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最近ではマスコミでも、「問題老人」「暴走老人」「孤独老人」などとして、その「切実な現実」が頻繁に報じられるようになった。 定年を境に多くの人は突然の環境変化に戸惑い、人によってはうつや認知症のような病気を引き起こしたり、 病気とは言わないまでもやたらと感情的になったり、暴言や奇行の目立ったりすることが?
この本では、定年を境に引き起こされる男性の「深刻な問題」に焦点をあて、 身につまされる41の実例をもとに、定年者が直面するリアルな現実を知ってもらい、
定年前にできること、心がけたいことを、脳科学・心の問題の第一人者である著者がアドバイスする。50代は「定年後の自分」を育てる時期でもある―「はじめに」
「50代は同窓会に行ける・行けないの分岐点」
「朝食後にやることがなく、居場所に戸惑う定年男性」
「70歳まで雇用を奨励する政府、本当は50代で手放したい企業」… このように、「50代」や「定年」をテーマにしたネット記事や雑誌の特集を目にすることが増えました。ただ、「逃げ切り世代」「お荷物社員」「暴走中(高)年」など批判的な内容が多いため、50代や定年者が読めば、暗い気持ちになってしまう人は結構いるのではないでしょうか。50代の人のなかには、会社に居づらい人も少なくないかもしれません。 中略)
定年後の主な問題といえば「お金」「健康」「生きがい」でしたが、近年では定年後の居場所のなさを感じる人が多く、「孤独」が問題視されています。実際、国や自治体も重い腰を上げて高齢者の孤独対策に取り組み始めました。孤独は世界的な問題で、イギリスでは孤独担当大臣のポストが新設されたくらいです。 (中略)
定年男性を待ち受ける事例としては、「意欲がわかない」「出不精になる」「自分を責める」「暴言を吐く」「焦燥感にかられる」「居場所がなく孤独を感じる」「人付き合いがうまくいかない」「家庭や地域社会で困った存在と化す」などがあります。
定年を境に多くの人は突然の環境変化に戸惑い、人によってはうつや認知症のような病気を引き起こすことがめずらしくはありません。病気とは言わないまでも、やたらと感情的になったり、暴言や奇行が目立ったりすることが多く、介護や認知症並みに家庭や社会で深刻な問題になっているのが現実です。これでは悠々自適どころか、50代から先の人生に不安しか感じない人も多いのではないでしょうか。 (中略)
本書では、定年を境に引き起こされる男性の深刻な問題に焦点をあてています。これまで私が直接相談を受けたり目にしてきたりした50~60代前半の男性の実例を中心に、私が体験した実例も交えながら、読者にとって身につまされるはずのものを選んでいます。
読者のなかには仕事が忙しく、60歳が必ずしも退職年齢とは限らず、まだまだ「定年」のことが頭によぎらない人や、考えている余裕のない人もいるかもしれません。
そのような方は、各節冒頭の実例にいくつか目を通してもらうだけでも、「定年を病にしない」ための準備が、たとえ50歳を過ぎたばかりであったとしてもけっして早過ぎることはないことが頷けるはずです。
本書は定年者が直面しているリアルな現実を知ってもらい、読者が自分の近未来の姿���重ね合わせて考えてもらうのが狙いですが、事例を踏まえたうえで、50代のうちに心がけておきたいことや、私の専門の立場からのアドバイスを、各節の最後にまとめています。
本書を一読し、50代を定年へ向けたシフト期間と位置付けることで、早めに準備さえしておけば、定年後をそれほど恐れることはないと思います。