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以前、と言っても40年近く前、大体のエッセイは読んでいたのでが、読んだことは覚えていても、細部を間違えて記憶していたり、あまり覚えていなかったりしたものも多かった。改めて読み返して、やっぱりこの人のエッセイは上手いと思った。また、事故で亡くなったことも知っていて読むと、悲しくなる。後書きに来年で没後40年とあった。もっと長生きして欲しかった。
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何十年の昔これらのエッセイを読んで、私も例に漏れず向田邦子に憧れた。こんな大人の女性になりたい、大人の女性のお手本だと思った。何十年かすれば(そして努力を怠らなければ)自分もきっとなれると信じた。しかし、この度これを読んでわかった。なれない。誰にもなれない。向田邦子は特別だ。
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何回も読んでるはずなのに新鮮に読めるなあ。
『手袋をさがす』は秀逸。
もし事故に遭わなかったらどれだけのものを残していたんだろうとすごく残念に思う。
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昭和は遠くなったし、家族の関係もだいぶ変わってしまったが、向田さんの文章を読むと、やはり引き込まれてしまいます。ベスト・エッセイの形で読み応えのある作品をまとめていただき、ありがたかったです。
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向田邦子のエッセイといえば、昭和の家族を中心に描いたもの(父の詫び状等)というようなイメージがありますが、こうしてベスト版?みたいな感じでまとめられると、家族のこと以外に暮らしのこと、食のこと、仕事のこと、性格のこと、考え方のこと、いろんなエッセイを書いており、生きるということをいろんな角度からいろんな形で切り取られていて、その集積で向田邦子という人間の形が見えてくるような編纂になっており、それはすごく素敵だなと思った。
やはり冒頭の「父の詫び状」や、東京大空襲に直面した家族の様子を描いた「ごはん」などは紛れもない傑作だと思いますが、わたしは今回は「手袋をさがす」にすべての心を持っていかれてしまった。回想系のエッセイや40代での暮らしのエッセイが多いので、わたしの中では穏やかで虚栄心が少ない可愛らしい人、みたいなイメージだったのだけれど、このエッセイには痛々しく苛立っていた20代の向田邦子が、「手袋」というありきたりな日常のアイテムからハッとするほど鮮明に描かれている。わたしも「自分が本当に気に入っている手袋でないなら、はめないほうがいい」と考えてしまう質であり、そのことで常々苦しんできたので、救われたような気持ちと、でもやはり苦しいなと思ってしまう気持ち。「足るを知る」「与えられているもので満足する」ということの美しさと、「常に貪欲で、足りない足りないと何かを探し回っている」ということの強さは両立しうるのか、というところが目下の課題です。
ところで、冬にはめる手袋が見つからなかった、というところからここまで人生の話を展開させる手腕はやはり素晴らしい。いろんな作家がいろんなエッセイを書いているが、遠いものをつなぎ合わせる飛躍の切れ味は群を抜いているように思う。飛躍を1本にまとめあげる力技には、やはり文章の力が必要で、この人も平易な言葉で大変難しいことをしていた人なのだった。
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いいエッセイは何度読んでもいい。
繰り返し読んでは懐かしみたいし、笑いたいし、切なくなりたいし、どうしてこんなに向田邦子は心をわしづかみするんだろう。
何回も読んだ”手袋をさがす”あの時の上司だった人の何気なく言った真髄をついた言葉。
著者が22歳の時に会社からの帰路を歩きながら決心したこと。
だから私たちは彼女の描いたドラマや小説、この名エッセイを手に取れる。
そして彼女の死もまた。
いや、それは言いますまい。
著者の矜持、欲しいものは妥協しない。素晴らしい作品を残しそして生きたいように生きた52歳の人生だったのだから。
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向田邦子のエッセイは全て読んでいたつもりだったが、今回久しぶりに読んでみると初めて読むと思うものが複数ある。
巻末の出典をみると、やはり全て既読本なので、当方の記憶が欠落しているのであろう。記憶になかったのは、まだ著者の年齢に比べて遥かに若かったため、理解と共感に欠けていたからに違いない。
「夜中の薔薇」が選ばれていなかった事に驚く。
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エッセイ初心者の私が初めて向田邦子を読んでみた。
最後の角田光代さんの解説を読んで、恥ずかしながら初めてエッセイの醍醐味がなんなのかが分かり、そこからここ数日読んできたエッセイ集の良さをジワジワと噛み締めた。
