紙の本
いい展覧会を見終わったあとのような
2019/11/20 15:57
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「とんぼの本」は、1983年に創刊された新潮社のビジュアルブックのシリーズの総称です。
とんぼの特性のように、軽やかで幅広い視野をもった本でありたい、という思いから名づけられたといいます。
ビジュアルブックですから写真図版が多用され、しかも写真集のように奇麗です。
重厚感はありませんが、さまざまなジャンルの入門的な役割を果たしています。
そんなシリーズの一冊として刊行されたこの本は、タイトルでもわかるように、今やアート小説の第一人者でしかも多くのファンをもつ原田マハさんが印象派絵画の魅力を美しい作品図版とともに綴ったものです。
しかも単なる解説ではなく、原田マハさんによる印象派7人の画家たちのショートストーリーが添えられています。
ビジュアルブックだけれど、短編集としても楽しめるようになっています。
印象派7人の画家。
モネ、マネ、ドガ、ルノワール、カイユボット、セザンヌ、そしてゴッホ。
ある画家はまだ芽が出るまでの姿を、ある画家は死の直前に絵筆を持つ姿を、ある画家はその妻の視線から、ある画家は自分は正気であるという姿を。
中でも、あまり知られていないカイユボットはその絵とともに魅力を感じました。
現在では画家というよりも貧しかった印象派の画家たちを支援し続けたパトロン的な存在ながらも、その絵の構図は思わずハッとさせられる。
巻末には原田マハさんと三菱一号館美術館館長である高橋明也氏との対談もおさめられています。
いい展覧会を見終わったあとのような、極上の一冊です。
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とても読みやすく、親しみを持って読めた。愚か者と扱われた時代を超えた成功した姿を僕らは知っているけど、当事者たちが闇の中にいた時の苦悩に想いを馳せると心苦しくなる。美術館にありがたみを持って行きたくなる。
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印象派入門書。マハさんの本なので読んだが中途半端な内容で可もなく不可もなくといったところ。写真はキレイだ。20年以上前に新婚旅行で行ったオルセー美術館蔵の絵画が沢山掲載されていて、少し当時を思い出して懐かしくなりました。
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マハさんは語ります。「私は、なぜだろう。印象派ーと書いただけで、ふいに涙が込み上げてくることがあるんだよ。(中略)いま、私たちが見ることができる印象派の作品の数々は、彼らが生きた証。世界でいちばん美しい愚かものたちが、私たちに遺してくれたメッセージ」
そして「愚かものたちのセブン・ストーリーズ」と題して、「モネの物語」「ベルト・モリゾとマネの物語」「メアリー・カサットとドガの物語」「ルノワールの物語」「カイユボットの物語」「セザンヌの物語」「ゴッホの物語」まで、七つの印象派の画家たちの物語が語られます。各画家の詳しい年表と作品の写真と作品の解説付きです。
やはり、マハさんの小説『ジヴェルニーの食卓』で読んだ、モネやドガ、『たゆたえども沈まず』のゴッホの物語に親しみを覚えました。まだ小説を読まれていらっしゃらない方は、読まれてからこの本を読まれると楽しみが倍増するかと思います。
原田マハさんという方は、本当に絵画、印象派への愛で満ち溢れた方だと思いました。
最後のページのオランジュリー美術館のモネの<睡蓮>の大作の写真は圧巻でした。
パリの秋、ノルマンディーの春の景色も大変美しくて見入ってしまいました。
ジヴェルニーの陽光に輝くモネの家の庭は、花が楚々として咲き誇りまぶしかったです。
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はああああああ癒される。
やはり絵は良い。そこにマハさんの言葉が添えられるとなお良い。
癒される。
また、美術館に行かなくちゃっておもうんだよねー。
なんでパリが隣町じゃないんだろう。
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美しき愚かものたちのタブロー をAmazonで見ていたら「よく一緒に購入されている商品」にあった!なに、この本!気になるじゃん(2019/6/22)と思い、購入。
愛すべき愚かものたちのセブン・ストーリーズ。タブローのときも思ったけど、「愚かもの」という表現があまりしっくりこない。でもその時代、夢を追い続けて取り組む姿は「愚かもの」だったのだろうか。どこで成功するかわからないな。
マハさんのいろんな美術に関する物語を読んでいるので覚えのある登場人物とかが出てきて楽しい。
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印象派の7人の画家についてこだわりのあるトピックスやトリビア的な記事紹介と作品の数々が掲載されていて、ざっくりと読めて面白かった。
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大判で薄っぺらな、でも内容は充実した1冊。いわゆる“印象派”と呼ばれる画家たち7人に焦点を当て原田マハが書き下ろしたストーリー、モネのゆかりの地を著者が訪れる「ノルマンディー紀行」、美術館館長との対談などヴァラエティーに富んでいる。まあ、本の形をした雑誌と言えるかな。なんだかんだ言われても、印象派の絵画が観ていて一番落ち着くぼくにはうれしい本だった。
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印象派の七つの物語は、美しい絵と、年表と、短い物語で為されていて、非常に良い。
見たことがあるもの、初めて見るもの、その全てに心惹かれる。
光と陰の物語は、一瞬のうちだからこそ、強い強い光を放って、その光は100年経っても、まだ、人々を照らしている。
一瞬を永遠にした印象派。
愛おしい。
昨年来日したマネの「フォリー=ベルジュールのバー」。
ずっと見てみたいと思っていた。
会えてうれしい。
