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序盤はとにかくバターの美味しそうな食べ方に魅了される。(実際作って食べた物も有り)
そして気づかぬうちにカジマナの手中にはまる…里佳をなぞるように。
後半にかけてカジマナを客観的に見れるようになってからの、里佳自身の気づき、カジマナの本質については、理解が追い付かないところもあった。
自身の適量を知る、という言葉は生活に取り入れていきたい。
柚木さんの著書は、ランチのアッコちゃんしか読んだことがなかったので、本作でイメージが変わった。私はこちらの方が好み。
時間をかけて読んだので、所々繋がらない箇所があった。また時間のある時に再読したい。
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終始、バターが潤(ほと)びています。
潤びる、この読み方初めて知った!
終始、バター。
こんなにタイトルにある単語が最初から最後まで出てくる小説初めて読んだ。
消費される人生は嫌だ。消費してやる!という気持ち。
考えすぎだし、自分を消費しすぎなんだよな〜、きっと。
最近頑張って楽観的な考え方をするようにしているから、共感はなかなかできなかったけど、非常に興味深い。
人と人って色んな角度から色々と影響し合うんだな、と。
カジマナとの面会で話を聞いて大きな影響を受けて思考や行動が変わっていく里佳。一対一の人間関係って本当に閉鎖的で危ういものなんだなとも気付かされた。
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約600ページに渡る骨太の作品。頁を繰る手を休められなかった。
所々に描写される食べ物が、生命の勢いに溢れている。
他方、虚飾と虚言に塗り固められた女はかつての豊穣さを枯らせていく。
彼女を取材する記者は彼女から生きていくことのエッセンスを得る。
濃いバターの風味が漂う作品だった。
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文庫化待ってた。
じわじわと核心に迫る系ミステリだと思ってたけど、中盤以降、生き辛さ抱え系社会派小説なんだと気づく。
何が正しいか間違ってるか、ましてや人が何を思い何に傷つくかなんて、わかるはずないのに、私達はみんな、本当は自分の中にしかない“社会"の檻に囚われて傷ついて、その範疇を超えた存在を畏怖している。でも、わけがわからない怪物のように見えるカジマナもきっと別の檻に囚われているに過ぎないのだろうと思う。
人生には救いなんかないけど、でも唯一希望があるならば、自分だけでなく恐らく全ての人にとって人生ってそういうものであるという事と、それを知っていれば、助ける事も助けられる事も出来るって事かも知れない。
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カジマナこと梶井真奈子は世間を騒がせた首都圏連続不審死事件の被告人である。
美しくないどころか、食欲に正直に生き、肥満した体を持つ彼女がなぜ男たちを虜にしたのか。
週刊誌記者の里佳は、拘置所にいる梶井の独占記事を書くため、梶井の気を惹こうとその嗜好をなぞり始める‥。
食材や料理の描写がとにかく多い。
私のように食に興味がない読者にとっては退屈で、肝心の登場人物たちの心理の変化に集中できなかった。
やっと読み終えた、という感じ。
食べ物の描写と心理とが密接に関わっているため、そしてそれがこの作品の秀逸な部分のため、飛ばして読むということもできず、なかなか苦しかった。
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バター醤油ご飯は食べたくなった。
でもこの本は好みではない。
様々なタイプの、特に多くの女性が登場するので、ゴシップが好きな人にはたまらなく面白いのかも。実際の事件をベースにしていて、主人公も週刊誌の記者という設定だし。読み応えはある。
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数年前から気になっていて、ようやく読めました。
女として生きること
容姿を整えること、適正体重であること、仕事をすること、家庭を持ち 子を産み育てること …
登場人物が皆個性豊かで、楽しい。仕事に没頭する里佳、家庭に入りながらも類い稀なる個性を発揮してしまう伶子、そして真奈子。その他にも篠井さんや北村など、性格やタイプはバラバラな者たちが里佳を介して繋がりを持ちはじめる。人は自分が持ちえないものに憧れてたり嫉妬したりする。それを持つものに近付く人や、忌み嫌う人。人間は無意識に支え合い、無いものを与えられたり借りたりして生きていくのだと思った。その描写が丁寧かつ細かく、そしてとてもリアルに描かれていた。
料理教室での梶井の葛藤や、仕事が忙しくてもお菓子を焼いたり料理を作ること、そして最後の七面鳥のシーン。上手く言葉に出来ないが、とても深みを感じた。
取り止めのない感想になってしまいましたが、いつかもう一度読んで感想を書きたい作品。
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殺人事件を扱った話だが、グルメ小説でもある。
とにかくバターを使った料理が食べたくなる!
