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【人生百年時代に光を投げかける、愛と記憶の物語】「あなたは誰?」息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。現代において、失われていくもの、残り続けるものとは。
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テレビの特集本で紹介されていたので購入。
序盤から主人公の母が認知症になっていく過程が綴られています。実体験なのかなぁと思うくらい、リアルに描かれている印象でした。もし自分の親も認知症になったらと考えると、読んでいるとその現状に目を背けたくなると思いますが、覚悟しないといけないなと改めて考えさせられました。
主に主人公の視点なのですが、母のことを「母」と書いたり「百合子(母の名前)」と表現したりと何故なのかなと思いながら、読んでいました。
中盤からある物を境に主人公の母に対する印象ががらりと変わりました。それまでは、どこにでもいそうな親子という印象でしたが、後半以降は、複雑な気持ちでした。だからなのか「母」だけでなく「百合子」と書いていたのは、母親である前に一人の女性として描いていたのかなと思いました。ただ、昔の母の赤裸々な実情を読むのは、自分に置き換えると、見たくないような見たいような複雑な印象でした。
また、最後になるにつれて、親についての事実がジグソーパズルのようにピースがはまっていきます。主人公は母の真実を最初から知っていたんだなと思った時、もう一度最初から読んでみたくなりました。2回目読むときは、また別の気持ちが生まれるではと思いました。
感動はするのですが、読むうちにいつの間にか年月が経過していくので、「えっ?もう経っていたの?」と思うところが多数ありました。なので、急に感動の場面が登場するところもあるので、泣くに泣けませんでした。
ですが、母と息子にしかわからない特別な絆を垣間見れて、改めて親という存在を再認識させられました。
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認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母と、
母との思い出を蘇らせていく息子。ふたりには
忘れることのできない”事件”があった…。
現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。
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認知症になった母の百合子と息子の泉。空白の一年に何があったのか?
百合子を支えながら色々な過去を思い出していく泉。
半分の花火を見たかった百合子。その記憶が泉に蘇った時さらに寂しさが増していきました。
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今では珍しくもない認知症にかかった母と息子の話。
母の立場での記述が現実味があって怖い。
時には女になったり娘になったり母に戻ったり…
それを息子が受け入れるには辛いものがあるだろう
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『•••どの花火が良かったのか、それが何色で、どんな形だったか。ぜんぶ忘れちゃう。だから、花火って素敵だなって思うの』
母親に忘れられていく息子に、この先起こりうる自分の姿を重ねてしまいました。記憶を失った時、大切な人の存在はどうなってしまうのだろう、自分の存在はどうなるのだろう?
記憶の持つ哀しみや、大切な人との関係を考えさせられるお話でした。
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この本を読んでいると、父とのことをあれこれと思い返しました。
「現代において、
失われていくもの、
残り続けるものとは何か。
すべてを忘れていく母が
思い出させて
くれたことは何か。」
そう本の帯には書かれています。
この本を読んで思ったのは、その時、その時に生きるのに必要なことは思い出す、蘇るっていうこと。
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読み始めから胸が締め付けられるストーリー。
認知症の怖さを改めて感じた。
もし母が、もし自分が、色々考えてしまう。
花火は、
"色や形は忘れても、誰と一緒に見て、どんな気持ちになったのかは思い出として残る"
という母百合子の言葉。
"人間は体じゃなくて記憶でできているということ?"
"人間の個性は欠けていることによって生まれているのかもしれない"
"失っていくことが大人になるということなのかもしれない"というキャリア志向の強かった妻香織の発した言葉。
いつか認知症と向き合う時が来るかも知れない時のために、何かを感じる一冊だった。
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認知症の母と息子・泉。母認知症で全てを忘れてゆく、息子さえも。泉は母との思い出を掘り起こす。
いくら自分がそうなりたくないと思っていても、否応なく記憶を消してしまうかもしれない。泉にとって母にとって辛い出来事があったとしても、最後まで二人は親子でした。自分にも訪れるかもしれない結末。誰にでもあるであろう物語。実際認知症の方と生活を共にするのは大変ハードなことと思いますが、こちらは愛を主軸に書かれたもので、親子の愛に満たされました。楽しいことばかりではなく、辛いこともあったし、でも親子にはしっかりとした絆がありました。そこに自分自身のことと重なり心が揺さぶりますね。この物語では、花火のところが印象に残ります。忘れるから素敵である、か。哀しいね。
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母一人子一人の家庭で育った泉。大人になって自分が家庭を持ち父親になる時、思い出す子供の頃のこと。認知症になっていく母を前に二人共に封印していた一年間の過去を母の日記から思い起こしていく。確認しておかなければならないことを母親が何もかも忘れてしまわないうちに…
なにがあっても母子の愛は勝るし代わるものはない。ゆえに
読了後、少し放心…。息子の目線であるからか母親目線でこの母の行動は許しがたい…。
美しい文章だからこそもうちょっと母の心情やこの母の行動を考えてほしかった…。母とは…
大事なことはそこではないのかもしれないがひっかかってしまいました。
帯より
現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。
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蔵書なし
2019/07/24リクエスト
8ヶ月待ちでやっと読んだ本。
最初から不穏なムードが漂い…認知症を疑いつつ、認めたくない、息子目線のそんな気持ちが伝わる。
元ピアニストの母、百合子は、シングルマザーで泉を育ててくれた。ギクシャクしていた関係が、母親の認知症が進んでいくにつれ、コミュニケーションがとれるようになっていく…
なんか、わかる気がした。
高齢者のみならず、人が死んでいくときに、意識混濁していく、そのときに感じたことに似ている。
辛い話、でもこれからの日本にはもっともっと知らなければいけない現実であると思う。
きちんと認知症と向き合い勉強も大切だけど、フィクションから知ることも重要だと思った。
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自分の親が同じ状況になったらどうしようと思った。死と生。介護と出産、仕事との両立。僕がこれから直面するだろう現実味ある作品だった。
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母親が認知症という人ごとではない重いテーマと父親を知らない泉が父親になるというとまどいを描いている.そして,二人で生きてきた泉と母の歴史の中に影を落とす空白の1年が日記の形で露わになる.ここに阪神大震災が出てきて驚いた.人間生きるか死ぬかという時になって本当に大事なものがわかるのだと思ったけれど,それにしても私なら許せないと思った.泉君君はえらい!
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認知症と診断され息子の事さえも徐々に忘れていく母・百合子と、母と生きてきた日々をたどっていく息子・泉。
辛い出来事もあり切ない話なのだが、不幸には思えなかった。打ちあがった花火の色や形は忘れても、誰と一緒に見てどんな気持ちだったかは残る。
とはいえ、自分だったらこのような状況になった時、はたして現実を受け止められるのかなぁとも。
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20190728 家族とは親子とは人間とはいろいろな問いかけが込められた小節。答えはそれぞれで良い。身近な話しなので考えさせられた。