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『風姿花伝』は、本書の冒頭にも書かれているように、「いかにして美しい芸の花を咲かせ続けるかを語った本」です。
会議の際の話の花、プレゼンの説明ポイントの花、酒宴の際の会話の花など至る所で花を咲かせている人がいる。
本書はそんな花を、自分で咲かせてみようというのがテーマになっています。
また、本書には沢山の名言があります。
自身の心に響く名言に出逢える楽しさもあるかと思います。
そもそも『風姿花伝』は、能芸で有名な世阿弥が、たった一人の跡継ぎのために書いた秘伝書です。
それが、今や世界最古のビジネス書と言われているそうです。
本書は序の章とそれに続く7つの巻から構成されています。
具体的にはこんな感じです。
序:斯道を極めるための心得について
第一:年齢に応じた学び
第ニ:模倣と創造
第三:勝負の心得
第四:原点を問い直す
第五:ターゲットを明確にする
第六:強味を持つ
第七:まとめ(信条や志を記したまとめ)
特に私が感銘を受けたのは、「能の命は“花”にこそある」という言葉であり、その解説でした。
年季の入った名人と言われる役者でも、近頃出てきた若い役者との立ち合い勝負に負けることがある。
これを「時分の花」というそうです。
年季の入った役者は、新鮮味がない。そこへ真新しい花が挑戦する。すると若い役者が勝ってしまうことがある。
本当の目利きの観客ならば見抜けるがそうはならないのが世の中。
「どんな銘木であろうとも、人は花が咲いていない時の木など見はしない」
また、沢山の花を持っているつもりでも、それを観客にとって花に見える工夫をしなければ、誰にも見られることなく、無駄に咲き誇っているだけになってしまうと著者は述べています。
だから、「能の命は“花”にこそある」なんですね。
これはまさにビジネスの世界でも同じことが言える。
今の自分の置かれている状態と合致している。そう感じたと共に明日からの活力を与えてくれた一冊でした。
ちなみに第三部は、世阿弥の名言集になっているので、お時間ない方はそちらを読むだけでも一読の価値ありだと思います。