投稿元:
レビューを見る
読みやすく、登場人物の事実や思いが丁寧に綴られており、とても考えさせられる1冊だった。放送は観ていなかったが、探して観たいと思う。
「セデーション」を知らなかったので、知ることができて良かった。
投稿元:
レビューを見る
読み始めてから本書は実は二作目で、前著があることを知ったけど、読んでなくても違和感なく読める。安楽死を望み、実際に遂げた人と遂げなかった人のそれぞれの人生に迫るノンフィクションだけど、実際に誰が遂げたのかは読み進めたらわかるようにしてある構成が良い。「安らかで楽な死」は安楽死だけではなく緩和ケアでも実践できる、という意外と知られていない事実はもっと知れ渡ってほしい。全体的に大変面白いが、人の死の現場にまで立ち入りながら自分の手を絶対汚したがらない印象を受ける、取材の姿勢については何となく微妙な引っ掛かりが
投稿元:
レビューを見る
日本人で初めて安楽死を遂げた人を生前から丁寧に取材。緩和ケアについてもよく分かった。
自分が同じ立場に置かれたら、もう一度よく考えたい。
投稿元:
レビューを見る
前作「安楽死を遂げるまで」で各国の当事者の最期を
追っていた著者に初めてスイスで安楽死を
遂げようとしていた日本人女性からメールが届く
この方がスイスに赴き自らの意思で命を終えたことは
昨年のNHK番組でみていたので結末はわかっています
なぜこの選択をしたのか そこに至るまでの
細かな心の動きや家族との赤裸々なやりとりを描いています
ご本人のブログから抜粋された内容はつらすぎるのですが
この方の意志の強さと周りへの気遣い
家族への愛情を直に感じることができました
どのような最期を迎えるか 迎えたいのか
選べるのか そうでないのか
今を生きている自分もいつかは迎えるその時
そうしたことを考えるようになったのは十数年前に
ALSの告知を受けて自死した知人の家族の話を聞いてからです
体が徐々に動かなくなるが意識ははっきりしている
でもなにもできない 死にたいと意思表示することすらができない
想像するだけでも怖くてたまりません
本人および家族やかかりつけ医 介護関係者が話し合い
本人の価値観や人生観を日ごろから共有する
人生会議(ACPアドバンストケアプランニング)
の必要性は理解はしているものの
なかなか実行できていないのが現状です
投稿元:
レビューを見る
昨年放送されたNHK番組を観て大変衝撃深く、よくここまで個人に迫った、安楽死という難しいテーマにそったドキュメンタリー内容を作られたなと感慨を受けていた。その取材の詳細、安楽死までのご本人の経過と著者の考察について書籍化されたもの。
つい先日に安楽死幇助の事件があり、個人の死ぬ選択、生きる選択についての話題に触れ、日本での安楽死の制度化については、もっと広く議論されるべきだし、安楽死を希望する重度障害者の存在やその気持ちを少しでも知るべきだと思う。
この小島ミナさんと姉妹の沢山の苦悩、ミナさんと関わる様子や心の葛藤、揺れる気持ちの機微が読む者にすごく伝わり良本でした。安楽死に賛成ではない著者のご家族に寄り添った丁寧な取材の様子も伺えて安堵しました。賛否に関わらず読んで欲しいです
投稿元:
レビューを見る
宮下氏の安楽死に関しての第2作。今回は新潟に住んでいた多系統萎縮症の女性を軸に話が進む。40代になって多系統萎縮症という次第に全身が動かなくなる神経難病に侵された小島さん。彼女は外国人の自殺幇助を受け入れるスイスに行き、前回の宮下の著作で紹介されたフライシック医師のもとに安楽死(スイスの法律的には自殺幇助)を求めに行く。彼女には2人の姉と1人の妹がおり、当然彼女たちは最初は反対する。が、本人が2回の自殺企図をした後、次第に本人の希望を受け入れていく。その葛藤を丹念に書いたこの著作を通じて日本でも安楽死論がきちんとできると良いと感じる。相変わらず著者は日本人には向かないというスタンスで、その点で私は非常に落胆する部分はあるのだが。
尚、小島さんの死はNHKが取材しており、本書を読むなら番組もオンデマンドで診るべきと思う。
https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009051076_00000
投稿元:
レビューを見る
衝撃。こんなにも死ぬことに、精力を尽くしてしっかりと準備していく心情。 生きるのは苦しい。けれど、衝動的にではなく自分で終わらせることを決めるという心情。 良いとか悪いとか、まだ考えられないな。 ただ、生きていきたいと思ってもらえるような繋がりを作れるようにしたいとは、思う。決して、簡単なことではない。
投稿元:
レビューを見る
安楽死と尊厳死の違いなどはっきりしてなかったことが良くわかると共に考えさせられることも多かった.実際自分だったらどうするだろうと思いながら読み進んだ.日本も法律が変わらない限り選択肢が限られるが,生きる権利が大切なら死ぬ権利も大切なので,この本がもっと読まれて欲しいと思った.
