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筆者は口車で読者をやる気にさせるのがとても上手い笑
1〜8章で経済学の基本的な所を抑え、9章で筆者独自の主張(縮退とコラプサー化、呼吸口)を展開するという構成になっている。
歴史を踏まえながら経済について分かりやすく解説してくれるので、歴史を知らない私には1粒で2度美味しい的な本だった。
各章の最後に要約があるので、先に要約を読んでから章の内容を読むと頭に入りやすかった。
図書館で借りて読んだけど、買って本棚に置いときたいかも
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ビット・コインの採掘量はあらかじめ決められているというのは、知っていた。目的も手段もわからなかったが、本書を読んでなんのためにそうした取り決めがあるのかが理解できた。
著者はむずかしいことをわかりやすい喩えと図で説明する。そのセンスがずば抜けている。最終章では、閉塞感に満ちた現代社会が囲碁を使って説明される。すばらしい。
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今まで経済についての本を多少なりとも読んできたが、この本が1番わかりやすい。
経済を学ぶ上で最初に出会いたかった一冊。
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物理学者による経済学の基礎部分の解説書。理系な視点から経済学を捉えるという試みが新鮮で面白かった。
冷静な分析かつロジカルな構成で理解しやすく、経済学の入門書としても使えると感じた。ただし若干乱暴な主張や議論が必要な論もあり、そこは注意が必要かと思う。(裏を返せば読み手に違和感を抱かせて議論に巻き込むという点でも有益な一冊だとも言える)
個人的には第5章のケインズ経済学と古典主義の攻防、最終章の縮退理論が読み応えがあって面白かった。
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【感想】
経済学を苦手とする人は少なくない。その理由は、大学で学ぶ「経済学」と社会の中の「実体経済」が往々にして乖離しているせいだと思っている。
大学で学ぶ経済学は、まず「経済の成り立ち」から勉強していく。需要量と供給量と価格、貯蓄=投資、GDPと経済成長率の関係、国際収支と為替レートなど多岐に渡るが、単体の項目だけなら基礎的で単純な内容が多い。しかし、実体経済はこれらが全て組み合わさった複雑な層になっており、個々の事象が全体に通じていることを直感的に理解しにくい。さらに厄介なのは、モデル式は理論上正確だが実態上正しいとは限らないことにある。こうした矛盾を孕んでいても「成り立ってしまう」のが実経済であり、それが分かりづらさを生んでいるのは間違いないだろう。
本書は、そうした曖昧な「経済学」に対して、「なぜ資本主義は暴走していくのか」という一本線を引き、この軸に沿って経済学をカテゴリごとに学びなおすことを目的としている。大学のテキストのような総ざらいの学習ではなく、「資本主義の問題点」に強くフォーカスを当て、本で述べる知識と実体経済の成り立ちが乖離しすぎないよう、丁寧に現代社会の特徴を説明していく。
特に複雑な数式は含まれておらず、思考実験や図解を用いて直感的に理解しやすい本を目指しているため、これから学び始める人の入門書としてとてもオススメだと思う。同時に、物理学や生態学からのアナロジーで得た「縮退」「呼吸口」という概念を使って、今後の資本主義に必要な要素を経済学外に求めていくため、経済学に理解がある人にとっても新たに学ぶことのできる本となっている。とても贅沢な一冊だった。
――――――――――――――――――――――――――――――
本書で私が「なるほどなあ」と思ったのは、現代経済と中世ヨーロッパ・イスラム文明の経済を歴史的に比較している部分だ。
中世ヨーロッパでは教会が商業を危険視していたため、民衆に「金は悪だ」と説くことで教会への寄進を促し、集められた金を教会の地下にしまいこんでいた。(結果的にはその金の誘惑に聖職者が負けてしまったのだが)また、イスラムでも同様に富の集中を悪としていたが、貧しいものへの喜捨という形で市場に流させていた。
2つのうち、原則として金利を禁じていたイスラム文明では、民衆の間に発生していた余剰資金が無闇に貯響に回らないよう、「喜捨」という形で撤退路を与えていた。ところがそれは、ケインズ的観点から見ても結果的に、興味深い機能を果たしていた。
