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紙の本
あだ花にも希望があったかも
2020/07/30 15:37
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本のタイトルにある「あだ花」、漢字で書くと「徒花」。
その意味を「広辞苑」で調べると、いくつか出てくる。その中でこの場合は「はかなく散りゆく花」ということになるだろうか。
この本で紹介されている「カストリ雑誌」の数は117冊。
いずれも戦後間もなく発売され、数年後にはその姿を消すことになった雑誌たちである。
国会図書館にもあまり所蔵されていないというそんな雑誌たちが、表紙図版が主だとはいえ、これだけの雑誌が揃えられると圧巻である。
欲情をそそるようなイラストや、色使いでできた表紙の数々を見ているだけで、戦争が終わったあとの高揚して行き場のない男たちの心情がうかがえる。
この本には「カストリ雑誌」の定義なりが詳しく書かれているが、長くなるのでこれも「広辞苑」から引用しておく。
「終戦直後の三、四年の間、数多く出版された主として性を扱った粗悪な体裁の大衆雑誌の総称。「カストリ」は三合(号)で(酔い)つぶれるの意からの名」と、結構詳しく書かれている。
ただ、「三号でつぶれる」というのは、おかしいと、この本にはある。
とにかく爆発的に売れたので経済的な理由ではなく、警察の目をくらますために出版社があえて廃刊にしたのだろうと、している。
著者は最後に「カストリ雑誌」が短命に終わった理由を、「日本人が短い時間で戦争体験から立ち直ろうとする心を持てた、という顕れではないか」と書いている。
その意味では「あだ花」は、希望へとつながる花であったといえる。
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