紙の本
ツマグロヒョウモンとかジャコウアゲハとか。これは偏愛?いえ、不偏愛への道。
2019/10/28 16:46
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公はデビュー直前のアイドルに夢中な女子。で、虫なんて大っ嫌い、なはずだった。それがどうして嫌いじゃなくなっていくのかを描いたお話である。
これから10年もしたら女子学生の会話もまた変わってるんだろうな、というような話し方に「半世紀前の女子学生」は苦い味を感じながら読んだ。リアルな虫の状況が出てくるので、「読むだけで嫌」の人もいるかもしれない。でも、そこを「とにかく近寄ってみる」「読んでみる」ことで「嫌さ」は減っていくんじゃないだろうか。そう、それは主人公とが感じていたのととても似ているのではないだろうか。(読者もどうぞこの道をたどってきてください、と希望をこめて書いてます。)
かくして主人公はタイトル通り「イモムシ偏愛」になる。・・・いや、偏愛はなんだか「誰にも理解できない領域」に踏み込んでいっている感じだから違うと思う。植物も、そして人間も含めての「いきもの」に感じる「不偏愛」ではないだろうか。主人公の場合はイモムシが「不偏の愛」への入口だったというだけで。
虫を好きになる、触れるようになるきっかけってこんなもんだよね。この道は何年前でも、何年先でもきっと変わらないだろう。
ツマグロヒョウモンの毒々しい幼虫に、ジャコウアゲハ(しかも寄生バチまで出てくる)。その食草の名前もきちんと出てきて知ってる人は「あああれね」と違う楽しみ方もできるかも。
虫好きもそうでない人も、ちょっと面白く読めるお話だと思う。
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中学3年生の凪が出会った嘉世子は、大好きなアイドル・ヒカルのおばあちゃんだった。嘉世子の家に招かれ、広大な庭に圧倒されていると、なんとイモムシの世話を託されることに! ヒカルに近づくためしぶしぶ引き受けるが、いつの間にかイモムシに魅了されてゆく。しかしそんな穏やかな日々に不穏な影が忍び寄り……。
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中学3年生の凪は、お屋敷が立ち並ぶ麓の新興住宅地に引っ越してきた。大きな敷地に住むお屋敷の老婦人が、自分の好きなアイドルの祖母だと知り、彼女と親しくなりたいと願う。虫好きの老婦人の影響を受け、蝶になるまえのイモムシに関心を持つようになった凪のお話。
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イモムシ、毛虫が苦手です。存在を排除したいとは思わないのですがどうしても心が拒否します。
虫嫌いの少女が、近所のイモムシ大好きおばあさんと友達になって、次第に虫への愛着を深めていく話です。
ほんわかで進んで終わるのかなと思いきや、イモムシおばあさんと母親の確執から始まる毒を含んだ人間関係がとてもスパイシーで素晴らしいです。
本の中でも、次第にイモムシが可愛く思えてくる少女の心境変化に伴い、自分も段々と拒否感が薄れ、イモムシ可愛いかもなあと思い始めました。
流石にスズメガ系のでかいイモムシを触るのは絶対無理と思うけれど、拒否感って知らない事に関する事が多いので、誰かと一緒にずっと面倒見ていたら可愛く感じるだろうし、触れるようになるであろう予感はあります。
友達との関係、親との距離感、ご近所さんとの交流、色々と成長している少女の姿が清々しくて読んでいてひたすら楽しかった。
ちなみに少女がブロッコリーから出てきたイモムシを育てて、コナガという小さい蛾が産まれて飛び立っていく所ジンとしました。この間家で見つけて逃がしたのはコナガだったと判明しました。確かに蛾感が無くて可愛い虫でした。
最近小さい虫を殺すのも嫌になって来ていたので非常に共感しながら読めました。昔は虫はおもちゃでしかなかったのに。大人になるってこういうことなのね。
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私はこれまで一緒に過ごしたペットといいますか、生き物は、犬、カタツムリ、金魚、(幼虫)、猫です。現在は猫と過ごして7年です。幼虫に関してですが、2年前、クロアゲハの幼虫が酢橘の葉をむしゃむしゃ、枝でサナギになる様子を日々観察し、越冬して羽化することを楽しみにしました。(寒さに負けてしまいました。この本を読んで、5度までの寒さまでは耐えられると)吉野万理子 著「イモムシ偏愛記」、2019.9発行。一気に読了しました。イモムシの世界を学びかつ楽しめました。好き嫌いがわかれる作品だと思いますが、私は好きです!
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建築時の揉め事から、険悪な仲だと思い距離を置いていた方の本当の思いと、予想外の縁とイモムシの関係性が面白かったです。無条件に無視を嫌がる母親の自分勝手さに勝手に怒りを覚えました、