電子書籍
思ったよりシニカル
2020/09/11 02:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かったが、思ったよりも作風はシニカルなのかも。デビュー作(なのか?)の『横浜駅SF』は椎名誠っぽいと思ったら、やはり作者の好みだったよう。本書の作品は、椎名誠というよりはどっちかというと高山羽根子の作を思わせるようなものが多い。作中では表題作が何か好き。火星のメタン生成岩も孤独を感じて他者を求めるのかなあ。
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面白かったです。柞刈湯葉さんの物語を読んでみたかったので楽しかったです。
読み終わって表紙を見るとじんわりきます……ジローさんが思ってたよりかわいい。
「人間たちの話」の関係も良いですし、「宇宙ラーメン重油味」の店主・トシオの「消化管のあるやつは全員客」というポリシーが素敵。
柞刈さんは完全に理系なので考え方が面白いです。「横浜駅SF」も全国版も読みたいです。
読んでないのに同僚におすすめしたけど、胸を張って「面白かったですよ!」と言えます。やっと。
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近未来SF。一見酷い境遇にいる人たちだけど、あっけらかんと前向きに進んでる。カラッとした読み口で楽しい。
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『横浜駅SF』が話題になった著者の短篇集。
どれも面白い味わいの短編だった。『横浜駅SF』も読んでみようかな。
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飄々とした文章で実にSF短編集らしくてよかった。個人的には「楽しい超監視社会」が気に入りました。まったく荒唐無稽な設定のようで、それでいてリアルをゆるく反映している。そのうえでユーモラスに皮肉を交えてる。実にSFらしい。
全部読んでから表紙を見ると、各キャラのイメージがわかって面白い。
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思っていたよりずっと読みやすく楽しめる短編集だった。
面白かったのは「たのしい超監視社会」。これほどストレートにこの現実世界のいろいろな物事を皮肉っている話もなかなかないのでは。今わたしは「面白い」と思って読めているけど、これを「いや、ありえるかもこんな20年後」とか考えだすと深みにはまりそうで、考えずに面白く読める社会が続いてほしい。「三分間ヘイティング」の強烈さと、それに従いながらも"集団遊戯"として捉えられる"分離可能な精神"が育つ、というのも興味深かった。実際にはやはり人によりけりだろうけど、その精神を獲得する人の割合によって社会が進む方向は変わるのだろうなと・・・、過去の道行きもそれで一部説明できるのかもな、と思う。
表題作は意外にもしんみりさせられてこれも良かった。
「何をもって生命とするのか」ということは宇宙の水がどうとかいうニュースを見ると時々考える。私たちの基準でいえる"生命"と、ほかの星での定義は全く異なるかもしれないじゃないか、と思う。私たちには分からないだけで火星には火星の"生き物"がたくさんいるのかもしれないし、と思う。
「皆さんには、あれが生物に見えたんですか?」
という言葉はすごく現実味がある。むりやり生命を定義することに、果たして意味はあるんだろうか。
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最近のハヤカワ文庫にしては薄い方で、モダンで可愛らしい表紙デザイン。ぱっと見の印象は軽めのタッチです。
そして、読んで見ての印象も、見た目の印象とほぼ変わらず。短編集ということもあるのでしょうが、サクサクと軽いです。
軽妙で洒脱、スマートな語り口。見た目の印象は軽いものの、ストーリーのバックボーンにSFとしての骨太な思索がしっかりと埋め込まれており、それなりに読み応えがあります。
が、鴨的な第一印象は、「軽すぎて物足りないなぁ・・・」というのが正直なところ。おそらく、明確な起承転結がなくメリハリがあまり感じられないのが、大きな要因だと思います。ユニークなSF的アイディアを持ち出して話を引っ張る牽引力はあるんですが、引っ張り続けてこの先どこに行くんだろう、この話・・・と思い始めたあたりでプツっと終わってしまう感じ。表題作「人間たちの話」は、まさにタイトル通り人間たちの関係性を描く比較的重たい作品で、一番読み応えがあったんですが、とある事件が起こってこの先一波乱あるんだろうなぁ、というその時点でさらりと作品が終了しており、もう一山描けばもっと印象深い作品になったろうに・・・と思えてしまいます。が、そこまで書いたら「くどい」と感じるタイプの作風なんでしょうね。
もう一つ、印象的なのは、今風に言うと「コミュ障」と言えそうなキャラがよく登場するな、ということ。でも、そのキャラ自身はそのことを自覚しつつも特段ネガティヴには捉えておらず、むしろ世の中の人間関係を鬱陶しく感じている様子が、独特の閉塞感を生み出しています。
全般に軽いタッチではありますが、不可視の世界観をちょっと感じる作家さんではありますね。長編も読んでみようかなぁ。
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全編まじめで論理的でノリツッコミなとこがすき。
なんだろうこの被観測者感。人間たちは皆自分が唯一の観測者だと思いがちだけど、私たちは観測されている。未来に。
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SF短編集。淡々とした語り口がインターネット世代には読みやすい。