特に一番最後の『手袋をさがす』は共感できる考えが綴られていた。またその内容も私が1人心の中で秘めていたことだったので、堂々とその内容を記されていることに深い感心と共感、そして共鳴できたことに感謝している。
何度か読み返したいと思った。
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解説が角田光代と知って、迷わず手に取った。
おもしろかったなあ。
何度も読み返す1冊になると思う。
飛行機の話が何度も出てきて、運命の不思議を感じた。
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エッセイとしては、たしかに読みやすく面白かったが…
いかんせん、時代の変遷で、現在の価値観とのギャップが大きかった。
向田邦子の描く「父」は、今であれば、典型的なDV、モラハラ夫で、非難轟々間違いないところである。
また、向田邦子自身も、20代前半で不倫し、相手の妻子を自殺未遂に追い込み、最終的には男が自殺して恋が終わった…という、今では絶対に許されない経歴の持ち主。
文化、芸術と倫理は、別次元なのかも知れないが、エッセイは、創作物というより、著者の思考の投影なので、向田邦子自身に大きな違和感を感じる読後感となった。
特に、後半の「ないものねだりの手袋」の一節が、周囲を不幸にしてでも手に入れたかった「禁断の恋」の正当化のようで、見苦しいと感じた。
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これまで向田邦子のエッセイは読んだことがないと思っていたんだけど、この本の中にどう考えても読んだことあるものがいくつか入っており、あれ?と思ったら「マハシャイ・マミオ殿」という飼い猫に宛てた短いラブレターを読んで強烈に思い出したことがある。僕は高校の時にラブレターの代筆をしてたことがあるんだけど、面倒くさくなって「眠る盃」というエッセイ集の中に入ってる「マハシャイ・マミオ殿」をパクってほぼそのまま渡したことがあったのでした。
友達が誰々が好きでラブレターを渡したいんだけど書けないから書いてくれと言ってきて、書いてあげたらその話が広まってしまい、とうとう「〇〇高校に行ってる友達が書いてほしいって言ってるんだけど」とか言ってくる奴が出てきて面倒くさくなった末のことでした・・・。22年を経て思い出しました。お金は貰わなかったと思いますが、貰わなかった自信がありません。500円くらい貰ったことが何度かあったからです。拝借した文面でお金を受け取るなどという良心の痛むことを当時の僕がしていないことを祈るばかりです。
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2021年は向田邦子没後40年の年です。妹の和子さんが7つの分野、50篇のベストエッセイを編集されました。「向田邦子ベストエッセイ」、2020.3発行。角田光代さんの解説にただ頷きます。「読み手の強力な共感、わかるわかる、あるある、がある。そして、それは時代や世代を軽々と超えている」私の好きなのは、分野ごとに:①家族では「父の詫び状」「お辞儀」「字のない葉書」②食いしんぼう「薩摩揚」「お弁当」③犬と猫とライオン「噛み癖」「猫自慢」④こだわりの品「旅枕」⑤旅「鹿児島感傷旅行」⑥仕事「一杯のコーヒーから」⑦私という人「手袋をさがす」。
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よかったなぁ。私は無人島に持っていくのは向田さんの父の詫び状かもしれない。最後の話が自分とも重なってよかった。
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岡山の置き土産第二弾。ジャケ買い。
向田邦子ってだれ?という状況でスタート。
この時代に結婚せずに仕事でばりばりやっていくのは大変だっただろうに、あんまりそれを感じない。毎日小さくてもいいから発見をして楽しんでいるからだろうか。
解説読んでとても納得したのだが、たしかにあの時代のテレビは華やかさ満載のはずなのにそれが全然感じられない。素敵な人だったのだろう。
思うことは、ベスト・エッセイが最初の読み初めではなく、ベストじゃない版を最初に読みたかった。ベストじゃなかったら手に取ってないのだろうけども。
今度は昔出されたやつを読んでみようと思う。
飛行機が落ちないで欲しいという話は何も考えずに読んだ。あとがきで没後40年と知ってなんで亡くなったのか気になってカバーを見たら飛行機事故だった。飛行機事故にあったときは、綺麗に片付けて出掛けてしまったのかな。
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思ったよりとてもよかった。スパイラルの展示を見たあとだったので、余計に。原稿の展示を見た時、字が汚いなーと思ったが、本人も承知のことだったとは。ほっとした。
ニューヨークの旅の話で、治安が悪い地域に行った時、みんな不機嫌な顔をしていた・・・というような文章があった。もし、自分も差別や偏見にあい、ここで生きていたらこんな顔になっていただろう・・・というように続く。「この人すごい」と好きになった。父の詫び状以外にも、泣いてしまう話もいくつか、さすがベストエッセイ。ライオンの話は特に大好き。