また、日本にくる日が来ますように。
巻末の三菱一号館美術館館長、高橋明也氏と、著者の対談も面白い。
その中で、クールベの「世界のはじまり」は一度見てみたい。
でもきっと、それは教育的にどうのこうのと言う茶々が入りそうではある。
オルセーで企画展として開催された、「マスキュラン/マスキュラン」「罪と罰」は見てみたい。
国内開催は難しいだろうか。
図録がどこかにあれば、見てみたい。
2人の対談で、美術館で展覧会を観るということについて語られているが、本当にその通りで、
「金魚」「真珠の首飾りの少女」は今でも強く印象に残っている。
あの頭をガンと叩かれたような衝撃は、どんなに美しくても図録、インターネットサイトだけでは味わえない。
そして、見終わった後の、なんとも言えない疲れ。
絵にはパワーがある。
たまにその力の前に圧倒されてしまう。
最後に同じく対談で、『ルーヴルの人たちと食事すると、「どこにいるの?オルセー?駅員か」』(124頁)とある。
これはフレンチジョークだが、ルーヴルの人たちは、東京ステーションギャラリーのことはなんて言うのかな、と笑ってしまった。オルセーは元駅だが、東京駅は現役(駅)だよな、と。
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【収録作品】Épisode-1 モネの物語 何もなかったように モネがまだモネではなかった時代/Épisode-2 ベルト・モリゾとマネの物語 このバルコニーから 女流画家の愛と闘い/Épisode-3 メアリー・カサットとドガの物語 永遠の一瞬 波乱の時代を超えて/Épisode-4 ルノワールの物語 まぶしい季節 手と絵筆の絆/Épisode-5 カイユボットの物語 通り雨、天気雨 友へのまなざし/Épisode-6 セザンヌの物語 無言のふたり 絵描きとその妻 愛すべき不美人画/Épisode-7 ゴッホの物語 アイリスの花束を フィンセントとテオ 絵で結ばれた兄弟/ノルマンディー紀行/公開対談 高橋明也×原田マハ 人生でただ一度しかない展覧会
本物を見たくなる。
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印象派の素敵な絵画とそれに寄り添うマハさんの素敵な物語の数々(*^^*)モネ縁の地をマハさんと一緒に巡る旅も良いし、対談もテンションが上がる(*≧∀≦*)これを読んだら、素敵な絵画を見て鳥肌を立てたくなるわ~(^o^)♪
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絵画にはまったく詳しくないが、マハさんが画家を主人公につむぐ物語がとてもわかりやすくて、見やすい本。カサットの《眠たい子どもを沐浴させる母親》が素敵だった。独身を貫きながら、温かい眼差しの母親像を描く女性画家。もっといろいろな絵画を見たいと思える、入り口になってくれた。
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ショートストーリーだけど、どれもその時代に自分がいる気分になって楽しめた。なにより、モチーフとなる絵がそこにあり、年表までついていて、楽しめた。
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アートファンにとってはお馴染みの作家である原田マハさんの印象派の画家たちにまつわる本です。
内容は数名の印象派画家を取り上げた短編小説ならびにその画家の人生の足跡。
各エピソードはとても短いですが、有名になる前の若い頃の話であったり、画家の奥さん目線で書かれてあったり、フィクションの部分もあるでしょうが、画家の素顔の一面が知れたような気になります。また、画家の年表がコンパクトにまとめられていて、生い立ちから他の画家との関係性などが分かり、自分でももっと調べてみたいと思わせられます。
フランスのノルマンディー地方をめぐった紀行文。
私はフランスには行ったことはありませんが、もし行くことができればこんな風に印象派の時代の風を感じる旅行がしてみたいです。
現在(2020年4月)、三菱一号館美術館で館長を務めている高橋明也氏との対談。
ひとつの展覧会が開催されるまでの裏側の話が聞けたり、新しい展覧会の楽しみ方の幅が広がりました。
とても盛りだくさんで贅沢な作りになっています。
取り上げている作品の写真も1ページを使って、見やすくキレイです。
原田マハさんの長編小説を読んだことのない人にとっては、アートを楽しむための良い入口となる本になることでしょう。
ところで、日本では印象派の画家や作品はとても人気があります。展覧会もさまざまな切り口で頻繁に開かれています。しかし、当時の本物の印象派展は第1回が1874年4月に開催され、その後、計8回行われました。現在では印象派と聞いて連想できる画家は少なくないと思いますが、この8回すべてに参加した皆勤賞の画家はカミーユ・ピサロただ一人です。印象派の画家たちに影響を与えたマネは参加していませんし、モネやルノワールはドガと意見が合わない時期もあり出たり出なかったり。最後の第8回目は1886年であり、ゴッホが名作と呼ばれる多くの作品を残したアルルに移住したのは1888年2月からです。当時の印象派画家の人間関係を見ていると、画家一人一人の視線から物語を紡ぐことができるので、まさに大河ドラマとして何本も制作できそうだと思ってしまいました。
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200728*読了
モネ、マネ、ルノアール、ドガ、セザンヌ、ゴッホなど、印象派の画家の実話に基づくストーリー。原田さんの書くアートの話は現実よりも現実のよう。
原田さんのアート関連の本は何冊も読んでいるので、むしろアートの知識は原田さんの本からしか取り入れていないので、すっかり詳しくなったし、原田さんの考えにだいぶと影響を受けています。
数々の絵画がこの本で見られますし、わたしの好きなモネの大水蓮画の展示室の写真が載っています。いつか必ず行きたい…。
ここに載っている海外のうち、現物を何作見られるのだろう。全て見たいと思っても世界中に散らばっているので、なかなか難しい。アートとの出会いは一期一会だなぁ、と思います。