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民俗学博物館で企画展示と一緒に出版された本。執筆者と展示を行った研究者は同じ。
補助金を得て怪異というしてんから各々が研究し、その発表の場が展示とこの書籍のようだ。
博物館の展示、研究はこのようにやってるのだなぁ。そういえば展示と一緒にこういう書籍売ってるよなあと思った。
内容は、民俗学あるいは歴史の知識がある程度ないと著者の伝えたいことを理解するのが大変。私は大変だった。というか、よく咀嚼できないままに読んでしまったものがいくつもあると思う。
以下はそんな中でも印象に残ったところ。
怪異、妖怪など、迷信や非科学的と言われるようなモノ。それは非科学的、そんなことを信じていたなんて、で若い頃はそれで終わっていた。本書を通して感じた民俗学の意義、わからないもの、不思議なものをなぜそのように(霊とか神とか呪いとか)解釈したのか。
同じ現象でも地域によって説明の仕方に違いがある。それはその民族の宗教観や生活の違いから生まれる。
この【鬼の角】は動物の骨である。で終わりではない。それを集落の人々が信仰していることが重要。なぜ信仰している?どのような経緯で信仰した。それはなぜそこに祀られているのか?なぜ鬼という発想を得たのか?
と考えるのが民俗学なのだと私は解釈した。
また、迷信のようでも上記の通り信ずるに至るまでの経緯があるため、そこには意味がある。
海図に描かれた怪獣は、海の難所を表している。という論文は印象的だった。
海難にあわないため、危ないところを図示していたのだ。
全体的な印象は学会で買う抄録集に近いものを感じた。
もう少し民俗学の知識をつけてからこの手の本にトライしたいと思う。