投稿元:
レビューを見る
狂おしいなにかが胸のうちに渦巻いて叫び出したいような泣きたいようなそんな気持ちでいっぱいになり動悸がおさまらない。苦しい、でもどこか幸福感もある。帯に書かれている「息をのむ傑作小説」という言葉に嘘はない。
投稿元:
レビューを見る
仲良しの書店さんに教えてもらった『流浪の月』。
界隈での評価が高く、今年はコレ!とのことだけど、
本当今年はコレだったーー!
まず、表紙のアイスクリームがいい。
そして、ただひたすら文章が美しい。
周りの意見なんてどうでもいいし、好意とかもいらない。
2人がわかっていればそれでいい。
愛する人と求め合うカタチは、人それぞれなんだ。
帯の「せっかくの善意を、わたしは捨てていく。
そんなものでは、わたしはかけらも救われない。」
という言葉。
読むまでは正直そんなに刺さらなかったんだけど、
本文で出てきたとき、鳥肌がたった。
この一文を読むためにここまできたのか、と思うほどに。まさに息をのむ傑作。
投稿元:
レビューを見る
全国ニュースになったひとつの事件に、よくも悪くも登場人物それぞれの主観が入り混じる。「心配/好奇心」という服を着た的はずれな同情。謎の正義感、無遠慮に振り翳される悪意。物語を通して更紗をとりまく他人たちへの、あのざらついたどうしようもない嫌悪感たるや。どうあがいても欠片ほども理解されないのは当事者にとっては壮絶な痛みで、絶望で、諦めだろうな。事実と真実とその果てに待っていたもの。それでもひかりを求めて生きていく芯の強さをもって、手を離さずその先も歩んでいってほしいと勝手に願ってしまっていた。互いを必要とし癒すことのできるかけがえないもの。すぐ傍には真相を知ってしまっても揺るがない、親しみを込めて更紗2号と呼びたい、救いの存在。
日々に息苦しさと生きづらさを感じながらも、個人的には文中の北極星のクチコミに同感かな。
投稿元:
レビューを見る
とにかく読みたかった1冊。読んでいてしきりに思ったのは、この作家さんは痒いところに手がしっかり届く作家さんなんだなってこと。
面白いんだけど、描写に違和感があったり、ちょっと違うんだよなぁと思って残念な小説がいかに多いことか。でも、この作品はそのようなことが全くなく、すんなりと読むことができた。
自由奔放な両親に育てられた更紗は、父親が亡くなり、母親が男と出ていき、叔母の元で育てられる。その暮らしはこれまでの自由なものだはなく、常に自分を偽って暮らしていた。
小学校の友だちと遊ぶ公園にはロリコンがいた。大学生の文。いつも更紗たちが遊んでいるところをジッと見つめている青年。ある日、更紗が公園で雨に打たれているところに傘を持ったロリコンが「うちにくる?」と声を掛けたことで、2人の自由奔放な生活が始まった。
その暮らしはもちろん逮捕ということで終止符を打たれる。
15年後、大人になった更紗と文は再び出会う。不器用ながらも徐々に距離を縮めていく2人。そこにはもちろんたくさんの障害があって・・・。
更紗と文は周りが思うような関係ではない。それでも、心ない周囲の人間からは犯罪者と被害者という目で見られてしまう。
私も読みながら、周囲の人間たちに対し頭にきたし、なんで真実をねじ曲げるのかと悔しい思いをした。でも、これが違う視点から描かれた物語だったらどうだろう。私もこの心ない周囲の者と同じように感じたのではないだろうか?
