紙の本
現在の問題も
2024/05/26 14:33
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナイジェリアは人口においても経済においてもアフリカ最大の国でありながら日本では遠い存在であろう。それだけにその前史から論じられている本書は貴重なものである。またボコ・ハラムなど現在の問題も歴史的経緯をふまえなければ理解が難しいので、その点でも重要なものであろう。
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アフリカ最大の経済、人口を持つ国ナイジェリア。サハラ交易から説き起こし、探検、奴隷貿易、植民地化を経て独立後の現在までを辿る
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第1章 ナイジェリア誕生以前:サハラ交易
第2章 大西洋貿易
第3章 奴隷貿易の禁止
第4章 探検と宣教
第5章 アフリカ分割から特許会社支配まで
第6章 イギリスによるナイジェリア植民地支配
第7章 反植民地運動のはじまり
第8章 独立からビアフラ内戦へ
第9章 軍事政権と第二次共和制時代
第10章 民政移管とボコ・ハラム問題
著者:島田周平(1948-、富山県、地理学)
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これだけの大国なのに、1960年の独立後、体制が固まってきたのはごく最近なのには驚き。混乱の要因である地域間対立の経緯について、時系列的に丹念に説明している。オバサンジョ元大統領に対する評価など、関心の高いいくつかの事柄にあえて触れていないもどかしさを感じた。まだ流動的な部分が多いのかもしれない。
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前半では近世以前の西アフリカ一般の歴史の中でのナイジェリアの位置付けを
後半では近代以降のイギリス統治下の保護領としての歴史と独立後の歴史を述べている。
図やグラフも適宜挟まれていて読みやすく、歴史の概観を掴むにはちょうどいいと思う。
しかし前書きや後書きに見られる「要の国」という概念に対する説明が不足しているように感じた。
アフリカは北部のアラブ主義地域と南部のネグロ主義地域に分けられる。そしてナイジェリアはこれら2つの地域をまたぐ唯一の国である。これをもって著者はナイジェリアを「要の国」とし、南北アフリカを繋ぐ役目を期待しているようである。
しかしそのような全く異なるイデオロギーを持つ両地域を1つの統一国家に押し込めることに必要性があるのかは疑問である。
本書の主題でもあるように、ナイジェリアは多くの異なる歴史的背景を持つ地方、民族の寄せ集めである。
もしナイジェリアに「要の国」であることを期待するのであれば、この国が1つの国として存続することの必然性について述べるべきであろう。
そしてそもそも"「要の国」としての役割"とはどういうものなのか、についても具体的な説明が欲しかった。
とはいえ歴史読み物としてはこの辺りの議論は本筋ではないため、大きく紙幅を割かずに簡潔にまとめることを著者は選択したのかもしれない。
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人口一億越えのアフリカの大国、ナイジェリア、土地はまあまあ肥沃で人々のエネルギーとポテンシャルは凄いのに治安に社会システムに生活環境がカオスな印象...。
ナイジェリアについてはほとんど何も知る機会もなく、偶々本屋で本書を見つけて通勤時間に読んでみました。
ナイジェリアという国が南北アフリカの境界上にあって各エリアで文化も価値観も生活スタイルも宗教も気候もすべてが全然違うことを今更ながら知りました。
また奴隷、植民地、石油、無益な内戦...、色々大変なことに巻き込まれているんだなと感じました。
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前回の新書より2ヶ月以上経ってしまった。
もっと意識して読んでいきたい。
アフリカにイスラム教とキリスト教が存在したことが驚き。
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アフリカの大国ナイジェリアについて、通史的に地域の歴史や社会の変遷をまとめた労作。
ナイジェリアを概観するには最適の書物だが、読めば読むほど性格の異なる3地域であることが浮き彫りになってくる。
植民地から独立した国の苦労が偲ばれるところであり、ある程度強権的に抑えないことには国としてまとまらないのかなと思った。
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日本にとって、知られざるアフリカの大国、それがナイジェリアです。
アフリカ最大の石油・ガス産油国、人口は2億、国土は、日本の2.5倍というナイジェリアは急速に発展しているアフリカの中で第一の経済大国なのです
新しい発見がたくさんありました。
気になった言葉、キーワードは次の通りです。
・ナイジェリアの語源は、ニジェール川の国です。古今東西に及ばず、大河が大国をささえています。
・北をサハラ交易(イスラム圏)、南を大西洋貿易(西洋圏)、ナイジェリアだけが、東西両圏に接するアフリカ唯一の国です。
・サハラを行き交う交易品は、きわめて高価な品でなければならなかった。胡椒、象牙、皮革、ダチョウの羽、金、奴隷⇔ 銅、ガラス、高級織物、ビーズ、岩塩、子安貝、武器、馬
・南部で交易された奴隷は、1100万人と推定、奴隷貿易のせいで、その間、アフリカの人口は増えることはなかった。
・1807年奴隷貿易禁止法 イギリスがナイジェリアへ介入を始めるきっかけとなる。
・1884年アフリカ分割会議⇒1890年東西ナイジェリアのイギリスによる植民地化⇒1914年東西ナイジェリア両保護区の合併
北部:イスラム系の王国 ベニン王国、オヨ王国、イバダン王国、イロリン王国 欧州化を図るもイスラム色のために失敗
南部:イボ族ら、細かい部族に分かれている⇒西欧化の実施 教育の有無が以後の南北問題を引き起こしていく
・1960年 独立⇒イボ族の地:イボランド:ニジェール・デルタで石油発見⇒頻発するクーデター・クーデター未遂⇒ビアフラ内戦⇒汚職・クーデター頻発・財政危機
2007年民政化⇒ボコ・ハラム(少女の誘拐事件)⇒地域紛争
※外務省メモから
・首都アブジャを設計したのは、丹下健三
・ナイジェリアはサッカー大国
・女性の社会進出は、世界第3位、①ニュージーランド、②オーストラリア、③ナイジェリア
目次は、以下です。
はじめに
第1章 ナイジェリア誕生以前:サハラ交易
第2章 大西洋貿易
第3章 奴隷貿易の禁止
第4章 探検と宣教
第5章 アフリカ分割から特許会社支配まで
第6章 イギリスによるナイジェリア植民地支配
第7章 反植民地運動のはじまり
第8章 独立からビアフラ内戦へ
第9章 軍事政権と第二次共和制時代
第10章 民政移管とボコ・ハラム問題
おわりに
参考文献
年表
主要項目索引