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職場の中で、会話が成立しない相手やいくら教えても仕事を覚えない部下。
ああそうか。と、納得。
人の視点は千差万別、次元を変えていかなければ理解しあえないのだろう。
仕事をうまく回していくために参考になったかも。
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知的障害の可能性を視野に入れて、少年たちの言動を観察することの必要性がよくわかる内容でした。
言われてみればそうかも、と思い当たる点がいくつもありました。
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根本的に解決するのは時間がかかることで、
義務教育9年間の中でその子のことを全て知り、教育するのは大変だと思った。
ニュースで見ていて
「この人頭おかしいんじゃないか」
と思った人は沢山いるけど、
小さい頃、発達障害や知的障害があることに気づいてもらえず、
苦しい思いをした人もいるのだなと思った。
学校関係の先生になりたい若い人たちが、見るべきだと思った。
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著者は精神科医で、現在は大学教授であるが、医療少年院で勤務していた時の経験を元に本書を執筆した。
本の帯に非行少年が3等分したケーキの図が載っており、このインパクトの大きさに驚いた人は多いだろう。
しかし、本書を読んでもっと驚いた。
筆者自身が、医療少年院でショックを受けたことは、以下のことだったという。
・簡単な足し算や引き算ができない
・漢字が読めない
・簡単な図形を写せない
・短い文章すら復唱できない
さらに、分かりやすい事例として取り上げられていたのが、病院での診察でルーチンとして行われていた「Rey複雑図形の模写」と言われるものである。
20ページに、そのお手本と、対象となった少年が実際に書いたものを筆者が再現した図が比較されているのだが、デフォルメしたのを通り越し、全く別の、まるで形の違う図形が描かれていたのだ! これは驚きを通り越し、信じられないという言葉がより適切である。
つまり、端的に言えば、重大犯罪を起こすような人間は、全ての物が歪んで見えており、認知機能に何らかの問題がある可能性が高い、ということなのだ。
従来の更生プログラムは、正常な認知力のある成人を前提としているので、前述のような認知力に欠けている少年に実施しても効果が上がらないという。
彼らには計算ドリル、漢字練習帳などの学習以前の力を育み伸ばしていかなければならないのだ。
その具体的な方法が、本書の後半に述べられている。
健常者で普通に働いている人間からすると、本書に出会わなければ、このような事実を全く知る由もないことだろう。貴重な本だと思う。世に広く知られてほしい。
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これは、かなり衝撃的な内容。
殺人や性犯罪などの凶悪犯罪を犯して少年院に服役している子どもの中に、無視できないパーセンテージで、認知機能が極端に低い子どもがいる、というお話。
学力が低い、という問題ではない。
学力も低いのだが、それ以前に、視覚や聴覚などの発達があまりにも未熟すぎて、その年齢の人間に当然要求される諸能力を身につけることができず、壮絶な「生きにくさ」を抱えている、という話である。
例えば、帯に書いてある図形。
「ケーキを三等分して下さい(3人で平等に分けて下さい)」という課題に対する、ある受刑者の解答である。
小学校低学年ならまだわかるが、この図を書いたのは10代半ばの少年で、何分間も考え抜いた末の解答なのである。
さらに衝撃なのは図形模写のテストで、ある受刑者が書いた図。
まるで幼稚園児か、認知症の高齢者が書いたような図だ。
正直、これは下手なホラーより怖い。
自分の隣で普通に生活している、健康そうな若者が、実はこんな稚拙な認知機能しか持たない、脳障害を抱えた人だとしたら。
幼児や認知症患者のように、本来なら保護と管理の対象となるべき人間が、成人の身体と資格(車の免許など)を持ったまま、放置されていたとしたら。
それは、本人にとっても周囲にとっても不幸なことだ。
現在、知的障害の基準はIQ70以下とされているが、これはかなりゆるめの基準らしい。
現実にはIQ85でもかなり生活に不具合が生じるらしく、このIQ70-85の境界知能の人も含めると、知的に問題を抱える人の割合は人口の約16%となるそうだ。
ざっくり言うと、35人クラスなら下位5人が該当する計算となる(実際には学校間のレベルの差があるので、単純には当てはまらないが)。
この見逃された知的障害の子に、小学校低学年くらいの早い段階で介入し、支援するのが、福祉の観点からも犯罪防止の観点からも望ましいと著者は述べている。
