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3部作の2作目。
3→1→2の順で翻訳されたのだが、確かに順番に読んでいくと1番出来が良いと思われる「怒り」まで到達できる人は少ないかも。
ポーランドにおけるユダヤ人問題の部分がサクサクとは読めないせいだと思うが、シャッキのひねくれたキャラクターは好きだ。
ポーランドの鬱屈と、美しい地方都市にも興味がわく。
魅力的な登場人物も多数。でも長いと感じる。
「怒り」を読み返したくなるエンディングだが…。
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シャツキ検事シリーズ第二作。女性が切り刻まれ殺される事件。凶器はユダヤ人が肉用に使う日本刀のように鋭利な刃物。反ユダヤ授業が根底にあるのか?そして第二の殺人が。
意外と楽しめた。ポーランドの反ユダヤ主義蘊蓄がこれでもかと出て来る。教会にユダヤ人がキリスト教徒を惨殺してる絵が飾られている所もあるそうだ。ナチスドイツの迫害以前そして以後も根強く存在してる。事件と関係あるかどうかと関係なくこの話は面白かった。そして真相もわりと好みだった。
そしてバツイチのシャツキは女性にモテモテ、にもかかわらず苦悩を抱える。彼の内面を読むのも(共感なのか反感なのか、その両方なのか)興味深い。
どうでもいいことなのだけれど、作者のミウォシェフスキはグラマーな女性が好きなのだろうか。
「法服を脱いだタタールスカ判事はまさにダイナマイトボディの持ち主だった。見開きページを飾るモデルの女の子のようだった。紫色のブラウスからは胸の谷間がのぞいていた。ナイトクラブでも大胆を思われるほどに」
「国家記銘院キェルツェ分室のとびきり美しい助手は曲線だけでできていた。それでいて余分な曲線はひとつもなかった」
次はやっと三部作最後の「怒り」
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本書により検察官テオドル・シャツキ三部作が揃った。
>さて、シャツキ三部作の最終作『怒り』は先に翻訳されており、好評を得ているそうである。本書は後から邦訳されたものの、三部作の最初の作品である。できれば順番に読みたいという、こだわりのぼくとしては、二作目の邦訳がなされるまでは、その後の『怒り』に辿り着くこと気になれない。なんとも気の長い話だが、性分はなかなか変えることができない。
前作『もつれ』のレビューで今年6月にぼくはこう書いている。『もつれ』『一抹の真実』『怒り』の順番に書かれた本シリーズが、日本では『怒り』『もつれ』『一抹の真実』の順番で邦訳されたわけである。ポーランド語→英語→日本語と経由しての翻訳経緯もあるだろうし、人気作『怒り』を先に邦訳し、要望により一作目から追加出版に踏み切った出版社側の事情もあるだろう。いずれにせよ12月には三作すべて揃ってくれたことで、ぼくは本シリーズを楽しむことができる幸運に浴した。
本シリーズの読みどころはいくつもあるが、とりわけスーパーな謎解きが圧巻であろう。解決を見たかに思えた事件がその後二転三転するプロットは多くの読者を楽しませてくれる。少し大げさなほどの小道具や凄惨な事件現場などにやり過ぎの嫌いを感じないでもないが。
またシャツキの思い通りに行かない人生や、彼の持つ個性もそのまま本書の個性を形作っているように思われる。例えばユダヤ教のラビがシャツキにこう語るシーンがある。
「私はあなたのいかにもポーランド人らしいところが気に入っています。両極端の感情に忠実であるところです――強い高揚感か、暗澹たる落胆か、大きな愛か、われを忘れるほどの怒りか。ポーランド人に関してひとつ言えるのは、ほどほどを知らないということです」
シャツキは、自分の大振れする魂をうまくコントロールすることができない。自分の中の獣のような本能を抑えつけることができないのだが、それでも犬のような勘を働かせた優れた捜査官である。検察官という立場ながら警察官たちと共に行動し、呆れるほどのリスクを負ってでも事件にしがみつくタイプ。このシャツキの不完全な魅力に読者は感じるところが多い、あるいは苛立ちや不制御な部分も感じるのではないか。