一般にぎりぎりの生活をしている低所得者有層は収入を貯蓄に回す余裕がなく、それらを右から左に生活必需品の消費に使わねばならない。つまり所得の大半が消費に回っており、経済学の用語で言えば「消費性向が高い」ことになる。一方逆に、使い切れないほどの金を稼いでいる高所得者層は所得が消費に回りにくく「消費性向が低い」。つまり社会全体の富の「重心」が高所得者層の中にあるほど、富の大半が貯蓄に回りやすく、経済全体で消費性向が低くなりがちだということである。そして「貯蓄が有効需要を細らせる」という原則に従えば、これは有効需要の不足となって現れる。そしてイスラム経済の場合、この「喜捨」という行為が、実は社会の富の重心を消費性向の低い層から高い層ヘシフトさせ、結果的に有効需要を安定したレベルに維持するという、意外な役割を果たしていたと考えることもできる。要は、金持ちの財産を貧困層に分配する制度が、「教義」という形で内包されていたのである。
こうして見ると、「経済」は(変動為替相場制以降の高速経済だけでなく)古くから存在していたということをはっきりと認識できる。しかも、ある程度現代資本主義との共通点がありながら、解決方法を全く別とするユニークな制度である。こうした歴史的な要素を世界史の上から見つめ直すことができるのも、本書の面白い点だった。
――――――――――――――――――――――――――――――
【まとめ】
1 暴走する資本主義
資本主義にはその速度をどんどん速くしていかなければいけないという強烈な圧力が、宿命として根本部分に組み込まれている。経済活動の5分の1(貯蓄率)が、経済を加速度的に早めるための設備投資に向けられている。
貯蓄という行為は、本質的に経済社会に貧血か超高血圧かの二者択一を強いる。企業は人々の銀行貯蓄をもとに設備投資を行うが、そのスピードを緩めるわけにはいかない。消費と投資を連続的に続けていくと、経済の速度計の針が際限なく上がっていく。
現代社会が資本主義をもはや手放せなくなっている理由は、ほぼ次の3点に要約できる。すなわち
・軍事力維持の基盤としての資本主義(旧英国型)
・人々に未来の夢を与えるための資本主義(米国型)
・資本主義から身を守るための資本主義(日本型)の三つであり、これから何らかの新しい経済体制を設計しようと思った場合、必ずこの3点すべてについてクリアできることを何らかの形で保証できねばならない。
2 農業経済
一般に文明においては、産業は農業から工業へ、工業から商業へ移行していく。その最大の理由は、産業としての機動力の差だ。農業は需要が伸びにくく、供給もやや遅いスピードでしか展開しない。それが弾力性のある工業に負ける要因であった。
3 インフレとデフレ
一般に好景気の状態はインフレを発生させやすい。そして社会全体を眺めると、インフレ状態のもとでは社会にサンドイッチ状の損得が生じ、資産家階層と労働者階層が損をする一方、企業家階層が得をする傾向にある。そのためインフレの功罪は、視点をどの立場に置いて眺めるかで異なってくる。
最気を良くするためには、政策当局は故意にある程度のインフレを期待することがある。ただしその際には大勢の民衆の生活が犠牲になっており、もしそちらへの対応を優先してインフレを防止しようと思った場合には、金利を上げるのが有効なコントロール策だ。これがいわゆる「金融引き締め策」である。
4 貿易
近代になると貿易の世界、というより経済世界全体が「商業」から「産業」の世界へ移行した。中継貿易で生きるオランダやイスラムなどの存在を駆逐し、英国をはじめとする、国内の生産品を官民一体となって強引に売り込む産業国家を貿易の主役とした。
貿易が生み出す利益は、当初は中継貿易勢力が吸い取っていたが、そのような「産業化」に伴って、利益が関税という形で国家政府の金庫に流れ込むことになった。そしてさらに自由貿易の登場によって流入先を変え、その利益は個々の企業にコスト低下という形で広く分散されている。
現代の世界では、コンピューター・ネットワークの発達によるグローバル化によって貿易の常識がかわりつつあるが、自由貿易と保護主義との本当の適正点はまだわかっていない。
5 ケインズ経済学
経済というものは、石油ポンプが自分の汲み上げた燃料で動いているようなもので、何らかの形でひとたび縮小均衡の状態に陥ってしまった場合、外から一度バケツで資金を注ぎ込んでやらないと、自力では拡大が難しい。
そのため、「バケツの役割は、政府の公共事業が果たすのがよい」というのがケインズの考えである。失業救済に対しても経済全体を拡大させることで行うべきというアイデアだ。そのようにバケツで注ぎ込まれた資金は「乗数効果」によって、当初資金の何倍もの最終的効果を伴って経済拡大に寄与する。
ただしケインズプログラムの一般的な欠陥は、公共投資を行うため「大きな政府」を要求する上、その財源としてしばしば国債発行という手段に頼るため、財政赤字とインフレの温床になりやすいことである。
6 貨幣増殖
