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原題は、「人類の歴史」だが内容に沿って邦題はエネルギーの歴史にしている。
構成は、「動力」「証明」「新しき火」の3部。
第一では蒸気機関の発明とそのエネルギーとなった石炭の話が興味深い。第二部は、電気の発明であり直流と交流の選択の部分が特に面白かった。(ニコラ・テスラと交流の件について評価が低いのも興味深かった。)第三部では石油・天然ガス・核エネルギーそして再生可能エネルギーにつて書かれている。馬車が自動車に替わられるときにエネルギーとして蒸気と電気と石油が争ったこと、そこでガソリン(石油)が他に勝った経緯はおもしろい。馬が不要になっていく時に生じたさまざまなエピソードも興味深い。
その後のエネルギーとして天然ガスが出てくるまでの排気ガスによる公害問題は、その若干を経験した人間として興味をそそられた。この著者は核エネルギーを肯定する立場なのでその根拠を読ませてくれる部分も参考になる。
この本は、2017年に書きがっていることなどから再生可能エネルギー、特に太陽光発電の今日現在の状況を見通せていない。原発と再生可能エネルギーの両立を説いているが著者が予想したより遥かに再生可能エネルギー(太陽光、風力)が大きく伸びている。(この部分については、他の新しい本を読みたい)
400年に渡りエネルギーの歴史として知っておかねばならないことばかり。好著である。
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木材から原子力、風力、太陽光発電までのエネルギー活用の歴史について考察する。それぞれの時代において、活躍した人々の視点でエネルギー史を解説しており、大変面白かった。ややエピソードが断片的で判りにくい部分(特に原子力)もあった。
今後のエネルギー供給にについて気になるが、著者の見解としては、原子力を見直すべきとの立場だ。 現在の状況においては、多少異論があるかもしれない。
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人類が永く薪を燃やして得ていたエネルギー。人口が増えるに連れ山は禿げ上がり、石炭→石油とシフトしていく。動力として蒸気機関、内燃機関。照明として鯨油、ガス灯、石油へ。ファラデーの発電機の発明によって人類はそれまでと比べるべくもない汎用性を持ったエネルギーを手に入れる。電気を手に入れたことで、瑕疵の無い溶接法を編み出し、パイプラインを建設できるようになり、造船がタンカーを生み出し、そうして運ばれた石油がまた電気を生み出す。
そして、原子力。過去、人類が炎を手懐けたようにいつか原子の力も制御できるようになるに違いない。
この本を読み終えた今日、トカマク型核融合実験炉の建設開始のニュースを目にした。人は太陽を手のひらに乗せることができるのだろうか。
エネルギーを求める人類は止まらない。
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図書館本:エネルギーの歴史は地球環境の歴史にも結び付く。大気汚染など人類へ悪影響を及ぼすと、次にそれよりも影響の少ない代替エネルギーを見つけ使用してきた。環境負荷の少ないエネルギー開発が急がれる現代ではあるが、まだまだコストがかかってしまう。コストと負荷の天秤バランスによって、エレルギーバランスも変わっていくのだろう。
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エネルギー資源発達の歴史についてまとめられたリチャード・ローズの書。薪、石炭、蒸気、ガス灯、鯨油、石油、天然ガス、原子力、自然エネルギーまで幅広く紹介。知られざるエピソードや、歴史勉強の隙間を埋める情報が面白い。 森林伐採で資源が枯渇していくのはどの国でも共通した問題だった。石炭への移行では産地と消費地の距離が課題だったが、その後のガスや石油でも同様だった。
ワットの蒸気機関は有名だが、大気圧方式でサイズ感的にも用途は限られ、炭鉱を掘り進めるための排水のみの実用化だった。蒸気車を実用化させたトレヴィシックはワットやニューコメンと比べて知名度は劣る印象。50キロの速さで時間・空間の概念が変わった当時の人々の感覚を想像すると面白い。 灯についてはエジソンの発明が有名だが、マッコウクジラの油が当時重要な産業として成立していたのは知らなかった。電気の発見と実用化までの道も紹介され、交流・直流のトランスなど、当時の画期的な発明品は現代の生活についても未だに重要なものが多い。自動車以前の社会における馬車の問題は有名だが、インフラ次第でEV、蒸気車、内燃機関のどれが主力になってもおかしくない状況だった。 ガソリンのノッキング防止添加物の開発についても詳述。工業化がいち早く進んだ欧米では黒煙にまみれた大気汚染を経験しており、近年のアジア諸国でも環境が改善されることを願うばかり。現在の工業でも使われてる技術が1900年前後から確立している点に驚かされる。溶接技術はパイプラインの敷設に貢献したが、現在でも自動車生産をはじめ量産にはかかせない状況に変わりない。
リチャード・ローズといえば「原子爆弾の誕生」だが、戦後の原潜や原発の流れを見ることから、原子力の章は続編を読んだような感覚だった。GEやウェスティングハウス、リッコーヴァーといった企業や人物は物語に不可欠。環境問題に加えて人口爆発を煽る新マルサス主義なども問題点として挙げている。原発についてはスリーマイル、チェルノブイリ、福島の事故についても触れるが、核廃棄物も含めて基本的には原発廃止を唱えるのではなく、科学の問題を科学で解決していくのが進歩であるとの考えで、エネルギー源もうまく使い分けて行くことを想定している。マルケッティのグラフが最後に紹介されて新技術の普及に50年かかる傾向が示されているが、本書執筆のきっかけにもなったとのこと。
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産業革命前夜から今日に至るまで。エネルギー関連技術の開発の歴史と係わった人物、歴史背景について。
新たな技術が生む課題に対して絶えず対応してきた歴史。
・木材の欠乏から石炭へ、炭鉱の水没を解決するためのポンプ、動力への熱エネルギーの活用、車輪と組み合わせて動力への活用につながる