紙の本
自然界の美意識
2020/09/15 10:08
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
鳥類ってオスが華麗でメスが地味ってよくありますよね。あれはメスがそのようにオスを進化させたらしいですよ。凄いですね、メス(笑)
そこから人間の愛情まで解説は広がります。
目からウロコの動物進化です。
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装丁の美しさと、カラー口絵で紹介されている野鳥たちの色鮮やかな姿や、その奇妙な習性に惹かれて即購入。「審美」によって進化が促されたという主張は十分に説得力があったと思う。また、「美」そのものについての再定義がなされている。美の哲学的記述に興味のある人にとっても、読みごたえのある一冊となるだろう。
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ダーウィンの学説は、自然淘汰の他に、性選択があったそうだ。
突然変異の中で生存に適したものが生き延びていくという自然淘汰だけでなく、配偶相手を個として選択する行為、それは生存に役立つとかでなく、ぶっちゃけ、好きなものは好きだから。
それに応えることは、なるほど遺伝子を残すことに役立つわけだ。
選択する主体はメスであって、オスは選んでもらおうと頑張る。口絵にもあるが、鳥の綺麗さと健気さはすごい。
それが、類人猿と人間の違いにも影響して来て、ヒトの男は優しくなり、共に子育てをするようになった。
うまく行ってたんだが、文化、文明、産業の発達により、父権優位の社会になって来たんじゃねえかという論の展開。
後半、ちょっと、「解釈」できるよになってるところもあるんだが、極めて興味深い。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12606901786.html
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めちゃめちゃおもろかった!イェールの有名なプラム鳥類学教授による、わかりやすい美の世界。鳥類学だけではなく、いろんな学問世界との兼ね合いとか社会構造などもリファレンスされていて、わかりみが深い。
”本書の目標は、ダーウィンの美の進化仮説を復活させて、その美による生命観の独特な豊かさや複雑さ、多様性をあますところなく示すことである。”
どの世界でもだが、学説には結構な”流行”というのがあって、その流行が後進にどのような影響を与えるか、というのも分かったりする。性選択が中心なので、まずとっかかりはダーウィンとウォレス、ここらへんはたくさんの書物があるので、誰でも知ってるフレーズとか出てきて、ページをめくるのをスピードアップさせる。
"The sight of a feather in a peacock's tail," Charles Darwin wrote in 1860, "makes me sick."
有名なダーウィンが言った「クジャクの尾羽を見ると、いつも気分が悪くなる!」いい訳だ。ダーウィンの種の起源を考えると、自然選択によってもたらされた、その他の遺伝子形質とは異なって、生存価がまったくないように思われたから、ダーウィンは自説にことごとく意を唱えられているように感じさせられた、という話。美しさの難しさである。現在ではダーウィン理論の正しさや誤りはまずまず解き明かされてはいる。非実用的な美の起源について、考察されている。
ウォレスが不要で効果がないといって否定しているのは、ダーウィンの性選択のうち、美に基づく恣意的な選り好みの部分であって、すべてを否定しているわけではないというのを理解せねばならない。日本人はともすれば坊主憎けりゃ袈裟まで憎いになりがちだが、情動とサイエンス的な正誤を分けて考える必要があるだろう。
フィッシャー性選択説:ランナウェイ過程は江戸時代のオモトや朝顔バブル、1920年ごろの狂騒の20年代、1986年ごろの日本の不動産バブル、2008年のリーマンショックに似ている。どの出来事もあるものの価値が「実際の」価値からかけ離れてしまい、そのように評価され続けるだけでなく、価値がさらに上昇し続けることに起こる事例である。フィッシャーの提唱した配偶者選択はバブル市場の「根拠なき熱狂」の遺伝子版であると、プラム教授は言及する。経済との類似性は非常に興味深く語られていくが、これは同僚にノーベル賞受賞経済学者のシラー教授が存在し親しく交流されていることでインスパイアされている部分も多いとエピソードから感じさせられる。
P53