貨幣の増殖は、銀行などが預かった貨幣をどこかへ「又貸し」した時、又貸しした貨幣と預金者の手元へ渡した「預かり証(預金通帳)」が二重に市中に出回ることで起こる。現代世界では、預金通帳の数字自体が後者に相当して実質的な「虚」の貨幣となっている。
企業も銀行も現金をなるたけ短い間しか自分の手元に置いておきたくないので、それは多数の企業と銀行の間をたらい回しのようにされて、何重にも預金と貸出が繰り返されてしまう。そのため磁石が延々と子孫を作っていくのと同じようにして、オリジナルの何倍もの貨幣が生まれることになる。
その際に増殖の限界を定めているのは「準備率」というもので、銀行が預金全部を貸し出せずに、利用者の引き出し要求に答えるべくある程度を予備として手元に置いておかねばならないことが、無限の増殖に制限を加えている。こうした増殖メカニズムは、一見不健全な制度に見えるが、実は経済社会が好景気などによって拡大したがっている際には、どうしても要求されるものである。逆に言えば、このメカニズムと縁を切るには、経済が全く成長しない絶対的な定常社会でない限りは無理である。
7 国際通貨としてのドル
国際通貨としてのドルの問題の本質は、世界政府も中央銀行も存在しない国際社会に、全員が使える共通通貨が存在してほしいという要求を、しかも成長の宿命を抱えた経済の中で実現しようとしたことにある。つまり前者の部分では、その通貨が誰かの恣意で増やしたりできないという厳格な硬直性が要求されるが、後者の部分ではその通貨が世界全体の経済成長に合わせて量を増やせるよう、ある程度の柔軟性が要求される。つまり「急速には絶対に増やせないが、長期的にはゆっくりと増やすことができる」という、完全に矛盾した要求を課されてしまうことであった。
ドルの場合、本来は米国の国内通貨として整えられたものだったが、周辺諸国は第三国同士の国際貿易でもその支払いにドルを使いたがり、そのため前者が要求するサイズと後者が要求するサイズが矛盾を来たしてしまった。
それでも当初は米国経済の規模が圧倒的に大きかったので、その余裕の分を周辺諸国が利用するという形で何とか継持されていた。しかし周辺諸国が自分も経済成長して、その図体が米国を脅かすほどに大きくなると、それを支え切れなくなってしまった。
当初ドル体制は、金との交換を決まったレートで約束する、実質的な国際的金本位制だったが、そういう事情で支えきれなくなって、その約束を放棄する変動相場制に移行せざるを得なくなった。
8 資本主義の未来
現在の資本主義は縮退という繁栄に向かっている。縮退とは、大小様々な企業が相互作用によって絶妙なバランスの上で生態系を保っていたのに対し、資金の流れなどが超巨大企業と巨大投資家の二者の間だけで回るようになり、末端が生態系に無視される形で衰退していくことだ。
縮退の際は、劣化が起こっているにもかかわらずその過程で富が生まれてくる。
現代社会の富は、単に巨大企業が活発化しているというより、昔の時代からの伝統や習慣で長期的に整っていた社会生活のシステムが、壊れて縮退する過程でしばしば生まれており、むしろ後者がメインとなって富が引き出されている。
現代の資本主義社会では、「大勢の短期的願望(部分)を集めて行けば、長期的願望(全体)に一致する」という勘違いをしてきた。それゆえ、量的変化の増大が質的変化を生み、企業が人々の願望にどんどん短期的に応えることで、経済が加速し続けてきたのだ。
そして、縮退は放っておいても元に戻らない。行きつく先は、短期的願望の塊がすべての長期的願望を押し潰して、恒久的に抜けられなくなる「コラプサー化」だ。
とすれば、寡占へ対抗するために「多様性」を積極的に推進することが有効だ、と思うかもしれないが、そう単純ではない。もし個体が細かい多様性を過剰に主張しはじめると、逆にグループや種としての特性が履曖昧化・希薄化してかえってその多様性の力が弱まり、結果的に短期的願望の巨大な塊をベースに成り立つ単一勢力が勝利することで世界全体が画一化する、というパラドックスが起きるからだ。これは悪い多様化の典型例であり、多様化というのは本来「それを行っても縮退度がさほど増大しない」という局面でのみ許されることだ。
いままでの経済学を一種の力学として眺めた場合、その根本原理とは要するに「われわれの経済社会は、欲望を満足させて利益を極大化させようとするただ一つの力で動いている」ということである。つまりもし経済社会の中に存在する唯一の力がそれで、その力が縮退方向にしか働かないのだとすれば、進行はとまらない。なにか別の力を見つけてこない限りは、回復は望めない。
その力とは短期的な欲望ではなく、「想像力・可能性による幸福」である。即物的な欲望の穴埋めによって希望がまたたく間に塗りつぶされるような息苦しい状況ではなく、空白が生まれる余地を残し、「大きな物語」の実現に向けて呼吸口を残しておける社会が必��になってくる。
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発行日:2020/5/1
