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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んで思ったことは、
万葉集は「昭和のテレビ」で
新古今あたりは「平成以降のテレビ」という印象。
万葉集は確かに低俗な部分も多分に含んでいるけれど、
その分、真に迫った表現やうわべだけでないところがあって心に沁みる。
新古今あたりになると、表現は整備されて奇麗だけれど、
やっぱりしっかりとしたルールの上にあって心象風景という感じではない。
その後和歌という文化の辿った道はというと……?
あと、本書は恋愛成分を主に抽出しているけれど、
恋愛的な表現に紛れ込んでいる多くの政治的な成分
(おもに権力をゴリ押す藤原に対するうっぷんとか)
も忘れてはいけない部分だと思う。
大伴旅人がなぜ酒を拠り所にするしかなかったのか。
老年ともいえる時期に大宰府に飛ばされた旅人の詠った梅の詩に対して、
どうして返歌がそっけないのか。
藤原氏の氏神である天児屋命をイメージさせる「春日」の後ろに
悲劇で知られる中将姫を思わせる「雲雀」がなぜ詠まれたか。
表立って言葉にできない状況が
これだけの文学作品の背景にあったということは、
とても大切なことだと思う。
おもしろ万葉集入門
2021/04/26 15:01
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投稿者:昼休み - この投稿者のレビュー一覧を見る
万葉集を、著者の妄想を交えつつコミカルに解説した1冊。
古典的仮名遣いを理解することが難しく、ハードルが高い万葉集だけど、実はまだまだ解釈が難しく研究が進められていたり、内容はお酒の席での言葉遊び的なものだったり、「万葉集入門編」として面白くよむことができた。
ただ面白いだけでなく、日本独自?の駄洒落的な言葉遊びや、教養があってこそわかる面白さもあって、改めて「万葉集」って文学なんだなぁと感じた。
途中、やっぱり難しく感じることはあったけど、いろんな文学に触れてみたい!
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万葉集の入門書の著者史上で最年少じゃなかろうか。1994年生まれ京大大学院で万葉集を学んだ筆者による現代風の万葉集解釈。
1300年前の万葉集、今の若い子から妄想とツッコミで捉えるとこんなにも分かりやすく面白いものなのか。
インスタ映えする風景を描いた作品や万葉仮名とキラキラネームを同列視したり、いつの世も変わらぬ孤独や恋の駆け引きなど。
ここまで分かりやすい入門書がかつてあっただろうか。
しっかりと大学院で学んだ実績があり、歌を十分に咀嚼し消化した結果として、本書があるのだろう。
時は令和、万葉集ブームが続く中、便乗的な出版ではあるが、これは良い一冊であると思う。若い娘にも自分のようなオジサンにもきっと万人受けするかと。
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20200319〜0329 万葉集は好きだからちょこちょこ解説本とか読んでいたけど、知らない歌も沢山あるなあと思った。
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「聞いて!これっておもしろいんだよ!」って思って話してくれる人の話ってついつい聞いてしまうし、おもしろいよね。万葉集についてもっと知りたくなった。
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結局、人は孤独でだからこそ繋がりたくて、こうやって言葉を繋ぐ。
それは今のSNSとも根本は同じなんじゃないかなぁ。
1300年前の人の言葉に笑い共感しあー人間てそんな感じよね、て思える素晴らしさ。
この本がというわけじゃないけど万葉集と親しむ事って人間讃歌なのかなぁなんて思った。
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語り口は軽くて、面白いブログ読んでるくらいの気軽さで読めるのに、文学的な視点からの切り口が、「そう読むのか!」とハッとすることが多くてさすがだなーと思う。侮れないなあ。
常々、枕草子はブログやん、と思ってたので、「景色を詠んだ歌はインスタ映えを狙った歌」、という解説には大いに頷きました。
自分が心を動かされたことを他の人にもシェアしたい、という気持ちは今も昔も変わらないんだなあ。そうして、いつの世にも共感されてきたものが古典として残ってきた。そういうことが、今の、主に若い世代の人にもわかりやすい例えやノリで語られる。これなら自分に近くて、いわゆるお勉強としての「文学」という畏まった感じではなく、楽しむもの、自分の気持ちを代弁する親しいもの、として感じられるんだろな、と思う。
後半の、亡き者を偲ぶ歌の解説あたり、特に「想いが芸術に昇華するとき」の項は、そういう意味で読み応えありました。
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Kindleのお試し読み増量だったかなにかで読んで「続きも読みたい!」とポチってしまいました。万葉集って中学や高校でもちょっとはかじったような記憶があるようなないような・・・小学生の頃から意味もわからずともおぼえさせられた百人一首とは違って、私には印象の薄かった歌集。社会人になってからも古典を読みたい欲求はあったものの、古典文法も忘れて久しく挫折の連続。そんな私をもう一度「古典おもしろい!」って思わせてくれた本。著者本人も拡大解釈と書いていたりするのだけど、とっつきにくい「高尚な文学」としての古典をぐんと身近なものにしてくれたという点で他の人にもぜひおすすめしたい一冊。
著者自身が「この本は「『令和』フィーバーが冷めないうちに、萬葉集を好きになる沼にみなさまを引きずり込むぞ大作戦」と(私が勝手に)題し、萬葉集のおもしろいところだけを煮つめてお渡しする……という(私が勝手に作った)コンセプトのもと作られました」(p.226)と書いているとおり、有名無名を問わず妄想が進む歌が紹介されています。元から古典に親しんでいる人の抱く感想はわかりませんが、著者の試みが見事に成功した本ではないでしょうか。
私が一気にと引き込まれたのは、第一章の「キラキラネームに悠久の歴史あり」というセクション。萬葉仮名をキラキラネームに通じるよね、とすごく柔らかく説明してくれているのだけど、世代違いの私には「田舎のヤンキーかよ」という強烈なイメージを与え、「雅な趣味」というある種の古典へのとっつきにくさを払拭してくれました。(とはいえ、原典では絶対読めない!)
文体がかなり柔らかいので著者のツッコミに笑ってしまうことが多かったです。柿本人麻呂の泣血哀慟歌の紹介と説明もわかりやすく、「柿本人麻呂って昔から名前だけは覚えているけど、なるほど、名前を覚えさせられる程の人物だったのだな〜」と今更ながらに思わされました。
難しい本を読むのに身構えるし、本を読んだと言っても自分の読み方に自信が持てず、人と本について話をするのが怖い私だけど、こういう角度の読み方もあるんだぞ、と提示してもらえたことで古典に限らず、読書のハードルを下げてもらえた気もします。
巻末に萬葉集に興味を持った人へのおすすめ本も紹介されていたので読んでみたい。
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万葉集?勉強の本かぁ…と思っているあなたにぜひ読んで欲しい。
著者の三宅夏帆さんが和歌はもちろん歌人たちの関係や時代背景を含めた上で面白おかしく読み解いていてとても楽しく読めた。
興味深い豆知識もたくさん。(奈良時代のおまじないとか)
あれこれ妄想を募らせても昔の人が何を思って歌を詠んだのか本当のところはわからない。
ただ、カタチにしないと何も残らないのだと思った。
自分語りになるのだが、私は自分の言葉で伝えるのがどうも苦手だ。
人と喋ってもほぼ聞き役。SNSでつぶやこうとも結局文章を削除してしまう。
自分の気持ちに自信がないのだ。
でも私の気持ちがわかるのは私しかいないから、自分の今感じたこの気持ちを大切にできるように言葉というカタチにして残していこうと思った。
それがたまたま誰かに届いてくれたらラッキー。
そう思わせてくれた本。