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みんなのレビュー4件

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

怪奇小説:夢、神秘、幻想、綺想、耽美、そしてブラック・ユーモア

2022/06/28 09:07

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る

『ドイツ怪談集』に続けて、「積読」となっていた『独逸怪奇小説集成』(国書刊行会2001)を読み、さらに2冊目「積読」の本書を読んだ。3冊それぞれから受ける印象は全く違う。『怪談集』は「幽霊」談、暗黒の中世を舞台に、しかもドイツらしく暗い(黒い)森の中で繰り広げられるおどろおどろしい物語が多い。これに対して『集成』と『翻訳箱』は、「夢、神秘、幻想、綺想、耽美、そしてブラック・ユーモア」も感じさせるような「怪談」だけではない変化にとんだ短編集であった。また、『集成』が19世紀から20世紀の作家の作品、『翻訳箱』は主に20世紀の有名・無名の作家の短編を集めたもので、内容的にも時代背景を現代社会においた都会を舞台とする作品が多いという印象を受けた。
本書はゼルトザーム「奇妙な、幻想的な」アルトモディッシェ「古風な」(本書では「骨董」としている)を使い、『集成』が使う怪奇小説の祖E.T.A.ホフマンの「幻想作品集」ファンタジーシュトゥックではない。訳語からすると、『集成』は伝統的な怪奇小説、本書は現代風にアレンジした怪奇小説という違いだろうか。『翻訳箱』は、「人形」「分身」「城・館」「発明」「天国」で分類・構成している。先入観なしに読むこともいいが、どのような怪奇世界が展開するのか、結末を予想しながら、細かな表現・描写を意識した読み方というか、心構えがやりやすくはなる。
作者には、カフカの友人ブロート、ワイマール期企業経営者・政治家であったラーテナウや現代「不条理」劇作家ヒルデスハイマーの名前もある。カフカの「変身」「審判」は「不条理」文学であり、立派な「怪奇」小説。その意味ではブロート、ヒルデスハイマーが収録されるのは自然だ。企業経営者ラーテナウは、死後の世界もビジネスとする資本主義を企業経営の目からリアルに、一方で皮肉っぽく描く。こういう怪奇小説もあるのだ。
独怪奇小説は、日本の探偵小説の一源流である、という見方もされる。確かにマネキンを扱う「伯林白昼夢」やテレパシー殺人「人殺し」などは乱歩的であり、双子のトリック「三本羽根」はホームズ的だ。また、近代技術プロペラへのフェチシズム「恋人」は、乱歩的幻想の世界であり、また、殺人マシンと化した「迷路の庭」はユーモアたっぷりの星新一的世界へとつながっていくようだ。
「美神の館」はタンホイザーの遍歴の「完結編」であるが、それまでのヴェーヌスの世界、また冥界のゴシック的描写を打ち砕くような最後の一行の結末は、ブラック・ユーモア的一撃。このアンバランス感も独怪奇小説の特徴か。「死後一時間目」の落ちも同じ。
「人形」「分身」は、現代ではAI・ロボット、またクローン技術も取り込みながら今後も怪奇小説ジャンルで続くだろう。「人殺し」の手段「テレパシー」は、これからはスマートフォン・SNSに置き換わっていくだろうか。
「アハスエルス」は唯一音楽が登場する。バッハ平均律第10番前奏曲とフーガ。ドイツでありながら音楽絡みの怪奇小説が少ないのが物足りない。一方『集成』のモーツァルトを扱う「公園での出会い」や「レクイエム」は、音楽愛好家にとっては珍しい怪奇小説になるのではないか。ついでに少し『集成』もレビューすると、鉄キチも怪奇小説になることを示した「新時刻表」が面白い。しかし彼らにとっては「夢幻」ではなく既に「現実」だろうが。「琥珀」「眠れる美女」も乱歩的世界。「ペール・ラシェーズの墓地」と「日々是好日」は現代版吸血鬼もの。「首」のギロチンで切り落とされた頭の語る物語は、まさに奇想の構成であり、その迫力のある描写が凄い。これぞ元祖「怪奇小説」?

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2019/07/02 23:24

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2021/04/06 00:32

投稿元:ブクログ

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2022/10/20 11:20

投稿元:ブクログ

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