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下町浅草界隈を舞台にした殺人事件、隅田川の存在感、誘拐事件・・・と先に読んだ奥田英朗さんの「罪の轍」と似通った背景を持つだけにこの作品の薄っぺらさが際立つ。
世の中がバブルに沸いた時代。札束で頬を叩くように土地を買いあさる開発業者、地上げの陰に泣く弱者たち、そして天皇崩御による新時代の到来というあの頃の空気感が蘇る。
下町の庶民目線で消費されるものたちの怒りを描き出す意図はわかるけれど、彼らがあの犯罪に手を染める必然性がうまく伝わって来ず、どうにも短絡的で愚かな行動にしか思えない。
バブル期の父たちの目線と、現在の息子たちの目線で交互に語られる物語は、4人の主要人物が紛らわしくて何度も前を見返し、物語に集中できない。主人公である息子たちも魅力的とは言えず、特に所轄刑事の賢剛は捜査1課の刑事への鬱屈みたいなのがいちいち面倒くさい。
帯には「貫井徳郎史上、最も切なく悲しい事件」とあるんだけど、全く感情移入できず、切なくも悲しくもない。ラストもなんだか中途半端で、この始末どうつけるのか想像にお任せなの?それとも、続編への布石?とモヤモヤ。
あ~これほど辛口になるのは貫井さんの大ファンで、久しぶりの新作に期待をしていたからです。
貫井さん、こんなもんじゃないのに~!とファンだからこその感想になってしまったのをお許しください。
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最初なかなか進まなかったけど中盤からは一気読み。
現代とバブルの頃が行ったり来たりでもう一度読もうと思ったけどめんどくさくなってやめた。
あの犯罪を思いつくってないよなあ。お金は使わないなら返そうよ。と思った。
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2世代に渡る壮大なミステリー。現在と過去を交互に語るうちに真相に近づいていくのが秀逸。公衆電話とスマホの使い方にも時代の変遷を感じた。シリーズ化はできないネタだろうけど、ぜひ次回作に期待したい。
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昭和から平成になるバブルの時代の小説。令和になる今だからこそ、レクイエム的な作品を作ってみたかったのかと思う。
ただ、それは自己満足の世界でしかない。古き良き時代の小説をどれだけ書こうと、30年前の懐古趣味にしかならないことを肝に命ずるべきである。
読者が読みたいのは、現代の深層をえぐり取る小説である。次作に期待したい。
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11月-5。3.5点。
警官だった父が、飲んだ後に殺害される。原因を調査する息子と、警官の親友。親友の父親は警官だった父と親友だったが、自殺。
重いストーリー。少しずつ明らかになる父と、自殺した親友の真実。読み応えあり、面白い。
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隅田川で上がっ元警官の水死体を発端に過去の犯罪が姿を現していく…。住み慣れた土地を離れざるを得ない状況に追い込んだ罪に罪で応じようとした者たちは等しく悲しみに取りつかれていく。元警官の息子と親友の警官との友情は救いだが…。
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先日著者の妻君である加納朋子の本を読んだところだが、今度は亭主の方である。そして最近読んだ本が奥田英朗の「罪の轍」だ、同じく誘拐を扱った小説で時代はオリンピックの1年前、本作はバブルの終焉頃である、作家というものは同時期に同じようなアイデアが浮かぶものだろうか、他の作家も同系統の作品を出しているのかもしれない。本作は著者の特徴でもある回りくどい展開であるが、綿密に計算された造りである、だが自殺で罪が消せるわけはないだろうとは思ってしまった。せめて相棒刑事に西條を登場させるサービスぐらいはして欲しかった。
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元警察官の父親が殺されたところから話が始まります。主人公には親友がいるのですが親友の父は主人公の父親の親友でした過去と未来、親友同士を行ったり来たりしながら話が続いていきます。登場人物全員に意味がある。最後まで常に予想を裏切られました。そして切ないラスト。名作です。
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元警察官の辰司が、隅田川で死んだ。息子の亮輔と幼馴染みで刑事の賢剛は、賢剛の父の自殺とのつながりを疑う。そして時代を揺るがした未解決誘拐事件の真相とは?
貫井徳郎の筆力でどんどんページを捲らせるけれど、登場人物の名前が覚えにくく、やや混乱した。バブルの裏側で傷ついた人々も当然いたわけだが、それが本作の根幹をなす犯罪の動機になるとまでは思えず、リアリティが決定的に欠如していると感じた。
(Ⅽ)
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現代の息子達とバブル時代の父親達の時間軸で交互に話が進む展開が面白い…と思ったけれど、父親達が起こした誘拐事件の動機が弱すぎて何だか説得力がない。さほど親しくはない顔見知りの友人の死に怒り、地上屋の非道に怒り、その鉄槌を下すために起こした誘拐事件。子供を巻き込むことが正義になるのだろうか?成功したとしてもその身代金を自分たちで使おうとするのはどうなんだろうか?と色んな「?」が出てしまい何だか話が強引な気がして途中からどうも読む気力が萎えてしまった。特に警察官が妹のように大切にしている女性のために事件に荷担するのだが、その関係性の説明があまりないので短絡的にしか見えなかった。ラストの息子達二人の会話も何だか軽い気がするし。設定は面白いのに事件や動機に穴がありすぎて自分には残念だった。
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現代の元警官殺人と、約30年前の未解決誘拐事件が絡み合って進行していく。
序盤は面白いなと思っていたが、誘拐事件のところ、どうなんだろう。動機、実行性などかなり疑問で以降は気持ちが乗っていかなかった。
警官殺人の動機もちょっと。さくらの正体はミエミエだったけど。
最後もなんとなく消化不良で終わってしまった。
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この話の教訓は、手料理なんか家族以外に食わせるもんじゃないってこと・・・
という下らないことを言いたくなるくらい、つまらなかった。
普通の作家なら3点、貫井さんなら1.5点です。
貫井さん好きなので普通なら4.5点つけるのに。
二時代各2名、4人の男性が主役なのですが、書き分けられていなくて、誰が誰だかどうでもいい。それでも筋は終えるものの、ご都合主義的な理論で進んでいくので、ついていけませんでした。
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あの時代は、こんなことが普通に行われていたのか…と驚きと怒りが湧いてくる。
どんなふうに彼らが追い詰められていったのか、丁寧に描かれていたけど、それでもやっぱり、あの犯罪を起こした彼らに対して、同情はできなかった。
何より一人死んでいった彼のことが私は許せない。
悲しい。
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親の世代と子供の世代が交互に描かれ丁寧に書き込まれてもいるのだけれど,そもそもこんなことで誘拐事件を起こすだろうかとそもそもの発端からして違和感の残る物語で,そこがずれた感じだと最後までスッキリしなかった.どんな事情があるにしても子供の誘拐が正義であるはずがない.
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真実に辿り着けば着くほど、とにかく切なく哀しかった。でも、それと同時に登場人物全員がとても魅力的で愛おしい。誰の気持ちも分かってしまうから、誰も憎めないし否定できない。だからとにかく胸が締め付けられるよつな哀しさがあった。亮輔と健剛の未来が明るいことだけに、少しの期待と祈りをこめたい。