紙の本
老いるにも練習がいる
2020/12/05 08:54
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんな人の人生も、毎日は新しい。
一日を過ごすうちに、あ、これ前と同じだったということはない。たとえよく似たことがあったとしても、新しいことであるにはちがいない。
そして、誰だって日々老いていくことも変わらない。「少年老い易く」という言葉があるように、生きていくことは老いることでもある。
私たちは毎日新しい老いるを経験していることになる。
新しいことをうまくやっていくためには練習をするのがいい。
もちろん人生は一回勝負だから練習といっても、歴史や先人のやり方をたどるしかないのだが、人が本を読む理由の一つは、人生をうまく生きるための方法をさぐっているともいえる。
『思考の整理学』を書いた外山滋比古氏のこの本も、そんな生きる道しるべとなる一冊だ。
但し、ここにはこうしなさい、ああしなさいといった答えが書かれている訳ではない。
外山氏のなにげない日々の暮らしぶりをヒントにして、読者は老いる練習をすることになる。
この新書版が出たのは2019年。外山氏が95歳の時だが、元は遡ること40年前に連載されていたもの。
つまり還暦前の外山氏が綴った。老いの、つまりは生きるための練習帳だ。
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変わり行く世を淡々かつ快活に生きるための47の智恵、とっておきの思考法を知の巨人が教えてくれるというふれこみ。タイトルからしても貴重で役に立つ人生訓を伝える書物かと思っていたが、読んでみると、著者らしい教養や含蓄を漂わせながらも、ユーモアがたっぷり盛り込まれた気楽に読めるエッセイ集であった
考察がユニークで面白かったり、印象に残った点を列挙しておく。
・車の運転で車間距離をやかましくいうが、人と人との間でも、“人間“距離をつめると、大事なことが見えなくなる。
・日頃の贈答でも、本体は相手への好意とし、それにちょっとした品物で風情を添える。ものはなくとも、あたたかい言葉を伝えることが大事
・人間の幅を身につけるにはひと色に固執してはいけない。食べなれた味噌を表す手前味噌という言葉があるが、いろいろな味噌と付き合う雅量が必要。
・飲食店で、茶碗や湯呑みをわしづかみにして出されると、いっぺんに興ざめる。
・さしさわりのない、それでいて頭を快く刺激するような話をするにはあまり親し過ぎる人より、いくらか遠い人の話題が望ましい。
・凸凹な歩道を歩く際など、折に触れて、脚下照顧を求められるのはありがたい。
・これからの時代を引っ張っていくのは、何度も転校し、下宿もしたことのあるような雑種人間。自分の流儀以外はすべて気に入らないようなサラブレッドは、自分を弱める危険な頑固さを持つ。人生にとっては、雑然たるところが強みである。
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著者の作品、ブクログ登録は3冊目。
著者、外山滋比古さん、ウィキペディアで、どのような方か、再確認しておきます。
外山 滋比古(とやま しげひこ、1923年11月3日 - 2020年7月30日)は、日本の英文学者、言語学者、評論家、エッセイスト。文学博士。お茶の水女子大学名誉教授。全日本家庭教育研究会元総裁。外山家は法海山龍護院妙光寺の旧檀家である。
今回手にした、『老いの練習帳』を書かれた時の、著者の年齢は50代だったようです。
けっこう若かった時に書かれた作品になります。
この本の内容は、次のとおり。(コピペです)
人生100年時代がやってきた。
されど、悩むな、焦るな、欲かくな――。
95歳の著者が自らに課してきた、日々のルールがここに甦る。
人との距離感から清談の方法、生きがいについてまで、
変わりゆく世を淡々かつ快活に生きるための47の智恵。
「日常の繰り返しこそ貴重なレッスン」
知の巨人がおしえてくれる、とっておきの思考法。
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思考の生理学で著者のことを知ってこの本を手に取りました
著者はただ惰性で生きるのではなくどんなこと(周りの状況、自分の行為)でもよくよく考えて生きていらっしゃると感じました
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「知的で説得力もあり、
老化もしないような
ゆっくりした話し方を身につける。」
あえてそれに挑んでみようと、著者。
関西人は早口と言われているが、関西出身の私も然り。つい、早口になってしまう。
歳をとってきて、重みのある言葉だけ口にするようにしたいと思いながらも、いらないことを口走る悪いくせ