投稿元:
レビューを見る
読み進めながら、この本に出てくる小島ミナさんのこと、知っているような気がしていた。NHKの番組を観たことがあるんだと思う。
たまたまついていたのを、引きこまれて観た記憶がある。
安楽死、尊厳死、セデーション、私はどれもちゃんとわかっていなかった。そして筆者が書くように、本の中で色々な人が言うように、日本では「死」について議論があまりなされていない。
自分が同じような状況になったときに同じ選択をするかはわからない。
けど、選択肢があることでそれが光になる人もいるし、簡単には決められない問題なのだろうなぁ。
とここまで感想を書いたものの、モヤモヤまとまらないので追記。
幡野さんの言うように、患者の気持ち優先という気持ちもわからなくはない。でも筆者の言うように、残された家族側の気持ちも完全に無視していいものだとは思わない。
自分が患者の立場だったら……自分が家族の立場だったら……といろいろ考えたけど、結局こう言うことを自分だけで考えて終えてしまうからダメなのかな。会話にしにくいけど、私はこうしてほしいと伝えておくのも大事だし、家族がどうされたいのか聞いておくのも大事だなぁ。あと、自分の希望を伝えた後、それについてどう思うか聞くのも大事なのかもしれない。こういうことを含めて、日本は話し合う機会が少ないんだと思う(海外事情は知らないけども)
投稿元:
レビューを見る
著者の前作もNHKの特集も知らない状態での読了です。
内容について興味があったので読みました。
安楽死というものを漠然と逃げ道の様に捉えており、きちんと理解しようとしたことはなかった自分に気づかされました。
自分の健康状態は、今はまだ終わり方を具体的にイメージできる段階ではないです。しかし、いつか必ず向かい合わないといけないときが来ます。(向かい合う時間もなく終るということもありますが。)
そんなときに知識不足で視野が狭くなるということは避けたいです。安楽死だけでなく、セデーションや緩和ケアといった方法への理解も深めておきたいと思いました。
内容は面白かったのですが、著者の文章は自分には単調で少し押し付けがましく感じました。記者らしい文章というか、客観的でないといけないのは解りますが人を寄せ付けないような一歩離れた文章でした。
内容に興味がある方は読んでみてもいいかもしれません。NHKの特集の方は機会があれば見たいと思います。
投稿元:
レビューを見る
ここ数年で読んだ本の中で一番気分が重たくなる。ただ、読んでよかった。
【感想】
audiobook.jpで読了。「安楽死を遂げた日本人」小島ミナさんが安楽死に至るまでの過程が、著者の取材によって描かれる。その内容がとにかく重たい。救いがない。読んでいて、「これなら、安楽死を望んでも仕方ない。自分も同じ環境にいたら、そう思うかもしれない」と感じた。小島さんを安楽死に向かわせるのは多系統萎縮症という難病である。この難病が恐ろしい。正常な思考力は保ったまま、身体の動作、筋肉が全て弱っていき、最終的にねたきりになってしまう。難病であるから、発症のメカニズムや治療方法も分からない。発症したら、最後、である。もう、「何でこの世には難病なんてものが存在するんだ」と思ってしまう。
小島さんが難病を発症してから、姉夫婦に介護され、その過程で自殺未遂を繰り返すエピソードがしんどい。自殺行為を止めて泣きじゃくる小島さんと姉...。それも年代を50歳も超えてである。姉夫婦も小島さんも悪くないのに、なぜあんなに苦しい思いをしなければならないのか...。難病の恐ろしさたるや。いつどこの誰に起きてもおかしくないのである。ここが一番読んでいて恐ろしく、かつ読んでよかったと思う点である。読んでいて、「確かに安楽死したほうが周囲にとっても本人にとっても幸せだ」と思えなくものない、迫力がある。実際に、小島氏と信頼関係を築いて、家族と共に、自殺ほう助の現場に立ち会い、そのプロセスを詳細に記述している。なかなか知り得ることができるものではない。読みながら涙した本は久しぶりだった。
