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食べることは日常のこと。だからこそ、「食」との接し方に、人が見えてくる。カジマナ、怜子、そして里佳。食を通じて、女たちの性(さが)をあぶり出していくことが、この作品のおもしろさだと思う。
『BUTTER』というタイトルが秀逸。物語のキーとなる食材であるだけでなく、バターそのものの濃厚さ、ほんのりつきまとう背徳感など、読書中のイメージを一層深めてくれる。
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知人らの評価が高かったため購入。
情景描写の巧みさ、舌触りまで具体的にイメージさせる食の表現、主人公と友人の恋愛関係にも似た深い絆など、細部に丁寧さが宿る一冊。
特に女性が背負わされているあらゆる呪いが、ぞっとするほどリアルで悍しく、しかしてそれが現実にも蔓延っていることに歯がゆさを覚える。
社会問題となりつつある女性の権利、あり方の問題を日常に落とし込んだ良書だと思います。
ただしサスペンス、ミステリー、ホラー好きな人が手に取ると、期待はずれに感じられるかもしれない。
(推理小説好きな私には、少なからず物足りなさや消化不良の節があった。)
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アッコちゃんシリーズや、その他の柚木先生の作品は、
いつもどこかぶっとんでいたり、傷つきながら進んでいくような作品ばかりを手に取っていました。
この作品は…読むのにとても消耗する一冊でした。
とにかく続きは気になるのに、こってり重たくて、
仕事の休憩中に読むと、切り替えができず、苦労しました。苦笑
木嶋佳苗の事件がニュースになったときって、
私は何歳だったんだろう。
本作に登場する梶井真奈子。
付き合う男性たちの財産を奪い、殺人容疑をかけられる。
週刊記者の里佳は、インタビューを重ねるうちに、どんどん梶井真奈子の言葉や食事に翻弄されていく。。
とても奇妙で、
とても違和感だらけで、
とても歪なんだけど、
どれもこれもがわかる気がする。
「男性」「女性」「結婚」「夫婦」「子供」「恋人」
役割や概念がほんとうなのかわからなくなる。
とても苦しい。
みんなコンプレックスがあって、
誰もわかりあえなくて、
それでも一人ではいられずに支えあって。
とにかく食事の描写がすごい。
それがまたさらに、もったりこってりしているんだけど。苦笑
体が食事でできていることがわかる。
そして精神にも影響することが。
里佳は、梶井真奈子の呪縛というか念みたいなものから解放されるんでしょうか。
解放という言葉が適切かはわからないけど、七面鳥を焼いている姿はなんとも言えない気持ちだった。
みんなが前を向いて関係性が変化していっているのに、なんか奇妙な気持ちだった。
どんな形でも状況でも、時間は流れていくなら、
明日はもう少しましに、と思わずにはいられないです。
一番心に残ったのは、本編とは大きく関係しないけど、
「ロックだよね、掃除とか料理とかってさ。愛情ややさしさじゃなくて、一番必要なのは、パワーっていうかさ……。なまくらな日常にのみこまれないような、闘志っていうかさ……」
ほんとそれ!!
