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メモ。
技術的問題と適応課題の対比。
考え方の枠組みが相違した場合の、理解・対処法。
あなたの立場は私だったかもしれないと思える関係の構築。
全勝は戦わず、大兵は創つくことは無し。
落語とナラティブ。
湯、品川から讃岐の金毘羅山まで。
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「組織論」の本なのだけど、これはビジネスパーソンに限らずすべての人間におすすめの本だと思った。
だって、誰もが他者との関係性の中に生き、多少なりともその関係性で悩んでいるのだから。
そして、その関係性の力を通じて、現実を変えていけるのだ、そんな希望を持てた本でもあった。
本書には、いくつも「はっ」とした箇所があるので、自分の所感とともにとどめておきたい。
これは引用だけど、関係性には二つある。「私とそれ」「私とあなた」。ネットにはびこるコメントなどは、ほぼすべて「私とそれ」の関係性が背後にある気がする。
「私とそれ」という溝のある関係性ではなく、「私とあなた」になっていくために必要なのが、対話なのですね。
対話とは、「私とあなた」を意識しながら、新しい関係性を築くためのもの、自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すこと。
コラムの中にもすごく響く言葉があった。
社会的を紐解くと、日常の会話にいきつく。だとすれば、「私たちは何を語るのかによって、現実を本当に少しずつだけれど、変えていくことができるかもしれない」。企業の変革も上から下ばかりではない。「下から上へ対話的に働きかけていく」ことで可能なのだ。
そして、「人が育つというのは、その人が携わる仕事において主人公になること」。ここは自分なりにしっかり考える必要があると思った箇所でもある。
「主人公になる」とは何か。人の評価に惑わされない。自分の理想を持ち、自分を信じて生きる。
ここは、組織の中で「誇り高く生きること」に通じるのではないか。自分は何者なのか、何のために頑張っているのか。これを考え続けなければ自分の人生で主人公にはなれないはず。そしてこれを貫く。他者とは「わかりあえなさ」を前提にしながらもあきらめない。対話で橋を架けていく。
でも対話は目的ではない。
誇り高く、かつ、他者と協働しながら「より良い仕事」をなしていく
この本は、わかりやすいのだけど、少し踏み込んで理解しようとすると、ちゃんと考えないといけない。
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組織に働く人の「同質性」を前提にせず、まずは「他者」と考えて、関係性を作っていこう、という感じなのかな?
多様性(=diversity)ではなくて、他者性(=otherness)とでもいうようなことに変化しているということなのかな?
人はそれぞれのワールド、ナラティヴを生きていて、人と人との間には溝があるという前提に、どうコミュニケーション、協働を成立させていくかという話。
基本、納得性のある話ではあるが、驚くようなものはなくて、わざわざ、ナラティブという必要があるのかはわからなかった。(「学習する組織」的には、メンタル・モデルでよさそうだが、その言葉も人によってニュアンスが違うので、それはそれで混乱しそう)
最後のほうで、ナラティヴ・アプローチとの関連性がのべられていて、トム・アンデルセンのリフレクティングの考えが紹介されている。
専門家が専門家としての「正しい」ナラティヴを家族に押し付けることへの反省。
テクニックとしてのナラティヴではなくて、まずは、この権力関係に意識的になろうということなのかな。
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自分以外の他人と働くこと。
私なりの理解は自分ベクトルと他人ベクトル
相手が見ている風景を想像し、自分の風景はそれとして理解しながら
相手にはこう見えるんですねと理解を示してお互いの違い目を尊重しつつ
相互理解&着地点を見つけて新しい道をつくる。
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会社で対話に関する時間が多く割かれるようになり、副題の「わかりあえなさ」という言葉に興味を持ち手に取りました。
組織の中での個人に焦点を当て、行動するための考え方・必要なエッセンスが多く含まれており、読んで良かったなと感じました。
自分と上司はわかりえないという前提は、厳しいながらも本質を得ていて、そういう考えに基づいて行動した方が良いなと腹落ちしました。
特に本書をオススメしたいのは、頭の固い(と思っている)上司に困っている若手の方や、行動してくれない(と思っている)若手に困っている上司の方です。
2時間程度あれば十分目を通せる分量・ページ割りだと感じたので、普段読書をしない人にもおすすめです。
本書が複雑な関係の解消の一助になると思います。
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全体を通して合意できる本。語り口も好き。
分かり合えなさ、対話、ナラティブ、これに尽きると思う。
ただ崖と橋のメタファーじゃない方が良い気もした。
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『他者と働く』(著:宇田川元一)