透明人間の話、「見てのとおり(見えない)」
オーウェル「つらい監視社会」の時代は既に終わり、私たちが向き合わなけれはならないのは「たのしい超監視社会」。
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冬の時代:どこかで読んだような話。ポストアポカリプス。二人組。旅
たのしい超監視社会:作者が書いている通り1984 とはまた違った思想のSF。面白い。続きが読みたくなる感じ
人間たちの話:人間関係の複雑さと、研究者としても研究の話と、累という姉の子どもと同居する話。一人だと生まれてきてよかったのと考えるといった形の発言がすごく心に残った。
記念日:石が部屋にある話。人間には死ぬ機能がある
No reaction:透明人間の話。設定がすごくおもしろい。透明人間はこちらの世界に干渉できないという設定初めて読むので面白かった
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センス抜群でとても読み易いSF短編集。カバーイラストも良い。シニカルで現実味のある表題作と漫画チックな「宇宙ラーメン重油味」が印象に残った。まだデビュー3年、今後も注目していきたい作家さん。
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楽しい。
表題作を含む6篇の短編集で、それぞれが全く異なるテイストながら、表題作のタイトルがそのまま各篇をも言い表すという。厳密には人間じゃないのもいるけど(表紙の右下に薄〜くいる)。
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著者については何も知らず、「名前の読み方がワカラナイ・・・」と思いながら、分からないまま、表紙がかわいかったのと、最初の作品の1ページ目を試しに読んで、すごく気に入ったのとで、そのまま読んでみることにした。
あまりにおもしろくてビックリした。
まず最初の「冬の時代」を読んで、こんなに短く、かるーい感じで書いているのに、ページじゅうからにじみ出ている知性に驚いた。
理系のひとなのかな?と思いながら読みすすみ、次の作品で、同じくかるーい感じで書いているのに、大変に骨太・社会派なことにまたまた驚く。
めちゃくちゃおもしろいんですけど・・・と、手にした時には想像もしなかったほどの質の高さにちょっとヨロめきながら、次の作品へ。
表題作「人間たちの話」の導入部、多孔質の岩石の描写を読みながら、「ああ、これは文系には書けない! ぜったい理系、しかも研究者クラスだ」と思って、そこでいったん中断してインターネッツで調べたら、やっぱりそうだった。
立花隆がどこかで書いていた、文系と理系の深く超えられない溝についての文章が頭をよぎった。(大昔に読んだのでおぼろな記憶だけど、理系科目の重要性を説きつつ、運動の第二法則も知らないなんて世も末だ、的な、おバカ大学生に対するお小言だったような…)
しかしこの人の素晴らしいところは小難しいことが全然小難しくなく、おもしろおかしく、かつゆるーいタッチで書かれているところだ。
運動の第二法則が分からない頭でも(=私のことですが)全然理解できます。
なおかつ、骨太社会派。ほぼすべての作品に、現代社会の「なんだかなぁ」と思うところへのツッコミというか、パロディというか、そういう要素が入っている。
この「人間たちの話」について巻末で「宇宙生命とのファースト・コンタクトは探査機ではなく会議による認定だろう、という個人的確信にもとづいて書かれた」とご自身で解説されていて、ちょっとウケた。
確かに、そうかも、なるほどなぁ、と思った。もちろん私も宇宙関連のニュースは好きなのでいつも興味を持って見ていたけど、私はそういう発想にはもちろんいかない。なんておもしろい人。
そんなこんなで、非常に楽しんで読んだ。すっかりファンになってしまった。
どの話も、私の極めて貧困な発想のナナメ上の方向に進んでいくので、おもしろくてしょうがなかった。
「宇宙ラーメン重油味」のジローさんの過去と現在の状況って、もう一つの「ブレード・ランナー」よね。
見た目も怖い感じのロボットを想像していたら、表紙のジローさんの予想外のかわいさ!
一番好きなのはやっぱり一番最初の「冬の時代」かな。表題作と僅差でですが。
最初の1ページ目を試しに読んだときに感じた「この文体、このキャラ、このネーミングセンス、好きだ!」という第一印象は最後まで変わらなかった。
もっとふくらませて長編にしてほしいなぁ。
「横浜駅SF」も絶対読もう。
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おもしろすぎ!
1日1話でゆっくり読むつもりが一気読み^^;
最後の『 No Reaction』、著者の核というか根っこの部分かなと思いながら読み終え、引き続きあとがきを読んで納得(あとがき自体も楽しい)。
とにかく抜群のセンスとテンポのよい文章。
出会えて感謝の、ドストライクな一冊でした!
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かわいい。
あらゐけいいちさんの表紙もかわいい。登場人物がみんな描いてある。かわいい。
いすかりさんの書くものの登場人物はみんなちょっと抜けてたりずれてたりしてかわいい。そして特殊な状況の話でも、特別でなくそこらへんの人の話に見える。ちょっとした困惑とかちょっとした毎日の楽しみとかが親近感を湧かせるからか。
たのしい超監視社会 もちろん1984年のオマージュで、小川哲さんのデビュー作にも似たような話があるが、このテーマでさえ登場人物がかわいい。金田くんとケイも思いだすが、金田くんサイドが普通でひょろいので当然宇宙は産まれません。
石の話 マグリットかよ、と思ったらマグリットだった。著者は悩んでるっぽいけど、結構好き。
借りて読んだけど買おうかな