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アクティブ・ラーニングとは何か
著:渡部 淳
岩波新書 1823
欧米の影響で、文部省は、黒板とチョークの一方的な授業から、ロールプレーイングやディベートを含めた双方の授業へ、「アクティブ・ラーニング」へと学び方改革を進めていく方法を述べています。
知識注入型授業の比重が高いのは、東アジアの特徴である。
日本をはじめ、韓国、中国、ベトナム、シンガポールなどの国々に見られる傾向である
欧米では、個性尊重、経験主義、自学主義が生まれ、大正時代の日本にも影響があった。
戦後、まもなく、文部省は、教育の目標、内容、方法について、全国一律の教育の手引きとして、学習指導要領を作成した。
1947 学習指導要領策定
1977 おちこぼれ対応にて、ゆとり教育導入
1989 新しい学力観
1998 教育内容3割減⇒ゆとり教育本格導入+総合的な学習の時間
2012 中教審 質的転換答申 能動的学修(=アクティブ・ラーニング)への必要性を提言
2016 中教審 主体的・対話的で深い学びをアクティブ・ラーニングとして定義
2018 学びの地図、カリキュラム・マネジメント⇒アクティブ・ラーニングを含めた学習指導要領改訂
本書でいう、アクティブ・ラーニングとは、官製の指導方法の転換なのである。
気になったのは、以下です。
・なぜ、アクティブ・ラーニングなのか?
⇒21世紀が知識基盤社会であり、新しい知識・情報・技術の重要性が高まっているから
⇒国際的動向に合わせた変革なのである
・コンテンツ(内容)⇒コンピテンシー(資質・能力)へ
・ティーチング(教え)⇒ラーニング(学び)へ
やりかたは
①道具を相互作用的にもちいる
②異質な人々からなる集団で相互に関わり合う
③自律的に行動する
一方的授業 ⇒ 参加型授業
試行授業
①ロールプレイの導入
②フリーズ・フレームの活用 場面(静止画)
③ホット・シーティング(質問コーナー)
④プレゼンテーション
⑤スカイプ
⑥ディベート
獲得型学習モデル
①リサーチワーク
②ディスカション・ディベート
③ドラマワーク
④プレゼンテーション
+⑤ウォーミングアップ
教育プレゼンテーション30の技法
最初の一歩
①世界一短いスピーチ
②1分間スピーチ
③即興スピーチ
④ショー&テル
⑤なりきりスピーチ
ことばモード
⑥準備したスピーチ
⑦半即興スピーチ
⑧暗唱
⑨朗読
⑩群読・コール
⑪公開インタビュー
⑫クイズ・ショー
⑬架空シンポジウム
⑭ニュースショー
ものモード
⑮ポスター・セッション
⑯フォト・スライド・ショー
⑰PCでのプレゼン
⑱ビデオ作品
⑲ガイド・ツアー
⑳紙芝居
㉑人形劇
㉒ものづくり
身体モード
㉓フリーズ・フレーム
㉔なりきりプレゼンテーション
㉕CM発表
㉖再現ドラマ
㉗ホット・シーティング
㉘ディベード・ドラマ
㉙ダンス
㉚パフォーマンス
・アクティビティ定着の4つのフェーズ
①個々のアクティビティの働きや効果について教師が十分にしること
②アクティビティを組み合わせて、1時間なり1学期間なりの授業をデザインできること
③実際の授業でアクティビティを効果的に運用できる
④教育内容、教室環境、生徒の状況など諸条件に合わせて、教師がオリジナルなアクティビティを創造すること
・アクティビティ・ラーニングを定着させるためには、教師を支援しつづけなければならない
①物理的な環境の整備
②教師の多忙化
・移行ステップ
①現状の把握と分析
②目標の明確化
③教師研修プログラム
・自立的学習者
①プロジェクトの運営に参画する経験
②チームの活動に何らかの貢献をする経験
③自分の視野が広がる経験
④コミュニケーションの大切に気づく経験
⑤自己の特質に気づく経験
・自立的学習者 ⇒ 新しい教養人 の育成 が最終目標
目次
はじめに―学び方改革に向けて
第1章 授業改革からアクティブ・ラーニングへ
第2章 アクティブ・ラーニングへの移行
第3章 学びを全身化、共同化するアクティブ・ラーニングの実践
第4章 共有財産としての参加型アクティビティ
第5章 アクティブ・ラーニングが定着する条件
おわりに―異文化接触の最前線で
あとがき
引用・参考文献
ISBN:9784004318231
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:222ページ
定価:880円(本体)
発売日:2020年01月21日 第1刷