購入日:2021/10/26
読了日:2021/12/28
ゆる言語学ラジオ
「ギガが減る」を許せない頑固おじさんの会心
【今年の新語予想】#67
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で紹介されていたためKindleで購入
すばらしい構成
長沼伸一郎
1961年東京生まれ。1983年早稲田大学理工学部応用物理学科(数理物理)卒業、1985年同大学院中退。1987年、『物理数学の直観的方法』の出版により、理系世界に一躍名を知られる。「パスファインダー物理学チーム」(http://pathfind.motion.ne.jp/)代表。
目次
はじめに
第1章
資本主義はなぜ止まれないのか
1 資本主義の中の中枢部を解剖する
止まれない資本主義
資本主義の成長スピード
軍事史と鉄道
「経済社会の鉄道網」
中世世界と貯蓄
2 「経済社会の鉄道網」と
資本主義の恐ろしく不安定なメカニズム
貯蓄の持つ二つの意味
金貨の循環がもし目で見えたら
貯蓄で社会が貧しくなる
パン屋の事業拡大
いかに貯金は還流されるか
常軌を逸したサイクル
意外な一致
政策当局の目から見ると
マクロ経済学の最重要ポイント
3 文明社会はいかにしてそれを選択してきたのか
金利が容認されるに至った文化的背景
ウェーバーの伝えるカルヴィニズムの真実
切断された相互扶助の糸
資本主義の必要性の「3要素」
反対側から見た光景=イスラム世界と金融
現代イスラムの「無利子銀行」
資本主義は最終的な勝者か
第2章 農業経済はなぜ敗退するのか
ペティ・クラークの法則
徳川政権の経済問題
農業と機動性
徳川政権のジレンマ
現代の原料産出国の悲惨
産油国の反撃
商工業国側の苦労
需要拡大の歴史
石炭文明から石油文明へ
石油文明から半導体文明へ
第3章 インフレとデフレのメカニズム
ドイツの天文学的インフレ
インフレ状態の図式化
循環作用の中のインフレ
サーキットのボトルネック
フィリップス曲線
インフレのメカニズムの整理
「貨幣の中立性」という考え方
インフレで誰が得をするか
デフレはインフレより恐ろしい
戦後日本のサバイバル
政府当局のインフレへの対応策
第4章 貿易はなぜ拡大するのか
1 貿易のメカニズム
貿易を行う理由
貿易の生み出す巨大な利益
貿易の力学
利益の取り分の国家への移行
自由貿易体制の登場
2 貿易の歴史
没落してしまった「商業民族」
オランダの場合――繁栄を支えたバルト海の穀���輸送ルート
英国の場合①――毛織物、毛織物、毛織物
英国の場合②――自由貿易論の登場
米国の場合――南北戦争の舞台裏
日本の場合①――近代化の生命線だった「絹の道」
第二次世界大戦とブロック経済への移行
日本の場合②――重工業への移行
「中世自由貿易圏」としてのイスラム世界
グローバリゼーションの波と新興国の台頭
世界経済全体の効率化か国内の安定か
第5章 ケインズ経済学とは何だったのか
ファラオの名誉回復
奇妙な石油ポンプ
ケインズ的な経済観
金貨と銀貨の経済効果
乗数効果のメカニズム
大恐慌下でのケインズの挑戦
新旧学派の言い分
中世には貯蓄の問題はどうだったのか
ケインズ経済学の泣き所
ケインズ政策の暴走と新古典派の台頭
英国におけるケインズ経済学の特殊事情
経済学の勝者を決める「同盟ゲーム」
経済学の系譜
第6章 貨幣はなぜ増殖するのか
増殖してきた貨幣
イングランドの紙幣とモンゴルの紙幣
磁化される貨幣
磁化はどこまで続くか
増殖してしまった金細工師のお金
現代の銀行での貨幣増殖
貨幣はこのように増殖する
増殖メカニズムの定量面
「通貨供給量」の定義
なぜ社会は貨幣の増殖を容認したのか
金本位制度の弱点
貨幣の世界の「虚と実」の変遷
仮想通貨は「虚」か「実」か
第7章 ドルはなぜ国際経済に君臨したのか
1 ドルから見た国際通貨
国際経済に君臨するドル
ドルの奇妙な変貌
ジレンマに陥ったドル
解決し難いジレンマ
国際通貨の困難の根源
ドル以外の選択肢なし――「モンゴル型」への変貌
円の基軸通貨への道は遠かった
現代の経済世界で貨幣価値を保証する後ろ楯は何か
2 過去の国際通貨はどうだったか
イスラム貨幣はどうだったか
ポンドの場合
英国以外の紙幣の進化
金本位への奇妙な愛情
一見魅力的な国際収支回復のメカニズム
金本位制の意外な落とし穴
現代世界では舞台から消えた「グレシャムの法則」
第8章 仮想通貨とブロックチェーン
電子の世界の金本位制
どうやって電子の世界に「増えない量」を作り上げるか
ブロックチェーンの「超大型機」と「中・小型機」
中・小型機タイプのブロックチェーン
台帳ファイルを細かく分けてタグをつける
改竄をどうやって防ぐか
「入力を1だけ変えると結果が大きく変わる」例
