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友人、家族、恋人……人間関係に悩む学生たち。一風変わった学生相談室では、思いもよらぬアドバイスがもえらえるとの噂だが⁈コミュ障で根暗な社会心理学講師と、おひとよしで責任感の強い女子大生コンビによる人生相談室、開幕!
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社会学という学問をもとに人間の持つ気持ちをえぐり出すという新しい手法を用いている。自分自身の行動を第三者的に見るという斬新な展開は好感が持てる。デビュー作としては上々ではないか。次作が楽しみである。
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2019年11月24日読了。
第22回ボイルドエッグズ新人賞(2019年)
⚫️認知的不協和の理論
認知要素(知識)間に矛盾した関係(不協和関係)が
生じるとそれを解消し協和的関係を作り出すように行動
や態度に変化が起こるというもの。
⚫️スケープゴート
贖罪のため神に供えるいけにえの山羊のように、民衆の
不平・不満や怒りを巧妙にそらすための身代わりをい
う。
⚫️ 準拠集団
人が自分自身を関連付けることによって、自己の態度
や判断の形成に影響を受ける集団。準拠集団は一般
に、家族・友人集団などの身近な所属集団からなるこ
とが多い。しかし人が現在所属していない集団つまり
過去に所属したことのある集団、あるいは将来所属し
たと思っている集団、つまり非所属集団もまた準拠集
団となりうる。
⚫️自己成就的予言
社会的行為の恐々に対する虚像の規定あるいは信念、
思い込み、決めつけがそれにもとづいておこなわれた
行為を通じて現実のものと化してしまう場合初期の規定
や信念、思い込みのことを自己成就的予言という。
⚫️自己破滅的予言
将来の社会的恐々に関する見通しを陳述した言明が、
その将来状態に関与する関係主体に影響し行為主体の
行動様式を変えさせることによって結果的に当の言明が
裏切られていく場合、これを自己破壊的予言という。
⚫️ラベリング理論
非行少年というレッテルを貼られることによって、
自分はもう他の人とは違うんだという自覚が芽生えてい
く。逸脱者という自覚が自らのアイデンティティにな
る。
⚫️人間同士の関わり合いの中で働くメカニズムを説き明か
し 隠された社会の仕組みを発見するのが社会学という
学問だ。
⚫️P89
全体の2割の働かない働きアリを取り除いても
結果、残ったアリのうち2割はまた働かなくなる。
⚫️贖罪
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期待以上の面白さだった。
短編集に近いスタイルかと思っていたが、章ごとの社会学的な推理とキャンパスライフでのさまざまな人間模様とがきちんと絡み合っていた。
ただ、大学の教授と学生との距離感に最後まで違和感が残った。同じ内容を高校を舞台にしてもできたのではないかと思う。それならまだ、先生と生徒の距離感も近付くだろう
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タイトルが、「ガイダンス」から始まり、一限から七限まで、そして補講と続く。
カウンセリング、ラベリンング理論、文化人類学、認知的不協和の理論、スケープゴート、準拠集団、服従、自己成就的予言、ステレオタイプ、自己破壊的予言とあり、少しでも社会学に触れたことのある人ならば一度は必ず見聞きする基礎的な内容となっている。
ついでに言えば公務員試験で必ず出される理論なのだが、作者は公務員試験、受けてるな?!
著者の経歴を見ると、やはり作者は公務員だとのこと。
物語は、不真面目な女子大生、松岡が留年の危機に陥ったとこから始まる。
そこで教授に、留年は何とか取り消せないかと言ったところ、教授は友人のゼミに入ってくれたら進級させてあげるというのだ。
そこから不思議なゼミの活動が始まった。
学生たちの相談を受けることでゼミの代わりになる。
相談室で語られる悩みは、2人の女性を同時に愛してしまったとか、就活が辛いとか、友達が私を避けるようになったとか。
それだけであれば、解決してよかったね社会学って面白いねと言う内容なのだが、実は物語はすべてつながっていた。
理論は知っていても、なかなかそれが行動には結びつかないことはよくある。
自己成就的予言、なんてものはその最たるもの。
でも・・・知っているからこそ、少しずつ修正ができる。
歯科矯正と同じだ。一日二日で歯は動かない。
でも、少しづつ動かしていくことで綺麗に歯が並ぶ。
ゆっくりで良い、興味を持ち、学び、生かすことで未来は変わる。
社会は一人一人が少しづつ変わることで出来上がっている。
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・社会学とはなんぞ? あの社会学部の建物(でかい)では何をやっているのだ…?と大学生のときに思ったことがあるであろう問いに対する軽やかな回答の一例。会話もテンポ良く、するすると読めました。
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私立の大学生えみるは1年目で留年決定。しかし、上庭先生のゼミ生となる事を条件に進級出来ることとなる。学生からの人望はなく、ゼミ生は1人もいないという上庭は理事長の息子というだけで職についている有様。しかもモノグサでコミュ障。そんな彼のゼミ生となり、彼が週一回受け持つ生徒向けの相談室にも付き合うハメに…。相談者たちの悩みに、ラベリング理論、認知的不協和、準拠集団、自己成就的予言、などの社会学の手法でバシッと解決する姿は見違えるものだった。ちょっとミステリー要素もあり、ライトな作風で軽く楽しめる。全体的に出来過ぎな感じがありますが、でも、あのラストはちょっとやりすぎかと…。
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学生の頃社会学と文化人類学は好きだった。
あんまりこういう表紙の小説は好きではないのだが、社会学がらみならもしかして面白いかも、と思って読んだが、はじめの3つがつまんない上に、どういうレベルの大学の設定か知らないが、女子同士の仲間はずれが中学生並で、もう時間のムダだしやめよう、と思ったが、ネットの評判は良いのでガマンして読み進めた。
結果から言うと、あまり本に大きな期待を抱かない人には面白いのではないかと。テレビドラマ向きですね。アイドル上がりの女の子が主人公で決まり。
4話目あたりからミステリになっており、一応大団円?を迎えるという構成。
主人公も社会学の講師もマンガ的な分かりやすいキャラクター。この本が売れたら続編出す気満々の印象。
講師と学生が悩みを受け付け(カウンセリングって守秘義務あるから同じ大学の学生に手伝いはさせない)、社会学で解決という物語の根幹が全くリアルでないが、エンタメだからまあいいか。
中高生が読むにはいいのかな。私は薦めないけど。社会学が知りたければ初心者向けの社会学の本、それこそ参考文献に書いてある『徹底図解 社会心理学』(新星出版社)でいいと思う。
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あらゆる人間関係の悩みを社会学で解決できる?!