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初めての柚木麻子さんの作品。
どういう結末を迎えるのか全く読めなくてわくわく感があった。
梶井真奈子にもう少し踏み込んでほしかった、というのが正直な感想。ちょっと物足りない。590頁弱あるけどなんかぼんやりとしてる。読了後、何だったのだろう感が拭えない。だけども、食べ物の描写がとても良い。バター醤油がけのご飯の描写が特にお気に入り。
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率直な感想、しんどい。
移動用に新幹線の駅でちょっと軽めの社会派?サスペンス?と気軽に買って読み始めたけど、柚木麻子って「終点のあの子」の柚木麻子…と気づいた時には遅く。
全員が全員見事に生きづらくてしんどい。
でも一度崩れてしまってもゆるやかに立ち上がる彼女たちに勇気づけられる。
人はとても簡単に道を見失うけど、再び歩き出すのは思っているほど難しいことではない。
柚木麻子、「終点のあの子」がしんどすぎたから距離を置いてたけどやっぱりすきだ…
あとバターめっちゃ食べたいしジョエル・ロブションのキャビアの前菜はビジュアルが怖いから苦手です(トライポフォビア)
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まさに物語の中心はバターだった。
作中にもあるが、バターは熱がないと溶けない。
けれど、人間関係は急速に熱してもバターのようにはすぐに溶けない。
常温でも日常のなかで徐々に溶けていくことで、友情や信頼は築かれていくのだろうと思う。
読んでくうちに食べてもないのにバターの虜になりそうだったのは、文章表現の素晴らしさもあるが、すでにあのバターの魅力を覚えてしまっているからだろうな。一度味わった美味しさはそう簡単には忘れられないのだ。
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現実に起こったあの「木嶋佳苗事件」を
連想させる内容です。
ライターである主人公が、獄中の婚約者
や交際相手を何人も殺した容疑者との
対話が繰り広げられ場面が続きます。
その中身を通して現代の女性の生きづら
さが、これでもかというくらい突きつけ
られます。
男性が読むべきは、前半のこれらの女性
の苦悩を理解するべきところ。女性は後
半に、それでも主人公が大切なものを取
り戻すところを読むべきと思います。
男女共に必読の一冊です。
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実際にあった事件のモデルというところには興味あったし、お腹の空く本でした。
でも、どこか自分と通じるところもあったので面白かったのですが、前半が面白かったので、後半が少しスーッと終わったイメージでした。
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もっとノンフ寄りのものを期待していた自分としては、ちょっと物足りなく感じたかも。あと、料理/グルメ小説が好きじゃない、ってのもあるかな。結構が巧妙だから、どんどん読み進めさせられはするんだけど、600ページはちょっと長く感じてしまいました。
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読みやすかったけど、サスペンスではないかな?
ただただ、料理をしたくなった…
結局は、何を言いたかったのかも分からず。
女同士のヒエラルキーなのか?
発育早い女子の話なのか? 定まらなかったのが残念
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ぐんぐん読み進めることができ、あっという間に読めた。
美味しそうな食べ物や作る工程の描写が食いしん坊にはたまらない。
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交際していた男性を次々と不審死させたとして罪に問われた女性。その事件の真相を聞き出すため拘置所に通う女性記者。
あの事件のことだ。女性の視点で描かれるあの事件の影響は、男性の立場からすると痛くてツラい。
でも男性糾弾の話ではなかった。主人公・里佳の自立と友情の話。ただの友情物語ではない。梶井のカリスマ性や、怜子の暴走は緊迫感と色気でドキドキさせられた。最後には、梶井が本当に人を殺めたのかどうかなんてどうでもよくなっていた自分に驚く。
なるほど、これは面白い。
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週刊誌の記事の大半は読者の興味を引き、売上部数を伸ばすために、適当に話を盛って面白おかしく書かれていると思っていた。「心臓を差し出す」覚悟を持って対象と向き合い、心身を削って書いているとは。そして、触れることなく言葉や雰囲気だけで、人の心を操り死にいたらしめてしまうなんてことがあるとは。いろんな衝撃が詰まった一冊だった。そして、グルメ本でもあった。料理の新しい世界を開いてもらった。料理と殺人、表裏一体なのかもしれない。
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出だしの文章で「あ、面白い」と引き込まれどんどん夢中になり読み進めるうちに2キロも太ってしまった。
自分はグルメ小説が好きなんだなぁと気付かせてくれた作品。内容はもちろん、装丁も挿画もたまらなく素敵です。
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バターがこっくり濃厚、食べ物の描写も。常にバターのまとわりつく重苦しい感じ…
最後は少し失速、というか、前半の、玲子がカジマナにどんどんハマって弄ばれているような場面はスピード感を感じて、読む手が止まらなかった。
後半の、登場人物達の、とくにカジマナと玲子の不器用さというか、こだわりが強い感じが、読んでて少し苦しくなった。それでも、出来ればカジマナの深層心理の描写がもっと読みたかったかも。
でも、トータルでは引き込まれて久しぶりに一気読みした小説。