>”この進化のメカニズムは最新のファッションによく似ている。(中略)フィッシャーの配偶者選択モデルは、おしゃれだが足が痛くなる靴や露出度が高くて寒さから身を守ることができない服のような、機能的な利点が何もないばかりか、誇示するものにとって不利になるかもしれない形質の進化をもたらす。フィッシャーのモデルでは、動物たちは進化のファッションの奴隷で、「意味のない」度を越した恣意的な誇示形質と好みを進化させている。そうした誇示形質や好みは、知覚できる資質のほかには何も担ってはいないのだ。”
私的には最近に感じられる、1990,1992のメラーによる論文で、体の��称性は個体の遺伝子資質を表し、左右対称の誇示形質は遺伝的資質の高い配偶者を好む適応的配偶者選択を通じて進化する、と提唱された。当時、超人気説だったが、今は多くのデータを使ったメタアナリシスによって、対称性の指標説は雲散霧消した。が、いまだに巷でこの学説がまことしやかに語られていたりするのを、聞くことがあるのだが、本書の中でも”くり返し反証されているのにもかかわらず、あまりにも魅力的なので、消滅せずに生き続けるゾンビのような説”になってしまっている、と書かれている。言い得て妙で、思わず上手いと合いの手を入れて読んだ。
P164
>”ダーウィンとミレイが理解していたように、性選択によって性的成功が決まる場合、生命体にとって生存は唯一の最優先事項ではないのだ。生存や繁殖力を犠牲にしても性的魅力が勝る場合、つまり、性選択が自然選択とのトレードオフで優位に立つ場合は、その結果として退廃に向かう進化が起こり、生物と生息環境の適応的適合が低下することがお多い。(中略)適応上の制約から免れることで進化的退廃に陥る恐れはあるが、美のイノベーションが促され、鳥類に豊かな美をもたらす創造性が発揮される。”
そんな感じで、もうトップスピードでザックザック読んでいく。さらに引用したい箇所や言及したいことも多いが、ここらへんでラップアプしようと思う。
鳥類の話は、『かもさんおとおり』”Make Way For Ducklings" by Robert MeCloskeyの話から、カモのメイティングについての話になり、水禽、特に畝や歯のような構造を備えた螺旋状の生殖器をもつカモの爆発的に勃起する器官についての説明と考察。その流れで、後半は類人猿、人間と霊長類の性についての文献と、考察。
話はどんどんと大きくなっていく。
鳥屋だけでなく、全てのヒト向き。
参考youtube
本書に出てこないマナキン種もメモしておく。
セイラン、カオソック国立公園
https://youtu.be/FNi1_6j21_0
キガタヒメマイコドリ
https://youtu.be/HCmHDYR2QgY
ムナジロマイコドリ
https://youtu.be/d6gY63UKPYc
エンビセアオマイコドリ
https://youtu.be/1zxJPQlFFTI
オナガセアオマイコドリ
https://youtu.be/-V4iJOakhGk
10年ぐらいバックダンサーの経験を積まないと
プリンシパル(交尾できるアルファ)になれないらしい、、
そして、単独で踊ってもメスは来ない。
すごいな、、
ハリオマイコドリ
https://youtu.be/TcbZvnqKb7Y
キモモマイコドリ
https://youtu.be/ySg9N7f6iww
Explosive eversion and functional morphology of the duck penis supports sexual conflict in waterfowl genitalia (Brennan et al. 2010)
Animalia genitalia : Patty Brennan
https://youtu.be/lNJ5tibNKyg
The Explosive Sex Life of the Duck
https://youtu.be/l0EbkDNKN-E
2:30からBennan博士の高速度ビデオフッテージ
The CornellLab of Ornithology
Macaulay Library
https://www.macaulaylibrary.org/
アオアズマヤドリ
https://youtu.be/ihcHLbgaWbg
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面白かった‼️鳥も霊長類も結局は、個人の好みで相手を選ぶ。文化によっては、美の考え方が違う。なぜ、ヒトの女は授乳期で無くても乳房が隠れていないのか、男の性器は体の外にぶら下がっているのか?同性愛行動の意味は?(p386L3〜)