オークションを通して見るアートの世界
2020/04/14 21:37
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投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はオークションハウスの1つクリスティーズジャパンの代表取締役。オークションについて初心者でも分かりやすく書かれていて、さらに著者が体験した美術品を巡る物語がとにかく面白かった。美術品には来歴が必ず存在していることを意識すると、美術館に展示されている美術品の1つ1つにどんな物語があるのか、また海外を旅して日本に戻ってきた美術品はどんな景色を見てきたんだろうなどと思いを巡らせると今までとまた違った美術品の楽しみ方ができるなと思った。
「人を見る眼はモノを見る巡らせると、モノを見る眼は人を見る眼」と本著で述べられているように私もアートの世界を楽しみながら美意識の眼を養っていきたいと思い、まずは著者が薦める鑑賞法を実践してみようと思う。
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サザビーズやクリスティーズなどの「オークションハウス」って気になるけど、どんなところ?を知りたい人に!
でも、想像以上にいろんな役割を果たしているんだなぁ。
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クリスティーズの社長の著書ということで、アート業界のお金の話なのかと思ったら、著者の回顧録的な内容で比較的軽い内容なので、肩透かしを喰らったというか、よく言えば気軽に読めた。
アートはやはり欧米の価値観で動いている。
だから特に欧米の美術史の文脈にのるかどうかが、作家そして作品の評価が決まってくる。
日本においては巨匠として今尚圧倒的な存在感を示している岡本太郎氏をはじめとする日本の作家が、世界では殆ど無名であるということが、それを如実に表している。
その中で現代アートの世界では、アニメやマンガなどのサブカルチャーをアートに取り込んだ作品で海外で高い評価を集める村上隆氏などは、その辺をしっかりと理解した上で作品を発表しており、日本の美術史上、希有な存在であると言える。
日本国内では賛否両論あるが、世界を視野に入れて危機感を持っての活動なのだから、勿論日本での評価など気にも留めてないのではないでしょうか。
昨今アートとビジネスを結びつける本が増えてきているが、コレクターが富裕層だということ以外は、どれもあまりピンとこない。
個人的に現代アートが好きで、好みは勿論あるが、自分の発想からは出てこないような作品を観るのは楽しいし、刺激を受ける。
また作家の考えや作品の説明を見聞きすると、作品の印象が変わってきたりするのも面白い。
そいう意味では、アートを通して物事を表層的に見ないで、文脈や歴史など多面的に見るようになった。
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平野啓一郎さんがお勧めだったので読んでみる
「美意識」の値段というタイトルだったので、美的センスとか、作品のテーマの読み取り方、作品の評価の仕方ついての説明が書かれているのかと期待していたがそうではなかった。
作品の来歴が大切、オークションで落札価格が決まる経緯、作品がオークションに出される事情など、「教養がある人がいいと思うものがいいもの」「お金持ちがお金を出す作品がいい作品」な(著者は意図してない)やっかみを自分の気持ちに感じてしまう。
最後まで読むと、自分も美術館に行ってみようかな、部屋や事務所に何か飾ってみようかな、という気持ちにもなれる。
多分、読み返さない。
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・どうすれば「目利き」になれるのか?
できるだけ良質の本を読み、そしてとにかく評価の定まった「(最高級の)良い作品だけ」を沢山観ることだ。
・トップコレクターたちは、「自分は”歴史の一部”を、ほんの一瞬預かるだけだ」という非常に謙虚な発想から来ている。
・(日本の)国公立の博物館・美術館による収蔵品の売買ができるように、早急にシステムを再構築すべきである。コレクションを定期的に見直し、死蔵や重複収蔵している作品等を売却することで、海外の館がそうしているように、売上を作品の修復費に充てたり、その館にとって重要な作品を購入する費用の一部にしたり、また館の修繕費や改築費に充てたりすることとが、なぜできないのか?
・これだけ世界に認められている日本美術品について、もし外国人から何か質問されたら、一体どれくらいの日本人がそれに答えられるのだろう。
・例えば「禅」や「茶道」、「神道」や「北斎」等の日本文化のことだって、誰もピカソやルノワールのことなんか聞きたくない、ということで、これは「人を知る前に己を知れ」ということ。
・日本美術品のマーケットは、日本がバブル時代に高騰した。その後、マーケットはシュリンクした。理由としては、日本の経済の著しい低下、日本人の生活様式が極端に西洋化されたこと、海外のビッグコレクターが年を取り、コレクションも充実したため購買意欲が減退したこと、その間に若年層のコレクターが育たなかったこと。など。
・今のジェネラルなマーケットは「装飾美術」全盛時代といえ、所謂「ハイ・アート」はトレンドでは無いのである。
・今最も危惧するのは若年層コレクターの減少。
●美術展の見方
・展示室ごとに自分の好きな作品を決めてみては?
