紙の本
価値観の「差分」
2019/12/30 22:12
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニコニコ動画、YouTubeで著者により投稿された動画「世界の奇書をゆっくり解説」に大幅な修正と書き下ろしを加えて書籍化した一冊。
様々な奇書、逆にかつては奇書とされたものの現代では名著と称えられる本など、幅広く紹介しています。
続編も期待したいです。
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ニコニコ動画でよく見ていたので読んでみました。
時代によって奇書とされたり良書とされたり、一見不変なようでいて本は不思議なものですね。
そしてやっぱり一番気になるのはヴォイニッチ手稿。
内容があるのだとしたらどんなものか気になります。
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ニコニコ動画にて投稿されている『奇書の世界史』シリーズに加筆修正と2本の書き下ろしを加えた本。私自身も動画を追っているファン(?)のため、購入した。先に内容の感想について書き、最後に動画との比較についても少しだけ触れる。
①内容について
著者は、「作者自身の計らいを超え、いつの間にか「奇」の1文字を冠されてしまったもの。あるいは、かつて「名著」と持て囃されたのに、時代の移り変わりの中で「奇書」の扱いを受けるようになってしまった本――。つまり、数奇な運命を辿った」(p.3)古今東西の書物を「奇書」と呼ぶ。ここから今と昔の価値観の違いを浮かび上がらせ、現代の価値観が形づくる「常識」の死角を曝け出す。
例えば……善と思っている主義主張が他の誰かを苦しめている可能性があること。善悪判断の根底に往々にして「自分が気に入るかどうか」が含まれてしまうこと。一見露悪的なものに真実が含まれている可能性があること。権威を信じてしまいがちで、そこに生存に資するという側面があること。宗教とは違うものだからと無批判に「科学」とされるものを信じ込んでしまう危うさ。などなど。
歴史を進歩の道程だと捉える考え方は、ともすれば過去に行われていた制度を手放しで非難する態度に繋がりうる。定番どころでは宗教だろうか。実在しない神という存在を信じさせ、科学の発展を妨げたペテン!といったところだろうか。
現代に生まれたというアドバンテージに胡坐をかいて、世間一般に「間違い」とされるものを安全圏から叩くのは、リスクもなく気軽にできる憂さ晴らしになる。ましてや、自分で好きなコミュニティを選ぶのが容易な現代において、周囲との同質性はどんどん高まり、匿名性により責任が無いと来れば、もはや自分を省みる機会はどこにあるのだろうか。未来から見たら『魔女に与える鉄槌』のような所業である可能性を考えられるだろうか。
この本を読んでいて恐ろしく感じるのは、自分のような凡庸な人間は、描かれる物語の中で、往々にして(現代から見た)悪役になりうることだ。『魔女に与える鉄槌』を読み、魔女狩りに賛同したかもしれない。『穏健なる提案』を唾棄すべきものとし、安易な提案に追随したかもしれない。『椿井文書』『ビリティスの歌』を読んで自分の都合の良い歴史や面白い歴史を受け入れたかもしれない。
それだけに、楽しく読めて、それでいて自分を相対化してくれるこういった書籍がネットを中心に話題を集めることは、幸せなことだと思う。
以上、この本が持つ教訓・寓意的な側面にばかり触れた。巻末のあとがきや解説でも価値観について触れられており、こうした意図があったのは明らかではあるが、単純に読み物としても面白い。『ルバイヤート』に描かれる歓びや『非現実の王国で』に込められた「何か」には心揺さぶられ共感もしたし、『月世界旅行』から始まった月面着陸までの物語には心を打たれた。
こうした面白さは、各奇書の特異性は勿論のこと、これを奇書の解説というより奇書をめぐる物語のように紹介してみせる著者の力に拠るところが大きいのだろう。
②動画との比較
動画は雰囲気を醸し出すBGM、豊富な写真・イラスト・映像などが多く使われており分かりやすかった。書籍化に際し加筆修正が行われているが、紙幅の都合なのか動画より表現に自粛が入るのか、一部の記述が削られているのが気になった(『非現実の王国で』の、子供が磔にされたり腹を割かれたりするくだりとか。だからどうしたって話ではあるが……)。修正により文書として洗練されているけれど、単純に奇書の紹介を楽しむという意味では、動画の方が良いかもしれない。
また、一般的な歴史本ではないので、書籍だからと情報をじゃんじゃん詰め込む必要はないのだろうが、贅沢を言えば動画を視聴済の読者にとっての+αがもっと欲しかったなとは思った。ゆっくり解説動画というジャンルの醍醐味でもある、動画のコメントへのレスポンスであるとか、動画では入れられなかったエピソードであるとか。
もちろん、書き下ろしもあるし装丁や挿図もオシャレだし、買ったことには満足してる。
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ニコニコ動画人気コンテンツが8/23 書籍化!