女子大生えみるが進級と引き換えに入った上庭ゼミ。そこでコミュ障の上庭先生と学生相談室を運営することに。
社会学で一括に言っても範囲が広いし、奥深い。社会学の知識を知るにはとても興味が惹かれる内容だったし勉強になった。
社会学の入口としては良い教科書だろう。
ただ実際に人を取り巻く内容はなんとなくむりやりな感じがしてさしまった。
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ボイルドエッグ受賞作。大石大のデビュー作。
大学の相談室で、教授が社会学を用いて、来訪する相談者の悩みを解決に導く物語。
また、大学生の主人公が相談の助手活動を通じて、社会学を体験的に学び、成長していく物語でもある。
社会学を用いて、話を解決していくのがふんふんと読めて楽しい。主人公と、教授のやりとりもテンポがよくて微笑ましい感じ。
もう一つの謎がからまったストーリーは、何か大きな展開や真相があるわけではなかったが、ミルグラムの実験も交えて追い詰めていくシーンはは楽しく読めた。
主人公がこれらの事件を通して、ゼミでの仲間たちに対してある決断を行うところは、苦い気分にもなりましたが、成長?でもあると感じた。
女子学生特有の人間関係の話は、リアリティがあると思います。
デビューしたばかりの作者ですが、今後の作品が期待できると感じました。
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私が学生の頃、シャガクと言えば早稲田の社会学部だった。
当時は夜間の学部だったらしく、入りやすいなどと言われていたけれど…。
まだまだ女子と言えば「文学部」の時代だったので、社会学部って何を勉強するんだろう?と、たいして文学好きでもないのに、文学部一択だった私は思っていた。
今、自分が学生だったらきっと「社会学部面白そうだなぁ」と思うだろうな。
世の中は大分女子にも開かれてきましたね。
さてこの小説は、単位を落として留年しそうな社会学部の女子学生が、学生が一人も希望しないゼミに入ることを条件に進級させてもらうことから始まる。
そのゼミの教授は学長のメンヘラ息子なのだが、実は社会学に関する熱量はものすごい。
社会学のスキルを持って、学生の悩み事を解決するカウンセリングルームを周1回担当しているのだが、そのカウンセリングがゼミなのだ。
個人情報など、学生が関わっていいのか?などと思ってしまうのだが、そこはちょっと目を瞑ってもらえば、非常に面白く読める。
社会学の可能性や守備範囲の広さも興味深い。
進路を模索する中高生におすすめ。2020.9.21
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大学の学生相談室を舞台にした社会学理論?の話。
哲学、心理学よりの社会学の紹介でしょうか…
主人公の語りから最初は男性かと思ってしまった。
あまりにもステレオタイプ的な自分に苦笑。
最後はアイヒマンが来るとは思わなかった…
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社会学について登場人物とストーリーを交えながら知ることができる。
ただ少し中途半端だった。なぜかというと小説としてもそこまで引き込まれないストーリーであったし、社会学にしても内容が薄いように感じたから。
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展開はベタだし、最後も割と想像のつく感じではあったが、自身が社会学部であるため聞いたことのある単語の理解をより深めることのできた書籍だった。具体的な例を提示しての説明だったので、一つ一つの単語がわかりやすく、社会学を学んだことのない人でも読みやすいと思うような書籍だった。
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留年しそうな女子大生とダメ大学講師がホームズ・ワトソンとなって大学構内の謎を解くミステリー、タイトル通り謎解き(味付け)の土台は社会学の理論。
設定はベタ、展開もまぁよくある話。それでも読ませるのはベタでもよくある話でも基本をしっかり踏んでくれてるからだと思う。
とりつき易いからベタを狙うのか、基本をしっかり踏襲するためにベタとなるのか、同じベタでもその2つの出来は全然違ってくるんだろうと思う…という現象を、社会学的にはなんというんだろう(笑
後半、アイヒマン実験と傍観者効果の話が出てくる。社会的動物たる人間にとって痛い話である、一般大衆とはかくももろく弱いメンタルなのかと思ってしまうが、そこで絶望することこそが一番の弱さなんだろう。
自分の価値観をしっかり持ちつつ、他人の価値観を尊重する。多様性という言葉を言葉だけにしないよう、しっかり意識していきたい。
マスクするのもしないのも、ネイルもタトゥーも整形も、ジェンダーも原発に関する考え方も、色々あっていいじゃないか!