紙の本
乾いたマドレーヌ
2020/01/10 11:13
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブルジョアと貴族の社交界の変容の大きな原因は人びとの記憶の変質にあると、無意志的記憶現象という美学を通して自分の人生に閉じこもり人生を内部から眺めて生きてきた者の長編物語の終焉。
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岩波文庫版の最終巻。
とうとう完結した……長かった……(古典新訳文庫版は止まっているようだが)。全部追いかけた読者のひとりとしては、妙な達成感があるw
それにしても、これだけ長い小説を、ワープロも無い時代に書いたプルーストって、考えてみれば凄いよなぁ。
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岩波文庫吉川一義先生訳読了。大団円。
どこからでも、何回でも読める稀有な小説。
好きすぎる。
光文社古典新訳文庫高遠弘美先生訳と並行して読んでた日々もありましたが、こちらが先にゴール。
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ほんの”一世代”で社会はすっかり変わってしまうことを、社交界を舞台に暴露する。
”永続化”なんて詭弁だ、ということが身震いするように迫ってきた。
「私の書物は、コンブレーのメガネ屋が客に差し出すレンズと同じく一種の拡大鏡にすぎず、私はその人たちに私の書物という自分自身を読むための手立てを提供しているにすぎないからだ。」ーーまさしくこの一文そのものの経験を私はした。
時を描く。この途方もない作品を読み終え、なんとすごいものに触れていたのか、私はおののく。とともに、生まれてきて、生き抜いてきて良かったと思う。自分の人生をかみしめられる、生きていてきた時をかみしめられる。そんな瞬間がこれまであっただろうか。この作品は、読む者が読む度に「生」の本質に触れられる、枯れることのない泉だ。
この作品をすぐれた日本語で読めるものとしてくださった吉川一義先生に感謝しかない。