「世界の奇書をゆっくり解説」を書籍化した『奇書の世界史』発売決定!話題です。
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奇書を単なる奇妙な書物として捉えるのではなく、その裏にある歴史と常識の成立過程の歪みを捉えているのが好印象。当時受け入れられたものが、現代になって振り返ればあまりに奇妙な価値観となり得る。そして受け入れられた背景には未発達な学問や文化だけではなく当時の人々の願望や情熱が関係している。それは現代の常識がやはり願望や情熱で彩られた歴史や知識であって、後の時代に奇妙な世界観として語られる可能性を孕んでいる。それの良し悪しはわからないが、そこに嫌悪感や、ロマンが眠っているのは理解できる。
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とっつきやすい内容で、どちらかというと『面白おかしく紹介する』系統……という印象だったが、ニコニコ動画の人気コンテンツが元だったようで納得。
奇書、偽書の類についての本といえば、学術的に否定していたり、真面目に歴史を読み解いていたりするものが昨今の流行なのか、こういう『面白おかしく〜』なタイプは影が薄いように感じていたので、楽しめた。
図版や注釈が多いので、ビジュアル的にもいい。
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ネットで話題になっていて興味を惹かれたが、動画の方は知らなかった。「奇書」とは所謂「トンデモ本」だが、中でも後世に残る歴史的な書物に限られる。紹介されてるフラーレンのように全く捏造だったり(とするとSTAP細胞の論文が載ったNatureは奇書になりうる)、あくまでも当時の常識で荒唐無稽だったもの、逆に現代の常識では考えられないものと様々なのは、あとがきにある通り。そういう意味では、ヴェルヌを契機に人類は月に人を送ったとする番外編は説得力と希望がある、大変良い構成だった。装丁がデラックスであったので電子書籍版にはしなかった。
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自分の価値観を大切にしたいけど、
周りに合わせることも必要な世の中だから、
折り合いの付け方を勉強しなきゃいけないなあって
思いました。
フィクションって大事。
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読書中のBGMは動画版に倣って『ベラドンナ』をヘビロテで。
動画版から本当に好きで。
あのセンスの塊でしかない言い回しが本当に好きで。
だから、あの内容を活字で改めて味わえる喜びに、読みながら終始打ち震えておりました。
『はじめに』の文章を少し読んだだけで「あ、もう好き……(語彙力喪失)」という状態になりましたから。
表紙カバーの独特な質感もたまりません。
動画版の本編プラス番外編3編、かつ書き下ろし2作品の豪華な内容。
書籍になる際に改稿されているので、例えば『魔女に与える鉄槌』は内容が短くなっていて物足りなさを感じるものもあれば、『ビリティスの歌』のように引用部分が大幅に増えているものも。
何故前者のエロは駄目で、後者のエロはOKだったのかは気になるところではありますが。
基本的にはより読みやすく、分かりやすくなっています。
作者さま独特のセンス溢れる言い回しや解釈、解説は健在です。
書き下ろしは有名作家によるタイトルとは逆の不穏な話と、日本の偽歴史書。
後者はお噂はかねがねな感じだったので、作者さまの紹介文でより詳しく知ることができて、大変興味深かったです。
地元よ、史料批判は丁寧にお願いしますと言いたい。
書籍という媒体になり、購入という形でリアルなお布施ができるようになったし、スマホの充電を気にすることなく内容を何度も味わえるようになった幸せを改めて噛みしめつつ。
続刊はいつかな(そわそわ)
