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紙の本
追悼・なかにし礼さん ー 夢だろうと現実だろうと
2021/01/08 07:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ禍で暗く沈んだ2020年の暮れも押し迫った12月23日、一人の作詞家が亡くなった。
なかにし礼。享年82歳。
なかにしさんは『長崎ぶらぶら節』で第122回直木賞を受賞した作家でもあるが、やはり昭和を代表する作詞家としての功績が大きい。
なかにしさんが作詞をした多くの歌は今でも記憶に残っているが、「北酒場」のように晴れやかな明るい歌がある一方で、名曲「石狩挽歌」のように暗い色彩のものも多い。由紀さおりさんが歌った「手紙」でさえ、その冒頭は「死んでもあなたと暮らしていたいと」となる。
その暗さ、そしてその暗さの先に明かりを求める思考は、なかにしさんが育ってきた世界と関係していたのかもしれないと、2019年6月に刊行された自身の半生を綴ったこの本を読んで思った。
「わが人生に悔いなし」というのはよく言われる言葉だが、これを歌のタイトルとしてなかにしさんは亡くなる直前の石原裕次郎さんに提供している。
流行歌への作詞の道を薦めてくれた石原裕次郎さんへの思いは、この自伝の中でも綴られている。
その歌詞の中に「夢だろうと現実(うつつ)だろうと わが人生に悔いはない」と綴ったなかにしさんもまたそんな思いで旅立たれたのだろうか。
なかにしさんには死を意識したことが人生に三度あったという。
戦後の満州からの逃避行で経験した時、54歳の時の心臓発作、そして晩年のがんとの闘い。
中でも満州からの逃避行は、なかにしさんにとって生涯忘れることのなかった死の恐怖だったのだろう。
そういった体験が、人々の心にとどまる歌詞を生みだしたといえるだろう。
紙の本
なかにしさんは
2019/09/30 20:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「赤い月」などの自分の母のことをつづった小説もあれば、明るく笑える奥様一家の「てるてる坊主の照子さん」みたいなお話もあって、幅広くて読み応えがある。
「~照子さん」は朝ドラにもいなったし、そっちの方が好きだけど、そもそもの、なかにしさんを知るにはこの1冊という感じで是非完読したい。
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