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低学年のうちに支援をするとこで、救われる子どもたちが出てくると感じた。
そのためには、社会面、学習面、身体面の問題をあぶり出し、きめ細やかな対応が必要になる。
少子化の時世、このような所に予算を出し、人的資源を確保することが、国の役割ではなかろうか。
ただ、レベル分けに反対する人も出てくるだろう。結果としては、問題を抱える子どものためになるのに。
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双方の意味で題名がすべてだった。社会の中で生きにくさを感じ、その上反省を強いられる日本の教育現場では非行少年が生まれるのは当然だった。これを文章にし我々に伝えた著者には感謝しかない。この本を読んだ後見てる世界が変わった気がした。
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非行少年の多くが、認知機能に問題を抱える子ども達、境界知能の子ども達である。
学校教育の中で、教科科目以外にも、子ども達に教えるべき大切なことがある。見る力、聞く力、想像する力などの認知機能を鍛えることだ。
しかし、現在の学校教育システムには、そのような機能は備わっていない。まだ、その必要性が認識されていないのかもしれない。
認知機能を鍛えることが、問題行動を起こす子ども達の支援となるならば、そして、普通の子ども達の生きる力にもプラスになるならば、早く学校教育で実践して欲しい。
2019年刊
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『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口 幸治 著/新潮社)vol.518
https://shirayu.com/blog/topstory/brain/8669.html
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認知(コグニティブ)トレーニングがなんらかの足がかりになるのは大きな1歩だと思う。めざましい効果が仮に無いとしても否定的な結果も生まないだろうから取り入れるべき。海外のメソッドやセラピーでも、ペットボトルのワークのように簡単かつ無料でそれこそ幼児でも理解できる方法はある。触れられていないけど、親の愛情ほど認知や学力、体力をブーストできるツールは無いと思う。
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近いものを持っている子たちとずっと関わってきたので大変ためになりました。褒める教育ばかりでは改善しないと言うのも共感です。認知機能を高めるための具体的なトレーニングが載っていたのも大変良かったと思います。
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凶悪少年(少女を含む)犯罪は軽度知的障害が原因で、人口の14%程度いる。彼ら(彼女ら)は認知機能が水準以下で、自分が何をしたか分からないから、きっかけがあれば凶悪犯罪を実行してしまう。筆者は左の人々がよく言う「ほめて伸ばす」「自尊感情が低い」という紋切り型の言説を無効とし、認知機能トレーニングで少年の知的障害を改善できると主張している。しかし、少年の凶悪犯罪は知的障害が原因という筆者の主張は、少年に責任はない、彼らを放置した社会が悪い、という左の人々に利用されそうだ。
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とても面白く、ある意味で怖いと思った。星3つだが、関心のある人は是非読んでもらいたい。少年の非行の背景に知的障害があることを明確に指摘し、現在の教育が足りないことを明らかにする。書中で説明される治療法は試行錯誤の最中という印象を受けた。理解できない犯罪の背景が少し分かった気がした。
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見えていないところに、コトの本質が隠れていることが多いのかも知れない。今も、この本に出てくるような少年たちを学校が作っているのではないだろうか。
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学校教育関係必読
反省できるのは、反省できだけの認知機能が備わっている前提があるから。反省以前の支援を必要としている子どもはたくさんいるということは衝撃だった。著者は社会で不適応を起こすこのような子どもを支援するために、認知機能を向上させる教育プログラムの作成に携わる。最後には、学校教育への期待や励ましで終わっている。
公教育とは何だろうかというのが最近の関心だ。受験に合格させるためではないだろうし、行事を成功させるためだけでもない。将来生徒が困らないようにするためという観点から、この彼の提唱するコグトレは公教育で普及される価値が十分にあるだろうと思う。