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何者、の続編としてはまだまぁなのかな…という印象。またああいう人間の暗い部分が見れるとと思っていたので。
でも例の雑貨屋さんの彼氏と付き合うまでの話は、その要素が出ていて良かった。
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何者の登場人物たちの周辺を描いた短編集。
個人的に好きだったのは1話目の「水曜日の南階段はきれい」。
朝井リョウといえば、やや毒のある文体を記載する作家だが、この物語は終始きれいな文体で物語もロマンチックなものだった。
何者で出版社を目指していた光太郎の動機がわかるハートフルな物語であった。
最後の「何様」は何者で拓人とともに面接を受けていた学生のその後を描いた作品。
人事部に配属され、採用を担当する中でプライベートも含めた自身の葛藤を描いた作品となっている。
私自身、1年目から技術系のリクルーターを任されていたため、少し共感する部分もあった。
読んでいて深く感じ入る話はないが、1話1話にリアリティがあり、大人の日常をうまく切り取った作品といえる。
個人的に思うのは朝井リョウが描く女性像は少しあっさりし過ぎていないかということ。
女性作家でないことは百も承知だが、キャラクターがはっきりしていてわかりやすくなり過ぎている気がする。
他の作品でも比べてみたい。
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普通に良い話。特に最初の光太郎の物語が1番好きでした。
浅はかな事しか言えないですが、夢を追う人ってかっこ良いですよね。
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「何者」未読。若林さんの解説まで込みで成立していると感じた。
「あなたこそ何様なの?」といきなり銃を突きつけられた。衝撃。これだから朝井リョウこわい。気持ち悪い。
きっとそろそろわたしも役割が変わる事を求められる時期なのだろう。長くこの位置にいたということだ。
「あなた如きが何者かになろう」だなんてそれこそ「何様なの?」とおもっていた。でも、そうじゃなかった。それだけ じゃなかった。
「何者かになんてなれない」とおもうことですら「何様」なのだ。
「この気付きをもたらされることが読書体験か!(この時点ですでに何様なのか)」とおもった端から、ぽろぽろと零れていく。「本気の一秒」を信じて見つめながら一歩ずつ進むのみなのだ。
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何遍かに分かれていて、何様は最後だったのだけれど
前回作品の何者とは逆の立場である人から描かれていて
そちら側にも葛藤や悩みがあるのだと想像できた。
結局選ぶ側も選ばれる側も自分の価値なんて分からなくて
それでも必死に考えて動こうとしているのが、
もう、なんだかそれだけで十分価値のあるものに思えた。
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六篇の短編作品で構成されている。
読んでみて題名の「何様」が一番面白かった。
「何者」から立場が逆転した主人公の「誠実さ」を問う作品で、短編ならではの良い感じだと思った。
また「水曜日の南階段はきれい」は爽やかでで少し青過ぎるが良かった。
他の作品は人の内面のドロっとした部分を描いてはいるがもう少し踏み込んで欲しかったと思う。
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「何者」が好きだったので、番外編として読んでみた。
人がそれぞれ絡みあっていて世界を模っている。個人的にはもうちょっと意外性が欲しかったです。楽しく読めて良かったです。
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★きっかけ
「何者」を読んで、読みたかったから。
★感想
続編かと思ったらそうではなかった(^_^;)
何者の登場人物の本人であったり、周辺人物の短編集。
光太郎の「水曜日の南階段はきれい」は、ほろ苦青春話。何者の数年後の話が知りたくなる。
理香の「それでは二人組を作ってください」は、自分の事のようなだったり、なんかこういう女子知ってるなって気分になったり、なんだか心をえぐられる気持ちになった。すごいなぁ、朝井さん…
研修講師の「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」は、講義中の視点が面白かった。研修中や、会社説明会中に、表情見ながら喋ったり、なめられないようにっていう感情とか、他の講師の評価とか共感する部分もあった。
最後の人事部の「何様」。
途中までは、人事部だってただの人間、何を偉そうに学生を判断してるんだって内容で終わるかと思いきや(そしてその感情は、採用担当やってた時まさに思ってたやつ笑)、
「本気の1秒」「1秒くらい本気で思ったことない?」この言葉にハッとなった。
「100%じゃないのになんかって思っちゃって」と我々の気持ちをきれいに代弁してくれた克弘。
そして、
「いきなり100%なんて無理じゃん!誠実への一歩目も、誠実のうちに入れてあげてよ〜」
この言葉をかけてくれた君島の株、大上がり!笑
素敵な言葉に出会えてよかった!