さらにポーランドという国の特性。ドイツに、そして続いてソ連に占領され、1989年に民主化を遂げたばかりの国。実は今月に読んだ川越宗一『熱源』の主人公の一人ブロニスワフの弟が初代国家元首であり、個人的読書体験の中で二つの異なる作品はつながってしまうところがあるのだが。さらにカトリックとユダヤ教の対立と、ナチスによるユダヤ人虐殺に続き戦後のユダヤ人追放の暗い歴史まで抱えている国の暗い闇までをも覗くことになるのが本書でもある。
さらに本書の舞台となる、小ローマとも称される古都サンドミエシュの魅力が作品そのものの持つ物語特性に深く関与する。バシリカ大聖堂に残された残酷な虐殺の絵は実在するし、シャツキの目を通して事件に濃い影を落とす。また幽閉や逃走に使われた地下道は現実に一部観光の目玉としてガイド付き���アーが行われている場所でもある。そうしたサンドミエシュ特有の歴史の影を多く見せながら、この作品は読者を物語に引きずり込む。
一抹の真実という言葉はいい意味でも悪い意味でも本書中に頻出する。一抹の真実が如何に頼りなく見えにくいものであるのかを探る旅に是非参加してみては如何だろうか? できれば『もつれ』から順番通りにシャツキの世界に、シャツキと共に旅されることを。
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ポーランド発、検察官シャッキシリーズ三部作の二作目。
あらすじ
不倫がバレて離婚、首都から古都サンドミナシュに赴任したシャッキ。大きな事件はないはずなのに、地元の名士である女性が残忍な方法で殺害される。これはユダヤ人の言い伝えに関わる儀式殺人かと思われるが、続いて、夫も別の方法で殺害されていた。地元は皆知り合い、しかもユダヤ人の轢死や戦争も背景にあるのかもしれない。
面白かったー。いろいろな要素が詰まっていて、ゆっくりじっくり読んだ。ポーランドの地方の様子、サンドミナシュは有名な古都なのかな。町並みの様子がうっとりする。主人公シャッキが魅力ある人物。前作読んだ時はイマイチ人物像がはっきりしなかった。たぶん、シャッキの見かけと言動と年齢を読み飛ばしていたのかな。白髪、ぼやきまくりということで、多分老年を思い浮かべていた。日本でいうと橋爪功。赤カブ検事。でも今回読んで40歳の設定だと気づく。ぼやきまくる40歳。でも仕事はできるし、気持ちもまだ若い。まだキャラクターつかみきれないけど、勢いがあるのはわかった。
何より、事件そのものが振り回されて、ちょっとしか知らなかったヨーロッパにおけるユダヤ人の経緯とか、暗い背景もわかりやすくて、興味深かった。
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シャッキ検察官との付き合いも3作目となると、この残念さ加減にも愛着が湧いてきた。
どこまでも女関係ダメ人間のわりとどうでも男女関係が・・・いやそんなことやってるヒマあるなら睡眠とれよ。
だが、1人おうちにいると、さみしくなって元妻に電話して、冷たくされて逆ギレ。どこまでも残念である。睡眠とれよ。
さて、事件はというと、これがまた壮大な話が展開して、やっぱり秘密警察が!なんと事件関係者が!
町に伝わる陰惨な伝説、歴史、それを下敷にした2代に渡る怨念が!間にはさまれる老婆の悲しい思い出やら教会の隠された絵やら、ほとんどが顔見知りという閉鎖社会のエピソードなどが、これでもかと続き、ついに謎が解けたら!
うん。間違ってるね。逮捕された人が言う通り間違ってましたー
正解の伏線は、たった1行。
あれか!と、思った時には唖然とした。
これもどんでん返しと言っていいのだろうか?
この作者には、なるほど、確かに毎回驚かせれる。
ポーランドのルメートルと言われてるそうだが、なんかそれは違う気がする。カチリ。と、思った。
ここまでくると全作読まないと気が済まない気になってきた。
シャッキ検察官以外の主人公も残念人物なんだろうかとか、余計な興味が止まらない。
ともかく、ポーランドの歴史や地理や生活については、き毎回、非常に興味無く読んでいる。