また、本を読んで勉強になったのは「自殺ほう助」を巡る様々な論点が存在する、ということ。日本のマスコミにおける自殺ほう助を巡る議論のレベルは高くなく、一律に自殺ほう助を認めるのは、この社会においてはリスクが高い、という著者の主張にもある程度納得がいった。最終的に、自殺ほう助を認めることに賛成 or 反対するにしろ、双方のメリット、デメリットは知っておくべきであろう。
投稿元:
レビューを見る
前作である、【安楽死を遂げるまで】は読まずに手に取った本です。
18歳からアメリカに行き、人生の半分以上を欧米文化で生きてきた筆者の主観を通して、安楽死に向き合う一冊です。
安楽死に賛成か、反対か、その意見を決める土壌が日本人には無いのではないか?と言う筆者の思いが、若年層とズレてると感じながら読んだのですが、安楽死を理解した上(安楽死と尊厳死の違いを知っている、実際に安楽死を行う人・安楽死を望む人を取材している)で反対の立場を取る筆者が、できるだけ公平に真実を書こうとしていることが伝わってきました。
作中にも出てきますが、テレビなど動画や音声で伝えられると、受け取り手がテーマによるインパクトの強さに思考が影響を受けがちになります。
その点、文章で読めたことが評価のポイントかと思います。
投稿元:
レビューを見る
安楽死にはかねてから興味があった。本書は宮下洋一氏の「安楽死を遂げるまで」の続編である。前作は未読ながら、本作をのめり込むように読んだ。
身体の機能が衰えていく難病を患う50歳の日本人女性、小島さんは安楽死を希望している。著者は前作を読んだこの女性から連絡をもらい、彼女が日本人としてライフサークル(スイスの安楽死団体)での安楽死を目指していることを知り、取材をする。
興味深かったのは、安楽死を希望する理由が欧米と日本では違うということだ。日本では、介護で周りに迷惑を掛けたくないから早く人生を閉じたいと考える人が多く、欧米では、自分の人生および死ぬタイミングは自分で決めたいから安楽死を選ぶ、という人が主流なのだという。よく理解できるし、自分が排泄まで人の介助を借りる立場になったら、同じように感じる確信がある。シモの世話をして欲しい人なんていない。
私は義母が同様の難病を患い、晩年はやはり病に苦しみ、スイス行きを希望していた。緩和ケアに自信をもつイギリスでは安楽死は違法である。結局経済的な理由や体力のなさから断念せざるを得なかったが、彼女の姿を重ねながら読むことになった。
本書では著者は安楽死の是非についてはあえて述べていない。そういう選択肢があったら、患者の心が安らぐだろうとは言っている。難しいのは、いくら条件に当てはまっても、安楽死をすべきでないケースが多々あるということ。そして、安楽死をするにあたり一番必要なのは、家族の理解だ。
本人の希望と、残される家族の心の傷のどちらを重視すべきなのか、それは患者の家族とのつながりによる。本書に出てくる小島さんは、とても明るく理性的な女性で、テレビのディレクターも取材をしているうちに好きになってしまうほど魅力的な人だ。
安楽死に行きつかなかったがん患者の例もいくつかあり、また安楽死の代替としてのセデーション(鎮静)を知り、本当にいろいろ考えさせられた。
途中から涙が止まらなくなり、泣きっぱなしのまま最後まで読んだ。切なかった。
投稿元:
レビューを見る
前作の日本人の実例。
本人の意志、周りの理解つまりそれだけの信頼と理由がないとわざわざ外国まで行って行うのは難しい。