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人って、頭の中で考えてることって基本こんな感じなのかなーって思った
毎日、楽しい楽しい、楽しみ楽しみ、なんて生きている人って少ないんじゃないかなあ
でもわたしは本やドラマがきっかけで明るい気持ちや楽しい気持ちになるのが好きだな
これはなんか、現実突きつけられる感じだった
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短編集でサクサク読みやすくて落ちのある話も多かった。
言葉の紡ぎ方がとても綺麗だった。
作者の性はどちらなんだろうか、と思った。
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最後の方にかけて1週間くらいかかっちゃって前半あんまり覚えてないけど、若者の葛藤が事細かに書かれているものだった。
それぞれのストーリーで共感する部分やこの人の人格が構成されたものが反映する所、思い悩む所、リアルで面白かった。
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「何者」に出てきたキャラ達の過去や未来のストーリー。
私は「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」が一番心に響きました。共感、と言うかなんだかショックで。
正直この話を読み終わった後辛かったです。自分の心情とぴったりきたのかもしれません。
自分は正美ほど優等生ではないのですが、それでもいつもきちんと、道徳を守って生きてきた自分より、ちょっと悪かったり、思うままに反抗してきた人の方が評価されると、自分のしてきた事の意味が心底分からなくなって。
「むしゃくしゃしてやった」と言いたいです。
朝井リョウの物語にはいつも心をえぐられ、どこかが引っかかり、涙が出ます。
答えを出してくれている訳ではないと分かっているので、そのままやはりモヤモヤするのです。
そこにハマってしまいます。
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コロラド州の大学と姉妹校で 会おうと思えばいつでも会える距離に散らばることを嘆き合った友の姿が 「紅白にもコメンタリーが取り入れられたときには、ついにメタとか俯瞰の視点の流行がここまできたかと思ったけどね」 人間の生活に全く根差していない部分にばかり気を使っているインテリアを 十一月四日生まれってつまりさ、親が十二月二十四日とかにやってんだよな。十月十日、という言葉は、当時の私でも勿論知っていた。けれど、逆算、という行為とその言葉が結びついたのは、その時が初めてだった。 二つのパスワードの間を行き来する往復運動の中に たぶんその年の二月十一日くらいだと思うよ 亮博あきひろ ピボット グリーンカレーのオムライス ゆい結唯 いぬい乾 つねり抓り 若林正恭 然し、若い頃の自意識過剰や葛藤やもがきを思い出すぐらいなら、ジムに行って筋トレをするか、ゴルフの打ちっ放しに行って心地よい肉体の疲れと共に眠りにつきたいというのが正直な気持ちだ。それぐらい、若い時のあれらは厄介なのだ。 頂いた"仕事"を全うするのは最高だ。なぜなら、所属欲求が満たされて気持ち良いからだ。 そう''社会の、会社の、利潤追求の激しい回転''で削られた末に、成長ではなく適者生存の法則に沿って変えただけなのである。何故、成長とは呼びたくないのかというと、適応して擬態を変えていく中で「青いもの」を失った痛みと恨みが今もまだ心の中に沈殿しているからなのだ。近頃色々な事を「そういうもんだ」という言葉で済ます事が増えた。誤解や陰口、不条理や裏切り。そういったものを「そういうもんだ」という言葉で済ます。勿論省エネの為でもあるが、もう一つ理由がある。それは、「本気の一秒」を守る為である。
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「何者」に対する「何様」。表紙も、「何者」がスーツを着た学生なのに対し、こちらは面接官。
光太郎の初恋の相手、なんて芯が強くてかっこいいんだろう!