・次の部屋にいくまでに、一分二分でも良いから、なぜ自分はこの作品が好きだと思ったのかについて考える
・展覧会を観終わったら、今度は展示全体の中で自分の記憶を巡り、どれが一番よかったかを考える。
・自分の好みや感性が判ってくる。
「伝統というものは、革新の連続の結果である」
・革新的創造こそが、我々に課された未来的な義務としての、新たなる遺伝子を作ることなのである。
・遺伝子を守りながらも、この試みを諦めずに続けるということ。それは生きていく、ということと同じだと私は思っていて、生物学的にも昨日とまったく同じ自分が存在しないように、アートや文化、そして世界とともに、毎日ほんの少しずつでも自分を革新していきたい、と私は日々、日本と外国を行き来しながら考えているのです。
・生活に用いる物を自分たちの美意識を注いできたことが、日本美術の特徴だと思っている。
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感性は自分そのものであるが、これを鍛えるにはホンモノを鑑賞するしかない。そうすることで自分が磨かれる。
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クリスティーズの仕事や美術品への審美眼など、興味深く読むことができた。ビジネスに使えるかというのは美術を理解していないという意見は、山口周氏の本とも違う。
実体験の話が多く、日本の美術品が海外にあることの意義、審美眼の養い方など、非常に参考になる内容だった。価値がわかる人が、お金を出して購入するのが一番と思うし、身銭を切らない一役、予算を出せない団体は文句は言えないと感じた。
ただ、矢張り、仕舞う、嘗て、など、あえて読みにくくすることはないのではと、個人的には残念だった。著者のこだわりと思うが、単純な漢字の問題がとっつきにくくしていると、印象的だった。もったいないと思う。
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クリスティーズで日本・東洋美術のスペシャリストとして活動してきた著者の、体験談や日本美術・美意識への考え方を綴った本。
私がこれまで読んだ美術鑑賞本は大体3パターンくらい。
・ビジネスなエリートと話ができるように美術ウンチクを覚える。
・作品そのものをよく観察・比較し自分なりの見方や切り口、ウンチクを養う。
・自分の感性で好きなように見る。
本書は著者のオークションハウスでの経験をもとにしているので、鑑賞より売買が目的、ウンチクより鑑定眼という感じです。
選ぶなら「自分の感性で好きなように見る」に近いと思います。
そして、その感性を磨くのに以下2点をオススメ。
・良い作品だけ沢山みる
・生活にアートを取り入れ、美意識を意識する
この「生活にアートを取り入れる」あたりの話が面白かったです。例えば、
・日本美術とは、「日用品を含むため、素材・様式・用途・種類が多岐にわたる。日本人は身近な道具に美を見出し、あるいは道具を飾り、美しい道具を用いる試みを続けてきた。」のだそうです。
・デコ携帯を見て「うわ、これは何てジャパンなんだ」と思い、「限られたスペースに意匠を凝らすのは日本人の得意技…」という解説をしています。
・ご自身の美意識としてコムデギャルソンのピンクのお財布を愛用しているそうです。年相応の財布を持つよう言われることもあるけど、そういう「自分らしさ」があっても良いと。
生活の中にアートを取り入れる「現代床の間」のアイデアもあります。
・本棚の1スペース、本棚の上に飾る
・本棚と本棚の間に飾る
「現代床の間」は是非やってみたいです。
とはいえ、美術品はすぐ買えるわけではないので、花から。私は水彩画を描くのでスケッチブックもと思いましたが、それだと「良い作品だけ見る」に反するのでやっぱりやめときます…。
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以前浮世絵を見に行こうと思って肉筆画の所蔵場所を見たらほとんどがアメリカ。その時は日本人として落胆したが、この本を読めばそれは然るべきことであって、むしろ喜ばしいこととすら思える。
ユーモアを織り交ぜながら柔らかい語り口で美術品の競売、日本美術、鑑識眼などについて語られる良書!
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茶道とは直接関係ないのですが、「目利き」が気になる人には良いヒントになるのではないかと思います。芸術としての茶の湯に興味がある人におすすめです。
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Kindleで購入。
アートオークションの内側を知れればと読んでみた。
・やはりアートオークションは顧客も売主も桁違いの富豪が多いんだなぁ
・「定価」の概念がないモノに対しての値付けの難しさ。売買時の市場状況や来歴による付加価値で上下する価格。
・世界のアートシーンにおける日本美術のポジションと、その可能性。
著者の経験したオークション面白エピソードが数多く散りばめられ、オークショニアの仕事を少し身近に感じられる、
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オークション・ハウス「クリスティーズ」に勤める著者がみずからの体験を踏まえて、芸術のたのしみかたから美術品を取り巻く状況にまでを説いている本です。
アートとビジネスにまつわる問題についての著者の考えが語られている本を期待したのですが、一つのテーマについて深く掘り下げて論じたものではなく、オークションを中心にさまざまな話題がとりあげられており、エッセイに近いスタイルで書かれています。かならずしも最初に期待していたような内容ではなかったのですが、やはり著者自身の見聞にもとづく、美術品の数奇な来歴についての話や、アート・オークションにかかわる人びとの生態についての話はおもしろく読むことができました。
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オークションを取り巻くできごと、美術品との数奇な巡り合わせ、日本美術にまつわる思い、アートとの向き合い方について書かれていますが、エピソード満載でおもしろいです❗
(帯の文はなんか違うなと思いました)
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オークションにおける値段のつけ方
相場、希少性、状態、来歴
や、美術館の来歴のストーリー
(行くべきところに落ち着く)
筆者の半生、オススメの日本美術の名品
など色々なエピソードと共に紹介してある。
別でも書いたが、値段を抑えるためだろうが、作品の写真が少ない上モノクロ。
かなり知ってる方だと思うが、三分の一はネットで検索しながら。
時間のある人向け。