付箋部分を抜粋します
・「知識として正しいことと、実践との間には大きな隔たりがある」(p3)
・変化がもたらす恐れを相手が乗り越えることを可能にしていかなかれば、物事が先に進まないからです(p6)
・対話とは、権限や立場と関係なく誰にでも、自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すことで
双方向にお互いを受け入れて合っていくことを意味します(p22)
・こちらのナラティブとあちらのナラティブに溝があることを見つけて、いわば「溝に橋を架けていくこと」が
対話なのです(p34)
・相手のナラティブにおいても意味があるようにするにはどうしたらよいのかを考える必要があり、これこそが解釈なのです(p57)
・橋が架かるというのは、相手にとっても自分にとっても、お互いが意味のある存在として、物事に取り組める状態になったことを
意味します(p66)
・人はその人の置かれた人間関係や環境にそもそも埋め込まれた作られた存在なのです。近年、越境が注目されるのも、関係性の
構成を変えるための取り組みとして理解することができるでしょう。単に個人が変わるのではなく、その個人が埋め込まれている
環境を変えることで関係性を変え、その結果として個人が変わるということを狙ったものなのです(p69)
・賢い医者は病人に、空気と土地を変えてみては、と転地療法を勧めて、夢と希望を開きます。今いるこの場所が世界のすべてでは
ないとは、なんと素晴らしい勧めでしょう(p155)
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対話の成り立ちを理解できる本。
会話の中に、関係性から生じる適応課題が生まれたとき、なにを意識して対話するか、ナラティブ間の溝を埋める際になにを意識すれば良いかをまとめてある。
コミュニケーションとは?を再認識できた。
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本を手に取った当初は特にピンとこなかった本なのですが、
ダイアログ(対話)に興味を持つきっかけがあったので、読んでみた本。
良い意味で自分の期待を裏切ってくれて、とても学びの多い良い本でした。
正しいことを言っても通じないのは、自分と相手の文脈の違うからで、
その違いにかけ橋を架けていく作業が対話だとさ(自分なりの理解です)。
この本を読んで、改めて感じたのは、
自分も結構、自分勝手に自分の文脈において、
相手に自分の文脈に合わせるように強要しているかもしれないということ。
相手のことを思うが故にやっているケースも多々あり(そうで)、
そっちの方が事態は深刻です。
まぁ、そういったことに「気がつく」というのが、
第一歩だと思われるので、重要な一歩を踏み出せたとポジティブに考えて、
自分の行動・思考を再度見直していきたいと思います。
この本を読んで、思い出したのが、
「自分の小さな「箱」から脱出する方法」という名著。
おそらく、同じことを言っているような気がする(この「他社と働く」の方がややビジネス寄り)。
この本ももう一度読んでみて、理解を深めたいと思います。
※自分の小さな「箱」から脱出する方法
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4479791779#comment
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ナラティブアプローチ。全ては自分と相手、その環境の中にある。自分の視座に固執することなく、謙虚に相手の視座で世界を見て、対話することが大事だということを丁寧にまとめている。
仕事をする上で、こういう状況ってよくある、と感じる事例も多く、とても理解しやすかった。
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・対話とは、新しい関係性を構築すること
・「私とそれ」という道具的な関係ではなく「私とあなた」という固有の関係へ移行する
・自分の中に相手を見出す、相手の中に自分を見出す
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すごく要約すると、相手の立場にだって考え、架け橋を作り円滑な関係性になることだと思う。
印象的だったのは、中立な人間は原理的に考えてもこの世に存在しない。誰もがそれぞれのナラティブを生きているという意味で偏った存在であり、それは自分もそうだということ。
そもそも存在しないって考えは改めてだった。
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組織論は、個に目を向ける流れ。総論賛成、各論反対。様々なノウハウが、現場では使えない。互いの溝を埋めるには、対話する。対話することは、組織の中で誇り高く生きること。
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まず、この本における対話(ダイアローグ)とは、向き合って話す行為のことではなく、「新しい関係性を構築すること」だと定義するところから始まる。
繰り返し強調されているのは、自分(と自分をとりまく環境)と他者の間にある溝(ナラティヴの違い)を認識するところがすごく重要ってこと。
それから観察、解釈、介入というサイクルを回していくナラティヴ・アプローチについて実例も紹介しながら語られていた。