真実と事実は似ているようで、驚くほどかけ離れている。もしかしたら、過去の監禁事件でもこのような真実が隠されているものもあるのではないだろうか。それはもちろん文と更紗のように、本人たちにしかわからないことではあるが。
『今度はどこに行きたい?』と楽しんでしまう更紗がなんとも頼もしいし、そんな風に生きたいと強く思った。
投稿元:
レビューを見る
愛おしくも切ない純粋な2人の物語
家にいるしかないこの時期にソファに寝転びながら、カネコアヤノの音楽を聴きながら
この小説の2人の物語に浸ってみてください
投稿元:
レビューを見る
現代の社会を反映したしっかりした人間ドラマで
読み応えがあった。
傲慢と善良からやっといい作品に巡り会えた。
投稿元:
レビューを見る
とにかく上手いなあと思った。読んでて違和感みたいのを全く感じなかった。さすが本屋大賞だよね。納得の面白さ。
投稿元:
レビューを見る
真実と事実は違う。
デジタルタトゥーに刻まれてしまうと、たとえそれが事実でなかったとしても、記されてしまったことがあたかも真実のようにされてしまう。
文と更紗、二人の心が切ないほど響いてくる。
文章ではありながら、あたかも映像を見ているようで静かに語りかけてくる。
二人は出会えたことでお互いが救われた気がする。
投稿元:
レビューを見る
凄い作品だ。ラクビーW杯スコットランド戦ではビールを飲むのも忘れて見入ったが、この作品は息をするのも忘れて読んだ。それくらい魂が本の世界に吸い寄せられて一気読みどころか、読了感で寝付けなかったくらい。
期待はあまりしていなかったし、設定や物語自体は好きな分野じゃないけど、読むにつれて目が離せずに読まざるを得ない状況になる。人が人を理解すること、「事実」から理解することの残酷さ、それを知るのは「真実」を知っている者(読者)だけだ。感情移入も相まって、主人公の痛みから解放させてあげたい、救いを与えたいとラストまで読み進めてしまう感じ。
人を理解することの難しさや残酷さという毒がありながらも、それでも人を救うのも人だと言う事を感じさせてくれるのは、主人公・更紗の強さのようにも思える。最後には、更紗たちの将来に幸あれと祈りたくなる気分だった。
本屋大賞ノミネート候補作として読んだのだけど、「育児書」の中にあるいい話が選ばれる傾向があるので、「夕食にアイスクリームを食べる」この作品が選ばれるかどうか注目したい。
投稿元:
レビューを見る
たぶん私たちは自分以外の誰かにすべてをわかってもらうことはできないように、相手のすべてを理解することもできない。真実はいくつもの嘘で彩られ、色を変えた事実となり、事実は何の疑いもなく真実として扱われる。真実から切り取られた部分を貼り合わせればそこから浮かび上がる事実も真実とは違う形をとるだろうし、ある事実を見る見方が変われば真実の数も複数存在するだろう。
善意として与えられる行為を善意として受け入れられない私がおかしいのか。
投稿元:
レビューを見る
2人にしかわからないこと。他人、世間からは憶測や先入観という見方。2人の間にある真実と世間で作り上げられた事実。この2つの間にある大きな隔たり。表面だけを見れば自分だって大丈夫か?と思ってしまうだろうし危ないなって感じると思う。でも当事者にとっては自分たちの真実があってそこに安心がある。一生ついて回るかもしれないことを背負いながらも選んだこと。思い込みや偏見、そうに決まっているという断定の怖さを感じる。非常に濃い物語で価値観が揺さぶられるようなものでした。
投稿元:
レビューを見る
初読みの作家さん。
読んでいてヒリヒリする。
更紗と文を取り巻く環境、人々…二人の関係、どこを切り取っても、ヒリヒリザワザワするし、読んでいて息苦しくなる。それでも頁をめくるのをやめることができない。やめようと思ってもとめられない、気になる。そんな感じだった。
何か伏線?とも思うこともあった。彼の章を読んだとき、他に方法はなかったのか?と悲しくなった、
更紗と文の関係は言葉にできない。依存とも違うと思う、二人に幸せになって欲しい
読んでいる間中、決して明るい話ではないので、自分のモチベーションにも変な影響が…。
こんな風に出る小説はじめてかも。
それぐらいすごかったということだろうか。
投稿元:
レビューを見る
読む前からなんとなくそんな予感はしていたけれど、わたしには合わなかったなぁ。
この設定は大好物なのに、なんでハマれなかったんだろう…
なんか、こう、狙った感があるからかなぁ。
こういう設定で書いたらおもしろいでしょ的ななにかが行間から滲み出てるような。
あと、登場人物全員がヤバい人っていうのも微妙。
こういう設定で、誰も彼もヤバいとお腹いっぱい。
足し算ばかりで引き算が足りない印象。
せめて谷さんは普通の何も知らない女の子でよかったような気がした。
とはいえ、これは今年の本屋大賞にノミネートしそうだね。
投稿元:
レビューを見る
私の「文」はどこかにいるのだろうか。
生物の本能としての生殖から解放された時から、ずっと求めている。
なかなか出会えなくて、ずっといないかも。。。
投稿元:
レビューを見る
誰もが自分の言葉に耳を傾けないとき、人はどれほどの無力感に苛まれるのだろう。「私は大丈夫」と言っても、「そんなはずはない」と決めつけられ、可哀想な子と善意を押し付けられる息苦しさ。それって、まわりがいいことをしているつもりでいる分、悪意よりもたちが悪い。
少女連れ去りの被害者として保護された更紗を取り巻く出口のない思いやりに胸が苦しくなる。
抑圧と引き換えに得られる庇護と、それを捨てることで得られる自由と圧倒的な孤独、いったいどちらが楽なんだろう・・・
結果的に更紗が救われたにしても、文が更紗を連れ帰ったことは確かに犯罪だし、いろいろ抱えていた彼にもそれくらいの分別はあったはずだからそれを擁護する気は全く起きないけれど、再会した後は、もう二人とも大人になったんだから、いい加減放っておいてやれば?って周りの善意ぶった人間どもに言いたくなった。
デジタルタトゥーって、本当に嫌な世の中だわ。