「ハッシュ関数」とはどんなものか
ブロックチェーン化という改良
ブロックチェーン化で改竄は格段に難しくな��
何冊の台帳を同時に改竄しなければならないか
ハッシュ関数の性質
中・小型機タイプでは膨大な計算は必要ない
超大型機タイプのブロックチェーンのシステム
「ナンス」の組み込み方
「マイナー」は何を動機に面倒なことをするのか
ビットコインはマイナーが少しづつ流し込んできた
ビットコインの「半減期」
ビットコインと金本位制
過去の議論との奇妙な共通性
ビットコインの歴史的存在意義
他の仮想通貨について
現時点での仮想通貨の構図
第9章 資本主義の将来はどこへ向かうのか
1 「縮退」という大問題
「縮退」という考え方
縮退のメカニズム
メカニズムの本質
劣化状態から抜けられない事例
縮退の過程で金銭的な富が生まれる
人間の長期的願望は短期的願望に縮退する
縮退は放っておいても元へ戻らない
謝った「多様化」はかえって縮退を加速する
「ごみ」という概念自体が縮退によって生まれる
世界はどう縮退して富を絞り出しているか
実体経済と乖離する世界
変化した経済の常識
2 われわれはどうしてこんなに
大きな誤解をしてきたのか
大きな勘違いを導いたもの
天体力学が作り出した巨大な錯覚
人間の短期的願望と縮退の行き着く果て
政体循環論と縮退
「コラプサー」と「縮退」の語源
過去にローマで何が起こったか
西欧地中海世界はどうコラプサーから内服したか
中国の場合
もう一つの力が存在しなければコラプサー化は止められない
3 経済世界に縮退を止められる力は存在するか
オルテガのヒント
その隠れた力の経済への意外な影響力
現代の閉塞感の根源
碁石をヒントにした基本原理
資本主義社会の人間の精神状態はどう表現されるか
ジョイントは基本的にまず上下方向に発生する
呼吸口の数え方
経済社会を動かすもう一つの力
縮退を止めるための力学
縮退を止めやすいパターン
一国主義や地域主義の意味
将来の経済学
おわりに
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良書。ビットコインのくだりは取ってつけたような印象だがそれまでの章は歴史的背景も踏まえて貨幣経済の成り立ちから核兵器の存在意義まで初めての人にもわかりやすく書かれていた。オーディオブックから入ったが、大変図が多いため更なる理解を深めるため愛読書として書籍を購入することにした。
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経済学素人でも経済学の概要を掴める本。素人なので本当に合ってるかは分からないけれども。
マクロ経済とブロックチェーンのイメージが掴める。
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「ビジネス書大賞2020 特別賞(知的アドベンチャー部門)受賞」とのことで以前から気になっていた本書
これ一冊を読めば経済の大まかなあらすじがわかることを掲げ、経済がわからないが読書レベルが高い人、今まで経済の本で何度も挫折した人、そういう人向けであるとのこと
また初心者向け過ぎず、専門的過ぎず、中間レベルの本であること、また各テーマやエピソードなどを交え読みやすい…などそそられる文句が「はじめに」にずら~っと並んでおり、まんまと引っかかったというわけである
金融機関での勤務経験があるものの、経済全体への理解が足りず、勉強したい気持ちはあるが、専門書を読むと眠くなる…
著者がいうように近頃の経済の本といえば「株で儲ける」とか「仮想通貨について」なーんていう投資ならぬ投機目的の本が多く、うーん違うんだけど…と思っていたところである
さらに著者の言う通り入門書の類は多いが、その次のレベルになると専門的過ぎる
個人的に何かに特化した専門的知識が必要なわけではなく、今の知識をもう少し掘り下げたてみたいという目的があったため、まさにビンゴの本なのだ!
さて内容は…
読み物として楽しめる工夫があり、読みやすい!
兎にも角にも、とことんわかりやすさを追求し、ロジックもしっかりしている
だからといって(よくありがちな)やたら絵と図解ばかり…といった幼稚さはない
世界の金融経済の歴史を通じて経済を知ることができるのだが、やはり歴史を知らないことには始まらない!と納得
歴史をベースにあらゆる物事は展開するのである
(余談だが、歴史を知ることはあらゆる物事の基本だとしみじみ感じるこの頃…)
とは言うもののところどころ完全に理解できない部分もあり、また一部納得がいかない箇所もあったが、総じて良書である(経済の本は総じて面白みに欠けるものが多いのはなぜだろう…)
★資本主義については思うところが多々あるがこちらは他の書で語りたい
※気になる方はぜひAmazonの試し読みをご参照ください
結構な量を試し読みできます!
