紙の本
ボローニャの吐息
2020/09/07 13:38
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこの国にも通じる人生のほろ苦さを描きながら読後感は爽やかで、とても読みやすいです。長年住んでいるとはいえこれだけ多くの人を知り、その人生を描き出すことが出来るところがすごいと思います。
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イタリアに住んでいたからこその内容も多いのだが、報道関係者らしさが際立つ。たまたま行き会ったような相手と、気がつくと名前からその人のストーリーから聞いていて、それでまた彼方へ此方へと誘われる。きっと明るく人好きのする方なのだろう。そうやって並べられた事柄に文学的な叙情をひとふり、読みやすくて気軽に楽しめる。
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15の話からなるエッセイ集。
15話にそれぞれ味わいがある。感想を2つほど。
■色に舞う
旅先のモロッコ・マラケシュでの経験を書いたもの。筆者にとって、マラケシュは初めて訪れる場所。
何かドラマティックなことが起こるわけではないが、そこは筆者にとって、何もかもが全く異質な場所だった。慣習も街並みも人々も。その異質さを文章で表現しようとされている。とても難しい作業だと思うが、うまく伝わってくる。
■ハッピー・バースデー・トゥー・ユー
古い知り合いの老いた俳優、ピエトロを地方都市に訪ねて行く。
ピエトロは90歳。人気があり有名だった若い頃に比べると、何もかもがくすんで見える。
ピエトロの自宅での食事中、ピエトロは、彼の息子が訪ねてきたことを話題にする。ピエトロは普通の家庭生活を送った訳ではない。多くの女性との間に多くの子供をもうけている。実際、ピエトロは訪ねてきた女性との間に子供がいたことを知らなかった。
ピエトロの息子は、ピエトロの90歳を祝って、ピエトロを主役とした劇の上演を企画・手配してくれる。しかし、ピエトロにとっての本当のバースデープレゼントは、劇の手配ではなく、息子そのものだったのではないか。
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仕事柄、折に触れてイタリア人とやり取りをするが、さっぱりとした気質の人間が多いイメージを私は持っている。今作はイタリアの【美】にまつわる全十五章の随筆集。日常の新たな出会いに古代及び現代イタリア史を織り交ぜ、地続きの今を生きる人々の暮らしに根付いた美意識を情感たっぷりに解き明かしていく。今作も内田さんの観察眼は冴え渡るが、それ故に時折冷徹な視点も顔を覗かせる。情景が頻繁に切り替わる小旅行記が続くのは少々退屈だったが、後半四章の仕上がりが正に絶品。今作を総括する様な作品が成るべくして表題作になったのですね。
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ボローニャと聞かれてイタリアのどこかすぐに分かり、ナポリと言われてすぐにここだよって指させる人ならもっと楽しめたと思う。
エッセイではなく小説かと見紛うくらい文章が精彩に溢れている。けれど知識に乏しい私にとっては分からんカタカタも多く、前半は字面を追ってるだけになってしまった。
後半は何故かだんだんと移入できた。たまに凄くハッと共感するような言葉が登場する。そのような文に出会えたのがこの本を読んでの収穫かな。
もう少し知っていれば、イタリアの風を感じられそうな本でした。