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図書館で運良く新刊を借りる事ができました!
ある1匹の多聞という名の犬が、何かを目指し、渡り歩く物語。
その間に人と出合い、一時の飼い主が現れ、その飼い主ごとに描かれた連作短編のようにも思えるけれども、ちゃんと続いているお話です。
それぞれの飼い主には独特の人生があって、その人生を犬と共に見事に表現されているのには頭が下がります。内容も興味深く面白いです!
そして多聞が目指していたものには、涙なしでは読めませんでした。多聞のひたすら純粋な思いとまっすぐな行動に脱帽し、胸が打たれます。
一気読みできます。
あまり他にない、素晴らしい1冊です。
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馳星周、やっと直木賞。自分的には不夜城や夜光虫で取って欲しかったと思う。
どちらかというとダークな内容の小説が多かったが、この小説は犬に対する優しさが滲み出ている。
それも単に優しいのではなく、何も言わない多聞(犬の名前)の強い意志を描き切っている。
そして東日本大震災との関係が。
馳星周好きには物足りないかもしれないけど、心地よい作品です。
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馳星周さんは、ノワール小説のイメージが強く、きちんと読んだことが無い作者さんだったが、
犬と人々の絆を描いた作品、ということで、ずっと気になって読もう読もうと思っているうちに、直木賞受賞が決まった本作。
選考委員から「犬を擬人化せず人間のストーリーとしたのが優れており、余分なところがない作品」との評価だったそうだが、正にそうだな、と感じた。これが、多聞を擬人化して、多聞目線で描いてしまっていると、ファンタジー要素が出てきてしまって、色合いがだいぶ違う作品になってしまっていただろうな。
この作品で印象的なのは、多聞と出会い多聞に心ひかれる人間たちが、必ずしも幸せになるわけでは無いことだ。これも、犬を擬人化しなかったところにも通ずるのかもしれないが、出会う人が皆、心を洗われて善人になって生まれ変わった幸せな人生に変わる物語は、それはそれで、ハッピーでほっこりするのだろうが、そうでないところが、人間味であり、人生だな、と哀しくも納得してしまうのだ。
そして、
ハッピーエンドを迎えられなかった人たちも、多聞と出会い、賢さと無償の優しさに触れ、人間同士では感じることが出来ない愛情を感じ、心に大きな変化をもたらしたことは間違いない。
読みながら、何度、多聞を抱きしめたくなったことか。犬は本当に、愚かな人間のために神が遣わせた、人間を救うパートナーなのかもしれないな。
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私の中では馳星周さんは良き犬の本の人。
メインはノワールな世界観の人なんだと思いますが、あくまでバーニーズの人。
それが犬の本で直木賞だなんて。
もう肉眼で捉えられないくらいハードル上がってます。
「人という愚かな種のために、神が遣わした贈り物」もう帯の段階でグッときちゃってます。
人間本位な考え方ですが、古代より今日に至るまでパートナーであり続ける犬はまさに神からのギフトなんですよね。
本文にも帯コピーと似た一文がありますが、本当に犬好きにとってはわかりみ深すぎる描写が多すぎて首の上下運動と「くぅぅ〜!」が止まらないです。
短編だとばかり思っていたので、ひとつめの「男」パートで「えーーー!」ってなって「泥棒」で「あ、続くのね!」と安心しました。なんかこの段階でもう読み終わってしまうのが嫌になってる(早い)。
中盤ではむしろ多聞は死神なのではと……。「夫婦と犬」に関してはまだモヤモヤしてます。
タイトルの「少年」パートは終着点であることもあり、他とは段違いにストーリー性が高い。ずっと敷き続けてきた伏線もしっかり回収された…わけですが…。なんだろう。ちょっと神がかりすぎているというか。犬の記憶力に関しては十分あり得るとわかってる。でも目標の感知能力に関しては……もうちょっと現実的な理由付けが欲しかった気もします。
とはいえ、犬へのリスペクトはもちろん、それぞれのキャラクターの精緻かつリアルな描写、震災の恐怖やトラウマ。読みやすさも含め十分な良書でした。「男」の姉を皮切りに、「泥棒」や「娼婦」、「夫婦」に「老人」の周りの、彼らと多聞の絆を知る人たちから「少年」へと、多聞の軌跡が届けられる未来に読者みんなが想いを馳せられるでしょう。
日本中で、多聞と名付けられる犬が爆増すること間違いなしですね。
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じんとくるんねぇ。各章で犬がそれぞれに重要な位置づけにされ、人それぞれの過去や人生と交錯していく。
賢い犬が何を比喩しているか、今の社会生活ではこういう頼りにしたい存在を必要としているのでは。
とても読み進めやすく、ドラマティックと哀愁に溢れる作品でした。
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最終話を読んでいたら、直木賞受賞の速報が入ってきました。受賞おめでとうございます。
