が深まった。
後半の日本の医療に関する提言等はこの本のタイトルにそぐわない。
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「がん免疫療法とは何か」本庶佑著、岩波新書、2019.04.19
212p ¥821 C0247 (2019.12.27読了)(2019.12.16借入)
中身が濃くて理解が困難でした。題名に反して、多くの話を盛り込み過ぎている感じです。題名にそった話は、第一章と第二章ぐらいです。いちばんページを割いているのは、第三章です。第四章と第五章は、医療の話になっています。
著者の考えてきたことを全部盛り込みたかったのでしょう。
【目次】
はじめに
第1章 免疫の不思議
生命システムの一般則
多細胞生物体の特徴
免疫のしくみ
獲得免疫の原理
特異性と制御
免疫の全体統御
第2章 PD-1抗体でがんは治る
1 革新的がん免疫療法の誕生
2 免疫学の発展とがん免疫療法のたどった道
3 PD-1抗体治療の研究・開発の歴史
4 PD-1抗体治療の今後の課題
5 基礎研究の重要性―アカデミアと企業の関係を考える
第3章 いのちとは何か
1 幸福感の生物学
2 ゲノム帝国主義
3 有限のゲノムの壁を超えるしくみⅠ―流動性
4 有限のゲノムの壁を超えるしくみⅡ―時空間の階層性
5 ゲノムに刻まれる免疫系の〈記憶〉
6 内なる無限―増え続ける生物種
7 生・老・病・死
8 がん、細胞と個体の悩ましき相克
9 心の理解への長い道
10 生命科学の未来
第4章 社会のなかの生命医科学研究
現代の生命科学の置かれた位置
生命科学と医療のあいだ
医療・生命科学の社会実装
医学研究への投資
生命医科学研究における競争
国民の生命医科学への理解を深める
第5章 日本の医療の未来を考える
世紀医療フォーラム
国民皆保険制度の維持に向けて
医療をめぐる環境変化と課題
医師不足は本当か
終末期医療と死生観
治療から予防へ
参考文献
ノーベル生理学医学賞受賞晩餐会スピーチ
おわりに
世紀医療フォーラムについて(阪田英也)
☆関連図書(既読)
「ゲノムが語る生命像」本庶佑著、ブルーバックス、2013.01.20
「免疫革命がんが消える日」日本経済新聞社編、日経プレミアシリーズ、2017.02.08
「種の起原」チャールズ・ダーウィン著・堀伸夫・堀大才訳、朝倉書店、2009.05.10
「ダーウィン『種の起源』」長谷川眞理子著、NHK出版、2015.08.01
「二重らせん」J.D.ワトソン著・中村桂子訳、講談社文庫、1986.03.15
「精神と物質」立花隆・利根川進著、文春文庫、1993.10.09
「私の脳科学講義」利根川進著、岩波新書、2001.10.19
「ES細胞」大朏博善著、文春新書、2000.05.20
「iPS細胞ができた!」畑中正一・山中伸弥著、集英社、2008.05.31
「iPS細胞」八代嘉美著、平凡社新書、2008.07.15
「「大発見」の思考法」山中伸弥・益川敏英著、文春新書、2011.01.20
「生命の未来を変えた男」NHKスペシャル取材班、文藝春秋、2011.08.30
「細胞が自分を食べる オートファジーの謎」水島昇著、PHPサイエンス・ワールド新書、2011.12.02
(2020年1月4日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
PD‐1抗体による免疫療法は、がん治療の考え方を根本から変えた。偶然の発見を画期的治療法の開発へと導いた著者の研究の歩みをたどりながら、生命現象の不思議、未知の世界に挑むサイエンスの醍醐味、そして「いのち」の思想から日本の医療の未来まで幅広く論じる。ノーベル生理学医学賞受賞晩餐会スピーチも収録する。
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命は、滅ぶことによってその存在が活きる。
免疫療法、がん治療、そもそもいのちとは、研究とは。いろんなことへの想いや考え方が載っている本。
免疫療法についてもう少し知りたくなった。
もう少し詳しくその部分を書いてほしかった。
2021.5.25
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2018年にノーベル生理学医学賞を受賞した本庶佑の本で、PD-1抗体による免疫療法についてなど語っている。正直PD-1についてはよくわからない部分も多かった。そもそもがんとは細胞分裂する際に、一つの細胞がまったく同じ細胞に分裂するはずが、そうならずにできてしまった細胞が増えると「がん」になるという。免疫療法というのは、細胞分裂が失敗しないようにするものなのか、それとも細胞分裂に失敗してしまったとしても免疫でやっつけるられるように助ける療法のことなのかわからない。このPD-1抗体はがん治療の考え方を根本的に変えたらしいけれど、それは従来のものからどう変わったのか。