シュールにして切ないショートショート
2019/11/19 23:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゆるくてシュールな奇想ショートショート集。「妹の右目からビームが出て止まらない」とか「私は忍者の格好をしているので、だいたい警備員に止められる」とかパワーフレーズが散りばめられてて楽しい。かといって出オチでもなく、奇妙さからくる悲しい余韻もある。
投稿元:
レビューを見る
好きな表現がたくさんあって、何度でも読みたくなる。
とくに好きなのは、
「星を読まない」「こっくりさん」「狼」「かなでちゃん」「チェーンソー」「お墓」
読むのが何度目でも、おみくじみたいにランダムな気持ちで挑む。
出てくる人が楽しいと思ってることとか、信じてるルールとか感覚が響いて、親身な気持ちになる。事あるごとに、「助かる〜」(こっくりープーさん)って口に出して言いたくなったりする。
骨や爪やチェーンソーなどの出てくるパーツもそうだけど、身体感覚が好きなんだと思う。
お話を話してる主体が、若者だと思っていたらおじいさんだったりしてそんな風に小さく裏切られる。世代感覚を飛び越えたり移動したりして、何百年も生きてる人の気持ちになったりできる。
この本のなかから掬い取れるような感受性が、何十、何百、何億光年先まで届いたらいいのに。届くと思う。
とにかくめちゃくちゃいいし、おもしろいから
みんな読んで!!!
投稿元:
レビューを見る
インパクトのある短編が沢山詰まった物語。「妹の右目からビームが出て止まらない」や「こっくりさんと暮らして七十年になる」など。出だしで心捕まれる(笑)読み進めていく内、話は不穏な雰囲気になり怖くなる。小さい頃、ふと空想的に思い浮かべた怖い事柄が文章にされた感じ。世にも奇妙な気持ち。
投稿元:
レビューを見る
58こういうのが好き
彼がよろこぶと思って、僕は、本当はこわいのは大丈夫だったけど、そのはじめてのデート以来、彼の前でちょうどいい感じにこわがるのを、死別するまで三十年続けた。
66刺繍
僕はそのふたりのうちの片方を針でめった刺しにした。すると、しんどくなってきた。だれのことも憎みたくなかった。でも、どうして嫌な目に合った僕が我慢しないといけないんだろうと思って、もっと針で刺しまくった。その隣で僕と猫が笑っていた。
投稿元:
レビューを見る
こわいものが愛らしくなったり、何の変哲もないものがいきなり牙を向いたりと著者の幅を知れる一冊。
感情と行動が直結しているからか、こうなれたらいいなが詰まっている。