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野球とその害毒、実は笑ってしまったが、新しいものが導入されると大人たちは皆似たような反応したのだろう。天体の回転について、では天動説の方が正確に惑星の位置を予測でき、地動説の方が不正確だったと言うことに驚く。当時の観測精度ではそこまでが限界だった。武器軟膏については笑ってしまうしかない。しかし武器軟膏否定論者が、遠距離でも働く力を否定するあまりに引力も否定してると言うのは考えさせられた。
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私はこの作者さんの動画の視聴者でもあります。動画で宣伝していらっしゃったのでこの本のことは前々から気に になっていました。
先日本屋の目立つ場所に置いてあったので喜んで購入しました。
書き下ろしの2つの章、非常に面白かったです。この方の動画シリーズのファンの方なら是非読んで頂きたい。
しかし、若干動画の方が面白かったという章も中にはありました。(私が内容を既に知っているからそう感じるのかもしれません。)
それを加味しても、この本には一読の価値があると思います。
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歴史の推移、価値観の変化の中で翻弄された、“奇書”を紐解く。
01 魔女に与える鉄槌 02 台湾誌 03 ヴォイニッチ手稿
04 野球と基害毒 05 穏健なる提案
番外編01 天体の回転について
06 非現実の王国で 07 フラーレンによる52kでの超電導
08 軟膏を拭うスポンジ そのスポンジを絞り上げる
番外編02 物の本質について
09 サンゴルスキーの『ルバイヤート』
10 椿井文書 11 ビリティスの歌
番外編03月世界旅行
解説と参考文献有り。
ニコニコ動画の人気コンテンツの書籍化だそうですが、
純粋に名前に惹かれての読書です。
数奇な運命を辿った書物=奇書。
現代では摩訶不思議な本の群れ。
偽書や科学の捏造、魔女狩り、摩訶不思議な医療等もありますが、
著者の死後に出た独創的な本、「ヴォイニッチ手稿」のような
解明が困難なもの、数奇な運命のサンゴルスキーの『ルバイヤート』
等も紹介されています。
一方で番外は、かつて悪書として虐げられたが、現代では名著。
“地動説”が認められるまでや近世に蘇る紀元前に存在した
「物の本質について」の考え、「月世界旅行」の実現。
どちらも、当時の価値観・・・宗教や科学認識、学問人々の願望等が
関係して、運命が左右された事がわかります。
その時代には真面目に信じられていた事、たとえ現代人には
荒唐無稽でも、それは当時の常識。だからこそ、現代の常識も
未来では荒唐無稽になりうる事だってあるかもしれない。
そんな想いに駆られながら、読み込んでしまいました。
読み易い文章で興味惹かれ、面白かったです。続刊、求む!
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著者の投稿動画「世界の奇書をゆっくり解説」の内容を書籍化した一冊。
動画は見ていませんが、書名と表紙で手に取りました。
幅広く調べられていて、脱線とも思える長い文章も内容が濃いので飽きずに読めます。
書物が持つ影響力を改めて認識させられました。
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現在の価値観に照らし合わせれば有害図書や偽書と言われる本でも,当時の世相や時代の空気ではそれが出版され流行する理由があった。
いま僕たちが読んでいる本も,将来は奇書として扱われるかもしれないと考えさせられる一冊。
それにしても古今東西よくこれだけ調べたものである。
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#奇書の世界史 買いました!
今なら荒唐無稽と思われる古文書を、成立年代とその時代背景から解説し、またその因果にまつわるエピソード等も加えて、非常に読みやすく内容がまとめられています。
非常に面白かったので、また第2、第3弾が出てくれることを楽しみにしています。