紙の本
足跡を追う
2020/05/09 15:55
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
雪に囲まれた密室に、見事に騙されてしまいました。ふたつの時代で起きた事件を、時おり交錯しながら解き明かしていく展開もスリリングです。
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作風が変わった気がするのですが。いい意味でフレンチミステリーらしくないところが好きだったのに、ずいぶん変化球を投げてきたというか、こってりして結果的にフレンチっぽくなってきたというか。
雪の中での不可能犯罪は、
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「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズの第二弾。今回も不可能犯罪物で、雪の密室がメインの謎になっている本格ミステリ。
雪上の足跡トリックは、もう出尽くしたと思っていたが、まだこういうアイデアがあったとはね。アルテ氏、流石です。面白かったです。
ただ、今作は構成だけがあまり好みではなかった。過去と現代が交互に描かれていて、名探偵は過去の殺人事件にのみ活躍する。現代の方の謎と、それが過去の出来事にどう関わってくるかが見所でもあるのだが、その点は巧みと思えなかった。もっとシンプルに、名探偵が不可思議な謎に真っ向から挑む話が読みたいなあ。次回作はそうであって欲しい。
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オーウェン・バーンズシリーズ。前作「あやかしの裏通り」がとんでもない超常現象をすっきりと解き明かしてしまう物語だったので、今度もその傾向かと思ったら。今回はすべてが解明されるわけではないのだけれどそれがまたいいかも。好き嫌いは分かれるかもしれませんが。
子供の頃の記憶に深く残る映画を探す男。雪の中で起こった足跡のない殺人現場。時代も舞台もかけ離れた二つの物語が、徐々に符合していく不思議な読み心地の作品です。もちろんトリックを解き明かすミステリとしての部分が大きいですが、科学だけでは解明できない奇妙な部分も読み応えたっぷり。あれとこれとがあんなふうに繋がってくるとは……!
一見甘く輝かしい運命の物語に見えた部分が、実はとんでもない因縁の物語だったあたりも個人的には好み(笑)。終盤の展開にはもう絶句するしかなく。うわー、この因縁はここで終わりを迎えるのでしょうか。
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1991年の現代パートと1911年の過去パートから構成される。それぞれ独立した事件が起こる。過去パートの方でオーウェン・バーンズが謎解きをする。雪上の足跡をトリックにした殺人事件。既視感があるトリックであり、なんとなく途中で分かってしまう。それよりも現代と過去の輪廻転生の幻想的な要素が大きく、過去パートの素直な謎解きに対し、サスペンス的な現代パートとの対比が面白い。現代パートの展開は「えー、こうなっちゃうの!」という感想。さくっと一気読みでした。
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1911年と1991年の物語が交互に語られていき、金時計、磔刑像、『黄衣の王』などどちらにも登場する小道具が謎を呼ぶ異色ミステリ。
クラシックな密室殺人とサイコサスペンスっぽい過去への探求物語はそれぞれ魅力的だが、結び付ける必要はあったのかなという気はする。(2つのパートの結びつきについては、解説を読んではじめて気づいた。)
しかし子供の頃に見た映画を探すための精神分析から怒涛のようにラストに続く流れはワクワクした。やはりアルテは面白い。