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認知症と診断され息子の事さえも徐々に忘れていく母・百合子と、母と生きてきた日々をたどっていく息子・泉。
辛い出来事もあり切ない話なのだが、不幸には思えなかった。打ちあがった花火の色や形は忘れても、誰と一緒に見てどんな気持ちだったかは残る。
とはいえ、自分だったらこのような状況になった時、はたして現実を受け止められるのかなぁとも。
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20190728 家族とは親子とは人間とはいろいろな問いかけが込められた小節。答えはそれぞれで良い。身近な話しなので考えさせられた。
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人の記憶は頼りない。
絶対に覚えておこうと思ったことなのに、いとも簡単に忘れていくし
都合の良いように、いつの間にか記憶が改ざんされてしまったりもする。
だけど、細部は忘れてもその時うれしかった気持ちや
大切に思った記憶はきっと身体のどこかが覚えているんじゃないだろうか。
アルツハイマーという病は残酷で、名前を聞いただけで
震えあがってしまうのだけれど
記憶を無くしても残るものはきっとある。
あまりにも切なくて悲しくて、美しい物語でした。
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今や新海誠のプロヂューサーとして有名になってしまった著者であるが、自著も映画化されクオリティーも高い。本作は認知症となってしまった母親百合子さんの話が中心であり女のサガとそれと相容れない母性に揺れ動いた女性の半生でもある。これ映画で見てみたいなあ、新海誠思い切って大人アニメ作ってみないかしら、こういうのは岡田麿里の方が得意かな。しかし最近の小説はストーリーの面白さばかり追求してきたが、久しぶりに文学的感動を与えてもらった気がする。最近も中島京子の「長いお別れ」を読んで映画も見たが、高齢社会となってこういう作品は増えそうだ。
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「世界から猫が消えたなら」「億男」と読んできた川村元気作品。
今作は、主人公である泉の母が、アルツハイマー型認知症を発症する段階をリアルに描き、その親子関係までもリアルに描かれていた。つまり超現実的なのだ。
介護の仕事をしている自分、その自分と同年代であろう泉と母の関係、身につまされるものがあった。泉に感情移入しすぎて一瞬で読み終わった。今の自分がこの本を読んだことは、何か意味があるような気がしてならない。
川村さんの作品は毎回ハッとさせられる。「失っていくということが、大人になるということなのかもしれない」
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帰宅途中の電車の中で読み終えました。ラスト、じわじわと主人公の気持ちが迫り、涙が溢れました。私にも息子がいます。私がいつか死んだ後、息子は何を思うのでしょうか…
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母親が認知症になる話。
家族が認知症になる小説のなかでは、個人的には中島京子の長いお別れのほうがおもしろかった。
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息子さえ分からなくなった認知症の母が、最後まで覚えている「半分の花火」を息子自身は覚えていない。
親の愛情はどこまでも深く、受けた愛情を今度は我が子に注いでいくということなんですね。
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母一人に育てられた泉はもうすぐ父親になる。その母百合子は認知症、昔、泉を捨てて不倫していた過去がある。親とは子とは、の繋がりを描いてるが、施設にすぐ入れたり、エピソードもまとまりすぎているような気もする。現実的でない、綺麗事な感じも漂う。
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認知症が進む母と、子供ができ父になろうとしている一人息子の記憶。
場面が細切れに展開され、時系列も分かりづらく、読み手が認知症の状態にさせられる。意図的な書き方だとは思うが気持ちよく読めない。
19-89
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気鋭のクリエイターが認知症をテーマに書いた小説なんて、ちょっとあざとい気がしながら読み始めた。主人公もレコード会社勤めでクリエイティブ系だし、きわめて映像的……さらにいえばアニメ的な設定に思えてならない(このあたり著者の経歴への偏見がまじっているかもしれないけど)。でもわりといい小説だと思って読み終えた。どうしても力量不足な感じもするんだけど、一方で著者なりに認知症の人や家族が出遭う状況を誠実に描こうとしている感じがした。(アニメ的でなく)小説らしかったのは、いまや認知症の母が一時期出奔していた時期があったということ。それと生まれ来るわが子のことを後半でそれぞれ軽く絡ませてきたのが読み応えを厚くしている。
息子の介護というか認知症の母への接し方ってこんなもんでしょうね。会社じゃ一人前に仕事してるのにどうにも不器用。現実と向き合わずべったりかかわらないセンシティブな感じが、これがけっこうよく描けている。
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母親と成人した一人息子の何気ない日常の会話のやり取りから始まったが、次第に母親が認知症になっていってしまう。その様子や息子側の気持ち、母親側の気持ちが段階を踏んで丁寧に書かれている。この作品は家族に認知症の人がいるとより一層理解や気持ちが解る。私は今現在、認知症の身内がいるのでこの本は心に刺さる一冊でした。
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母子2人で育った泉が、大晦日帰省をすると、母は公園のブランコで佇んでいた。
アルツハイマー型認知症を患った母とその息子の物語。…
認知症をテーマとした話はいくつか読みましたが、今回は親子の歴史の中に忘れられない事件があったというもの。
それを無かったことにして暮らしてきた2人でだったから、泉と百合子の間には僅かなわだかまりがあった。
息子目線から見る母の病気、介護。
胸が詰まるものがありました。
多感な時期の息子を裏切った母を受け止めた息子と、一生をかけて償う決心をした母の思い出の半分の花火が、母の最後に見たかったものだったのですね。
母の目線で読んでしまい、共感出来ない部分も多かったですが、最後のシーンは泣かされました。
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百花。
川村元気さん。
失っていくということが、大人になるということなのかもしれない。
もし今自分が死んだら、
母のことを誰が語るのだろうか?
それらを知る人は、この世界にいなくなる。
母は現実の死と同時に、記憶の中でも亡くなる。
死。というもの。
怖い、泣きたい、叫びたくなる。
でも、
身近に、優しくあたたかに感じることができた。
余韻が残る本でした。
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母百合子と、息子泉との物語。
母は認知症が進むほどに昔のことを話したり少女に戻っていく。泉は忘れていた記憶が母が亡くなって半年後に思い出す。「半分の花火」
人の記憶は曖昧で忘れていく生き物だけど、それは生きていく上で必要なことだと思う。