ちなみに著者は以下のように紹介がある
かなり物理学に強いマニアックで凄い方のようだ
〜早稲田大学理工学部応用物理学科(数理物理)卒業後、同大学理工学部大学院中退。1987年、自費出版『物理数学の直観的方法』(通商産業研究社)の出版によって、理系世界に一躍名を知られる。その後も組織には属さず仲間と一緒に研究生活を送っている〜
-------以下は個人的備忘録のためまったく面白くなく超長いです(すみません)-------
【第1章 資本主義はなぜ止まらないのか】
■大多数の企業が大量の資金を銀行から借り、そこには「金利」が発生する
その「利子」返済により、企業は借りた資金以上に売上を増やさなければならない
この循環が止められない資本主義の流れ
■中世と現代の経済社会の違いとして、中世では市場にダブついたお金は…
・カトリック:教会へ
・イスラム:貧困層へ
これにより資本主義の成長を意識的に抑制していた
■投資と貯蓄は一致する
国民所得=消費+投資
これがマクロ経済の中枢
■資本主義の必要性の「3要素」
①軍事力の基盤を確保するための資本主義
②アメリカンドリームの舞台としての資本主義
③他国の資本主義から自国を守るための資本主義
(日本の資本主義の本質は③になる)
【第2章 農業経済はなぜ敗退するのか】
■農業経済が脆弱な理由→産業としての機動力の差
・農業:需給バランスのコントロールがしづらい
例)食糧不足になった時に故意に供給を減らして、儲けるのは生存に関わるものだけに難しい
・商工業:迅速に攻め口を転換できる
※農業経済が脆弱な理由は少々弱いか…もう少し掘り下げる必要あり
【第3章 インフレとデフレのメカニズム】
■インフレのメカニズム
①紙幣の発行量がふえてしまうことによるもの
例)第一次世界大戦直後のドイツ
②品物の供給量が突然減ってしまうことによるもの
例)1970年代の石油ショック
③好景気に伴ってどこかに供給のボトルネックが発生し、それが社会全体に波及するもの
例)需給バランスの崩れなど→好景気に起こりやすい
・長期的に見ればインフレは実態経済に何も影響がない
・短期的にタイムラグ(機動性の差)により以下となる
資産家階層(機動性鈍い)→損をする
企業家階層(機動性高い)→得をする
労働者階層(機動性鈍い)→損をする
■デフレ…インフレより社会全体に悪影響
消費者買い控え→モノが売れず企業が値下げ→従業員の賃金カット
経済の悪循環、社会全体が貧しくなる
※長い目で見るとある程度のインフレの方が社会全体に良い影響をもたらす
【第4章 貿易はなぜ拡大するのか】
貿易の歴史
■オランダ
オランダが最も反映した時期において、東インド会社が出していた利益は、オランダ全体の貿易の利益の2%程度
バルト海からの穀物貿易が利益の主流
ただし競争相手がいない独占状態のため潤ったに過ぎない
英国との制海権争奪に破れ転落
■英国
国内で生産した「毛織物」を輸出し貿易の王者に(右から左に物を動かす「商業」から「産業」をベースに貿易が転換する)
19世紀自由貿易と産業革命により量産された綿製品がインド国内へ
たちまちインドの繊維産業が壊滅、インド経済の大打撃
■米国
南北戦争の真の原因:南部の自由貿易主義的な主張を、保護主義を要求する北部の工業経済が排除しようとしたことにある
北部:工場を経済基盤にし、自立したい(イギリスに対抗)→保護主義の導入が不可欠
南部:奴隷を使った農業経済のため競争力が強い→自由貿易を指向
貿易体制を一方にするため、北部が圧倒的な国力差をもって、南部の試みを粉砕した
■日本
鎖国後…生糸が日本の最重要輸出品目(富岡製糸場等で生産)
第二次世界大戦後…重工業(自動車など)へ
■イスラム世界
最初から自由貿易以外の体制が成立し��ない…メッカへの巡礼(国境線で商業を管理しきれない)
メッカに急速に自由経済が流れ込んできて、道徳的退廃が蔓延し、その対策として宗教が導入された
競争力を激化させる「産業」とは結び付かなかったため(あくまで商業にとどまる)、凶暴な経済展開に発展せずにすんだ
※宗教と自由貿易の関係は要確認
■現状~将来
コンピューター・ネットワークの発達によるグローバル化によって、自由貿易と保護貿易との本当の適正点がわからなくなっているため、
模索していくことが必要
【第5章 ケインズ経済とは何だったのか】
■経済が縮小均衡の状態と陥ったとき→政府の公共事業により資金を注ぎ込んでやるのがよい
一時資金より相乗効果があり、最初の何倍もの経済効果に付与する
■欠点 増税しない限り財源は国債発行となり、財政赤字とインフレの温床になりやすい
こうしてみるとケインズはの理論は普遍的ではなく、19世紀の「世界の工場」として繁栄のピークであった英国限定モノを作ろうとしたのでは…
当時英国は世界のトップであり健全経営のため、借金の必要もなく、海外投資してもめぐりにめぐって自国へ戻ってきた
しかし米国の工業力が追いつくと、自己資金が自国へ戻らなくなり英国が衰退しだす→その対策として有効であった