ナラティヴの違いがあるといっても、自分のナラティヴそのものは大事にすべきで、他者のナラティヴに迎合するのもそれはまた良くない。「橋を架けていく」という表現でそれを示していた。
全体的に平易な語り口で綴られていて読みやすい。
いまやりたいことに対するヒントや気づきが多く得られたと思う。ちょっと耳が痛い部分もあって、そのちょっとした痛みを受け入れるところから始めよう。
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感想 まとめ
(備忘録を記載)
一方的に解決することができない複雑な問題「適応課題」をどう解決するかについて書かれた本
●対話について
マルティン・ブーバーが分類する人間同士の関係性2つ
・「私とそれ」相手を道具のように捉える関係、店員のようなもの
・「私とあなた」相手が私であったかもしれないと思える関係
●スターバックスの例
独特な空間で得られる特別な経験がだんだんと「私とそれ」の関係になっていってしまった。失われていったスターバックスエクスペリエンスを低下させた取り組みを見直した。
●適用課題を解決するためこちら側が変わるためには何を変えればいいのかそれはナラティブですナラティブとは物語つまりその語りを生み出す解釈の枠組みの事、ビジネス上では専門性職業倫理組織文化などに基づいた解釈が典型的である
つまりナラティブとは視点の違いにとどまらずその人たちが置かれている環境における一般常識のようなものなのです。
こちらのナラティブとあちらのナラティブに溝があることを見つけて、溝に橋をかけていく事が対話です。
●適応課題の4タイプ
①ギャップ型
実際の行動と価値観にギャップが生じる
②対立型
互いのコミットメントが対立するケース
③抑圧型
いいにくいこと言わないケース
④回避型
痛み忘れる伴う本質的な問題を回避するため逃げたり、
別の行動にすり替えたりするケース
●溝に橋をかける4つのプロセス
1.準備ー溝に気づく
自分のナラティブを一旦脇に置いてみる
2.観察ー溝の向こうを眺める
相手にはどんなプレッシャー責任仕事上の関心があるかそれはなぜか観察してみる
3.解釈ー溝を渡り橋を設計する
相手のナラティブの中に飛び移って相手がどんな状況で仕事をしているのかをシュミレートするそこから自分が言っていることをやっていることがどんなふうに見えるかをよく眺めてみる
4.介入ー溝に橋をかける
具体的な行動
●上司が無能だからMBAを取りに来たというナラティブ
上司は自分の意見を通すための道具なのか
●営業部と製造部の例
・自分は安全なところにいて相手にリスクを取らせるという関係に
なっていた可能性がわかる
・アドバイスをくれる協力者にたどり着けないという事は、
どこかでまだ自分が既存のナラティブに囚われすぎている可能性があります
・会社の中には何かをやるためのリソースが実はたくさんあるリソースがないように見えるのは実はこちら側が相手を解釈するならてるよ硬直化していたからである
●既存事業部と新規事業部の軋轢について
・新規事業部長は対話的な実践の中で、別の役割を発見することができた
①尖兵としてパイロット的に先に失敗をしたと言う情報を積極的に提供するインテリジェンスとしての役割
②なかなか既存事業の中で手が回らない人材育成の役割や、他の事業部でやりにくい事業の実験を引き受けるなるなど
・つまり新規��業として成功すれば財務的な成果がうまくいかなかったとしてもそれはいち早く事業展開に必要な情報得る上で有用な情報源になる
・大事な事は必ず新しい取り組みを盛り込んでいること、なぜなら既存事業部と新しい関係性を作っているから
●溝に橋を掛けるための4つのプロセス
1.準備ー相手は問題のある存在ではなく別のナラティブの中で意味がある存在として認める
2.観察ー関わる相手の背後にある課題が何かをよく知る
3.解釈ー相手にとって意味のある取り組みは何かを考える
4.介入ー相手の見えていない問題に取り組みかゆいところに手が届く存在になる
●大企業病なのは実は提案を妥協した側も同じでありそこに加担していることに気がつく必要がある
●立場が上の人間を悪者にしておきやすい弱い立場家の正義のナラティブに陥っている
・3回実施された「勉強会」の持つ意味
それは新しい解釈の枠組みを共有していく取り組みからスタートすること
・自分のナラティブを一旦脇に置く
・相手のナラティブになって考える
●インテルの話
DRAMから撤退してCPUに転換できた話
ミドルマネージャーたちが会話を続けたから。具体的には財務担当生産管理担当のミドルマネージャーたちが机を囲んで徐々に築き上げていったから。
●「リーダーの現場力」の迫俊介さんの話
現場が腐っていたわけでもなければ経営が怠けていたわけではなく現場と経営をつなぐ配管が腐っていたと言うわけである
・部下の能力を向上させようと言うナラティブを一度脇に置いた上で、対話のプロセスを大切にしながら、部下が仕事のナラティブにおいて主人公になれるように助けるのが上司の役割
●レッドハット社のジム・ホワイトハーストの話
デルタ航空からレッドハットにやってきた当初、調査レポートの指示を出したら部下は「それは意味がなさそうだと判断したのでやめておきました」と言う返事であった。
だが最終的にこのチームの判断は正しかった。
観察から得たことを解釈して「私自身なぜその仕事に取り組むべきか十分に説明できていなかった」との気づきを得た。
●ナラティブ・セラピーの臨床心理家のトム・アンデルセンの家族療法
「代わりに」から「加えて」に変えたところ、反発がなくなった