これを読みながら、塩バターラーメンが食べたくて食べたくて
少し遠出して食べに行ったぐらい(笑)
バター醤油ごはんも試してみよう✌︎
私も料理上手になりたい。。。
七面鳥を料理する元気は無いなぁ。。。笑
2020年読了、7冊目
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実際におこった2007年から2009年に起こった「首都圏連続不審死事件」をモチーフにしている。
学生でしたが、失礼だけれど犯人の女性の容姿と婚活で知り合った高齢の男性が次々に亡くなっている事件とのことで衝撃が大きかったので、読んでみた。
冒頭は、主人公が通った高級料理教室や高級料理の描写がおいしそうでもあり、胸やけしてきそうで 読んでは止まりを繰り返してしまった。
しかし、週刊誌の記者が犯人に重ね合うように生活をし、犯人の心情が同化していく様は はらはらさせられ、描写がすごくうまかった。
やっぱり、柚木さんの小説は女心が見透かされているようでまた読み返したい1冊です。
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事件がメインテーマかと思ったが、女性に対しての世間の見方とか生きづらさなどが伝わってきた。
高級バターを買ってバター醤油ご飯を食べてみたい。
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長い。別に長い小説は嫌いなわけではないけど…最初から最後まで、ブレみたいなものをたくさん感じて入り込みきれなかった。元ネタも深い題材だし終始続きは気になる。けど、主人公の葛藤、挫折、再生、と色々あるなかで主人公の気持ちの変化などがいつも唐突で、一本の筋のようなものが通っていないように感じた。梶井と主人公の関係性にしても。この出来事で気持ちこうなるかー、の連続という感じ。
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何気なく手に取り読んだら夢中になりそうだったので買いました。殺人事件の話かと思ったらそうでもなく、女と男の価値観や思想の渦に巻き込まれ、普段考えないことをたくさん考えました。
ギクリとするような人の心理、どんな人でも持ちうる冷たい価値観やドロっとした思想を割とドライに描かれてます。誰かに影響を与えてそれが相手を傷つけて結果的に死んでしまったり、逆に誰かに助けを求め助けられる。社会の作った価値観に勝手に苦しみ、自信をなくし、疲れてしまう。そんな自分の心情を主人公里佳に投影して読んでました。読んでて疲れなかったのは、ある場面ある場面に味方になる人がいて、美味しい食事シーンが出てきたからかもしれません。七面鳥食べてみたいです。
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婚活サイトで知り合った男性にお近づきになり、その人のお金で贅沢な暮らしをする。その人(たち)を殺した疑いで逮捕される。
そんな実際にあった事件をもとにしている。
男性との関係性の中で語られがちなこの事件を、女性の目線でかつ女性との関係性の中で語っている。
柚木さんの本には、女子校出身の人が多く出てくるのだけど、その一種歪んだ世界で培われた考え方の影響がよく表されている。
読んでる途中はねっとりとバターにまとわりつかれてるような気持ちになる。
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やっと読了(忙しかったせいもあるけど,2週間くらいかかった).
フェミニズムと反フェミニズム,女同士の信頼と友情.よく知られた事件を下敷きにはしているが,それにとらわれることなく物語は進む.(本屋さんのダイアナもそうだったけど,吉田修一が物語の中のエピソードの一つとして実際の事件をよく入れるように,柚木先生は実際に起こった事件を下敷きにするのが好きなのだろうか.)
女の人ってこんな風に考えているんだってことが沢山あって,納得したりいろいろ考えさせられたことが多かったんだけど,里佳や伶子がどうしてそこまで傷つくんだろうっていうのも結構あって,うーんやっぱり女性は謎だ(なんていうとフェミニズム的にはアウトかな).
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木嶋早苗事件をモデルにした社会派長編小説というので、
事件の真相にかなり切り込んでいくような内容だと
思っていました。
けれど容疑者とされている梶井と面会をすることになり、
育った家庭環境、恋愛などと様々な事を調べていくうちに
主人公里佳の内面から外見までが変わっていき、
このまま梶井の言われるままになってしまうのかと思ってしまいました。
それだけでなく、梶尾が食に対して貪欲なことから、
彼女から食に関することに一つ一つ課題のようなものが出され
その真相を掴むために今まで殆ど自分とは無縁だったり
興味のなかったグルメや美味しい料理などが
沢山出てくるので途中からグルメ本と勘違いする位の
高価なメニューや美味しそうな料理が沢山出てくるので
夜にこの作品を読むとお腹が空いてくるくらいでした。
里佳が一つの食に関して理解しようとすると同時に
里佳の心の奥底で眠っていた深い闇のようなものが
あぶり出され苦悩する。
それと同時に友人の怜子も徐々に影響されて変わっていく
という予想にもしていなかった展開が繰り広げていったので
とても驚きました。
この本の解説の山本一力さんが書いていたように
女同士・・・それに限らず、人と人との繋がりというのが
書かれていて思わず納得してしまいました。
梶井が言った
「私が欲しいのは崇拝者だけ。友達なんていらないの」
という言葉。
本当は友達が欲しいからこんなことを言って虚勢を
張ることしか出来なかったのかもしれないと思いました。
そんな言葉を聞いた里佳だからこそ
身近にいる親友が改めて愛しい友達と思えて
ある場面からぐっと心の距離を縮ませるような
言動や行動を取っていたのが分かりました。
そしてラストには作品の初めとはまるで別人のような
里佳になりこれからの明るい未来を清々しく
描かれていたので心がとろけるような思いになりました。
印象的な言葉で
「もし神様がいるとしたら、私たちが与えられた試練に
苦しむのを見て、満足したり、喜んだりしないんじゃないのかなって。
だから、何もかも自力で乗り越えなきゃいけないわけじゃないよ。
成長をし続けなきゃいけないわけでもないよ。
そんなことより、今日一日をやり終えることの方がずっと大事」
女性が生きていく中で様々なしがらみや理不尽なことが
沢山出てくると思います。
けれどそんな時に何でもかんでも自分で乗り越えて
完璧にしなくても、自分なりに日々を満足に
乗り越えていくことが大事はないかということが
心に響いてきました。
想像をしていた内容の展開とはだいぶ違った内容でしたが、
女性同士の友情や距離感のとり方など参考にできる所が
多々あり奥深い作品だと思いました。