また多くの社会階層を成す英国投資家が、英国内の企業よりも自分の私利私欲を優先し、政界にも大きな影響を与えるほど力を持ち、問題視されていた→ケインズ理論が役立つ
ケインズ経済政策はインフラを引き起こす
企業家階層、労働者階層→お得
投資家階層→損をする
大量の失業者を救うとともに、力を持った投資家階層を解体できる
英国経済にとってはプラスになる
■経済学の勝者を決める3つの層
①投資家層
②企業家層・生産者層
③労働者層・消費者層
この3つの層の中で二者がくっつく一種の同盟関係が成立していて、その2対1の構図がしばしば一種の外交ゲームのように状況を支配していた
例a)①②vs③
・19世紀
資本主義vsマルクス主義と言う二大理論の形の対立構造
例b)①vs②③
・20世紀中頃〜70年代
ケインズ主義
投資家層と起業家層との間の関係がほころびはじめ、生産者層が労働者層と手を組んで投資家層から主導権をもぎ取ると言う形式
例c)①③vs②
・1980年代〜
レーガン・サッチャー主義
この時期は投資家層が反撃を始め、消費者層を誘って新たな同盟関係を作り上げ、生産者層から主導権を脱会することを狙ってきた
【第6章 貨幣はなぜ増殖するのか】
ネットワークの発達により仮想通貨など新形態の貨幣が登場し、勝手に増殖しているような錯覚を起こすが、そうではない
自己増殖のメカニズム自体は遥か古くから存在する
イングランドの紙幣とモンゴルの紙幣
■モンゴルの紙幣
・国家の意志で整備された行政機構の力によって流通
■イングランドの紙幣
・市中の個人事業者が無許可で発行したもの
(1694年当時の金細工師たちの厳重な金庫に市民たちが自分たちの金を預け、その預かり証から始まった)
■貨幣増殖とは…
銀行などが預かったものをどこかへ「又貸し」した時、貸し出したものと通帳の数字が二重に市中に出回ることで起こる
↑この増殖がいわゆるマネーストック(以前のマネーサプライの呼び名と同等)
すなわち「通貨供給量」が増えたというのは造幣局が紙幣を増刷したからではなく、銀行が貸出量を増やし、
それに比例して預金通帳の数字という形で「虚の貨幣」が増殖したことを意味する
■仮想通貨は「虚」ではなく「実」
「又貸し」で増えるお金ではない(逆にむやみに発行できない仕組み)
またキャッシュレス化も単に「実」のお金が「電子化」しているに過ぎない
【第7章 ドルはなぜ国際経済に君臨したのか】
■もともとはドルが金との引換え証だったからだが、
ドルが米国という強い国の通貨だったことは二義的な問題だった
■基軸通貨とされるドルだが、単に米国が使っているドルが、貿易のための通貨としても使えるに過ぎない
ましてや最初から米国が他国にあらかじめドルを配ったわけもないので、各国は自力でドルを稼がなくてなならない
→米国の貿易赤字をもたらすことに(ある国の国内通貨を同時に国際通貨として使うという二重性は無理が生じる)
金に裏打ちされる固定相場制→変動相場制へ
■経済力だけでは基軸通貨になれない
米国の保有する各兵器が後ろ盾となりドルの価値を保証していた←?
※理解が微妙な項目
【第8章 仮想通貨とブロックチェーン】
■ビットコインとは「電子の世界の金本位制」
「金本位制」の特徴:①人が勝手に増やすことができない ②人から人へ渡って誰でも自由に使える
■どうやって電子の世界で「増えない量」と作り上げるか
「誰がいくらそれを支払い」「誰がそれを受け取ったか」この情報を台帳なるもので徹底管理
ただし、これを「誰もが必要に応じて見ることができ」「誰も改ざんすることができないようにする」
→この仕組みが「ブロックチェーン」
■ブロックチェーンのメカニズム
ブロックと呼ばれるデータの単位を生成し、時系列に沿ってチェーンのようにつないでいくことによりデータベースとなる
各ブロックは、連結されたブロックの一つ前の「ハッシュ値」(ハッシュ関数により計算された値)を持っており、それをさかのぼることで、つながりを辿ることができる
(この詳しいメカニズムは本書にあり、文系の人間でも理解できるよう説明がある)
■ブロックチェーンを作った人間(マイナーと呼ばれる)への報酬がビットコイン
これでビットコイン全体の総量(発行高)が公正な形で少しずつ増える仕組み
マイナーの選出方法はゲームやレースで1位になった者
※ちなみにこの「マイナー」は採掘者、鉱夫を現わす 金本位制度を彷彿させる
■発行高を定められた量に安定させる仕組み
マイナーに支払われる報酬額で調整(発行高が一定になると報酬が半分に減る仕組み)
■弱点
金本���制度同様に必要に応じて適切な量に増やしたり減らしたりできない
(現在の通貨のようには誰もコントロールできない)
そのため金本位制度の限界=ビットコインの限界になるのでは…
■ビットコイン以外の仮想通貨
基本的にはその価値をドルや円などの通貨に依存する形
運営母体がそれとの交換を保証する
商品券の拡大版というイメージ
最高にためになった!