作者の馳さんの犬のお話は拝読するのが3作目で、私が言うのもおこがましいですが、着実に腕を上げられていて、受賞にふさわしいと思いました。
物語は、東日本大震災後、半年の仙台から始まります。
母と姉と暮らす青年、中垣和正が駐車場の隅で見つけたシェパードに似た牡犬の多聞という名札をつけた犬。
認知症の和正の母が、昔飼っていた犬のカイトと間違えて、「カイトかい」と多聞と一緒に過ごすのをものすごく喜ぶようになり、和正も姉とともに幸せを感じるようになりますが、和正は震災で職がなく、悪い仲間に唆されて、悪事に手を染めていきますが…。
一方多聞は和正の仕事仲間のペルシャ人のミゲルの手に渡り新潟へ。
多聞はいつも南の方を向いています。「南に誰かいるのか」と飼い主は尋ねますが…。
多聞は、富山、大津、島根と、その時々に出会った人々に愛され、皆に色々な名前で呼ばれながら、震災から5年後の熊本で一人の少年と出会います。
そして、奇跡が起こったのです。
涙なしには読めないけれど、最高の1冊でした。
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内容(「BOOK」データベースより)
家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。犬を愛する人に贈る感涙作。
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第5章「老人と犬」まではイヤミス的な展開を見せる。
多聞が何故、南へ向かおうとするのか謎を残したまま(徐々に明らかになりながら)。
そこまでの流れでは多聞は「守護神」と言うより「死神」みたいな印象。
それが最後の章「少年と犬」で一転。感動系のストーリーに早変わり。
見事だけど、先が読める展開だったかな。
犬は昔飼っていたし好きではあるのだけど、それを足し算しても、個人的には受賞作には当たらない。
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一匹の犬多聞を巡る物語。
「そばにいるだけで、人に勇気と愛を与えてくれる」「人の心を理解し、人に寄り添ってくれる。こんな動物は他にはいない」「人という愚かな種のために、神様だか仏様だかが遣わしてくれた生き物なのだ」
犬を賛美する宝石のように言葉が全編に散りばめられている。
人の笑顔を引き出し、孤独を癒し、優しい気持ちにさせ、幸せな時間を与えてくれ、時には善悪の判断を促す。
6話どれもが胸を打つ。
老人が「孤独と死の匂いを嗅ぎ取ったから。
孤独を癒し、掛けられない死を迎えるその時のために、家族探しを中断してそばにいるのではないか」と語る。
そう思う。多聞が経験したことを考えると、きっとそうなのだろう。
最後はもう…
電車の中で読んでなくて良かった。
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一気読み。
馳作品は、多分初読み。この著者には、ハードで暗いイメージを持っていたが、思った以上に感動的。
我が家も犬を飼っているが、多聞と比べると情け無くなるほど、出来がわるい。でも、戯れてくるだけで癒される。読み終わった後、いつまでも元気でいろよと、我が家の犬を撫でた。
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多聞と言う犬に出会った人達が亡くなると言うのは心苦しく思ったけど最終章で、これこそ絆なんだろうなと思いました。
ラッシーと言う犬を蘇らせてくれた本でした。
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最後の章が切なくて喪失感で泣きました。感涙必至!読んで良かった!
でも…その前章までに出てくる人物や会話が、ステレオタイプで、リアリティが感じられなくて残念な感じ。多聞も色々と奇跡的すぎてこれもちょっと…。最終章を読んだ後なら、そこにたどり着くまでのこととして、あまり気にならなかったかも。
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借りていたけど…進まないのでこのまま返そうかなーと、思っていて、受賞のニュースが。
一応読んでおこうかなーと気持ちあげて進むと、おや?面白い!最後は涙…でした!
映画にしたら面白いと思う。
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多聞という名の犬を狂言回しにした6本の短編による連作長編。昨年、テランの『その犬の歩むところ』を読んだとき、「ギヴという名の犬を巡る奇跡のような物語」と書いたが、本作も同様……いや、それ以上に奇跡のような作品だった。すべてが明らかになる「少年と犬」では、わかっていながら泣けた。
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死の匂いを嗅ぎ付ける犬、裏を返せば不幸を呼ぶ犬。最終章の手前まではホラーなんじゃないかと読み勧めたが、ラストで大きく(悪い意味で)裏切られる。
そういう展開になるまでの描写が不足しているし、そうなるなら、そこまでにそんなに人殺さなくても…