理香と隆良、理香は自分が二人組をつくれないことを自覚していて、そこから抜け出そうとしていて、でも相手を下に見ないとやっていけなくて…。「かっこいいでしょ!キリッ」と心から思ってやっていたんだと思っていたから意外だった。隆良は、今でも本気でかっこいいと思っていそう。(いや、スエットで出かけるようになったから変わったか?)
そうして始まった二人だけど、理香は今は隆良が大切になっていそう。ただそばにいてくれるというだけではなく。
仕事に必要な能力は、仕事をしてみないと分からない。単純に合う・合わないを超えて、お互いのよさに目を向けてうまく力を発揮できるようにしていかないといけない。適材適所とはよく言ったもの。
ほんの一秒でも、誠実のうちに入れてあげてよ〜。
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『何者』のスピンオフ作品。気になっていた部分の裏側を見せてくれた。
● 「水曜日の南階段はきれい」
光太郎の甘酸っぱい初恋のエピソード。明るくお調子者ながらも、人のことをきちんと見て誠実に接する光太郎だからこそ、この恋が生まれたのだと思う。
●「それでは二人組を作ってください。」
理香と隆良の出会い。理香と隆良は理想や体裁を気にする似たもの同士だし、付き合いも『どっちもカッコつけて始めた恋』と拓人が述べていた分析通り。だけど理香の根本にある「相手も自分を大切に思ってくれる人間関係がほしい」という気持ちや隆良を見下している想いがあると知り、『何者』で苦手だった理香を少し愛おしく思えた。
●「逆算」
サワ先輩。社会人になっても人の気持ちを汲み取って、理解してくれていた。人の心をナチュラルに軽くしてくれる素敵な人。終わり方にびっくり。
●「きみだけのぜったい」
烏丸ギンジはこれからも演劇を続けるだろうし、届けようとする人にはずっと届かないんだろう。彼は届けたつもりだし、自分の演劇を自分のポリシーを正解だと疑わないんだろう。演劇を観に行ったギンジの高校生の甥の、物事の新たな捉え方や考え方の転換のきっかけになったのは良かったなと思う。
●「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」
瑞月の父親。真面目で優しく、思いやりのある人だからこそ、瑞月も真っ直ぐで家族のことを第一に考える人になったんだろう。でもそんな人だからこそ、1人で抱え込んでしんどくなってしまう。真面目で正しい道を歩もうとする人の心を、優しく包み込んで認めてくれるような人が近くにいてほしい。
●「何様」
就活で拓人と同じ面接を受けた学生。『何者』のラストでチラッと出てきた時は、この面接に受かって、仕事も愛嬌とコミュ力で卒なくこなして、プライベートも楽しんでます的な、人生エンジョイ社会人になるんだろうなーと思っていた。だけど意外に真面目で、彼なりに色々思って悩む部分があるのだなと思った。子供が産まれることに複雑な気持ちを抱く自分を「誠実」じゃないと責める彼に、「いきなり百%誠実は無理。嬉しいと思った本気の1秒だって誠実のうち。その誠実への第一歩も誠実のうちに入れてあげて。」という場面が痺れた。特に好きなアンソロジー。
私自身、今後も生きていくなかで不誠実な自分が出て、後悔したり悩んだりすることがあると思う。だけど、その不誠実の中にもあったはずの本気の1秒を見つけて、自分自身を救ってあげようと思う。
やはり朝井リョウは凄い。私たちが言葉にできないような思考や感情を、適切にマッチする言葉で表現している。どうして人間の深層心理を綺麗に浮き彫りにできるんだろうと毎回思う。
しかも、読者を第三者の視点で物語全体を客観的に眺める傍観者にするのではなく、自分自身の話のように思えるように書く。世界観に入りやすく、読みやすいので大好き。早く『正欲』を読みたい。