仮想通貨(暗号通貨)の根本が理解できたかも
仮想通貨と一言でいってもビットコインタイプとその他は全く違うものだ
【第9章 資本主義の将来はどこへ向かうのか】
縮退が進行して希少性の低い状態に移行する過程で、富が生まれる
→大企業が中小企業を絶滅させてその縄張りを吸収することで巨額の富を得る
社会を縮小させるとその過程で富を引き出すことができる
→核家族化 家電の必要数が増えるなど
願望の短期化により富が生まれる
→強引にスピードを持って欲求を満たす
どうすれば良いか…
◎縮退を止める道具として「大きな物語」が重要(宗教、愛国心、郷土愛、歴史物語、文明進歩など)
◎ある程度の幅で縮退や自由を許容する社会のほうがむしろ望ましい
※この章は理由あって諸々省略
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2022/03/04 読了
重厚長大、けど分かりやすい文章、本当に素晴らしい。
みんなが言うけど、ブロックチェーンの解説が本当に分かりやすく頭に入った(覚えているとは言ってない)
図書館で借りたけど、いつかKindleに入れたい。100回くらい読む価値ある。
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大変理論的かつ理解し易い展開で、ざっと読むとなんとなく経済学が分かったように思える。
じっくり読むと更に理解が深まると思う。
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理系文系問わず、まず読んでほしい。現代の経済の状況を「お金持ちの話」と遠くからみていた自分としてはかなりわかりやす。なぜ、今の状況になったのかが歴史的な事実を踏まえて解説されており、アナロジーの巧みさがすごい。
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ここ何年かで一番「読んでよかった」と思う本。
感動を通り越してもはや感謝。
もう、ずっと面白かった。
経済に興味がある人も、興味がない人もオススメ。
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骨太の経済学の根源解説本です。
理系畑(物理ご専門)の著者が経済に疎い理系読者を念頭に原理原則をつまびらかにしてくれている、そんな印象です。
第1章:資本主義はなぜ止まれないのか
所得=消費+投資(銀行などの貯蓄が設備投資などへ流用)の公式が鉄道のメタファーで視覚的に想像することができた。
利息(貯蓄)の正当性は、カルヴィニズム、予定説による徹底的な禁欲生活、つまりは稼いだ分を消費に回さず貯蓄する、その貯蓄額こそが天国へ行けるという証なのだという論理が発端となっている。
第2章:農業経済はなぜ敗退するのか
まとめると、農業経済は機動性が不足している。一定した需要と漸増する供給の最悪の組み合わせにより、農産物は価格低下の一途をたどり、成長性が見込めない。
第3章:インフレとデフレのメカニズム
ここでは、資産家階層・企業家階層・消費者階層の3層構造でインフレ・デフレの利害関係をまとめているのが新しい知見。インフレは、資産家・昇久階層は損する一方、企業家階層が得している現象という認識でひとまず良いのでは。
どうも最近の暴力的なインフレは、消費者たる私は苦境に直面しております。
第4章:貿易はなぜ拡大するのか
自由貿易体制は関税を撤廃することで先進国の安価で質の良い商品が流入し、発展途上国の自国産業の発展を阻害する危険がある。「先に二階へ上がったものがはしごを引き上げてしまう」制度である。
インターネットの登場で最近では国対国の貿易ではなく、より部分的なつながりで利益を共有する方法というものある。
軽く飛ばして、
第8章:仮想通貨とブロックチェーン
ブロックチェーンの台帳にタグ付け、ハッシュ関数の利用、ナンスの活用という説明で、大方理解が深まった。
マイナーは何してるんだろ?にたいしても、新しいブロックチェーンの創造と報酬としての仮想通貨の入手でだいたいイメージつかめた気がする。
最終章の経済界の縮退に対する危機感は、理論ぽくなってきて理解が難しい。しかし、現在の自由主義経済の中における飽和であるがゆえの虚無感、一般意思(理想)ではなく全体意思(欲望)を追い求めているが故の束縛感というのはまさに自分が感じていることだし、現代人の根本的な課題なのだろうと思もう。徹底的な個人主義ではなく、他社との関係性により吸気口を共有し息詰まりな状態を打破するいった方向性は、非常に共感します。しかし、個々人としてどういった生活を営めばよいか、生きるとは、悩ましいところですし、今話題のポスト資本主義というテーマが注目される現代、一つの転換点なのかもしれません。
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こんなにわかりやすい本に出会えて感謝。疑問に思っていた貨幣制度や金本位制のことからビットコインまで分かりやすく書かれている。何冊か購入して周りに勧めている。