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日本が舞台となる小説が英語で書かれているのは不思議な感じ。そして私は在日朝鮮人についてわかってなかった事がよくわかった。
当時の日本と朝鮮の歴史を考えれば、決して良くは描かれないだろうと思い、覚悟して読み始めた。ソンジャの強さとイサクの優しさに救われた。朝鮮でキリスト教がこれほど深く根付いている事もなんだか意外に思ってしまったが、それも私の思い込み。イサクの兄ヨセプやその妻キョンヒが大阪で狭い我が家に弟夫婦を共に住まわせ助け合って生きて行く様子は家族愛に溢れている。
朝鮮人に対するいいイメージも悪いイメージも描かれていて、確かにこんな感じ、と思わせる。日本人の差別的で非人間的な態度には辟易としたが、今も大差ないか。
アメリカの人はこれを読んで、どんなふうに感じるのだろうか。パチンコは韓国にはないと聞いたが、アメリカにはあるのだろうか。当然ながら、パチンコのせいで不幸になる人がどれほどいるのか、とかは描かれない。どこの国にもギャンブルは存在するからなのか。
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こんなにも心揺さぶられた小説は久しぶり。特に、可愛らしく素直で優秀だったノアの辿った運命が衝撃的だった。
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一気読みさせる面白さ。
イ・ミンホ主演で映像化が進行中だそうですがハンス役は伊勢谷友介がピッタリなのに…
残念ですね…
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在日コリアンの物語でもあるけど、女の人生の物語でもあるなと思った。大河ドラマのようでものすごいページターナーです。
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圧倒的な物語の勢いでぐいぐい進む大河小説。感想はまとめて下巻へ。
まだパチンコ屋はチラッとしかでてこない。
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うーん、まだ上巻だけだけど圧巻の一言。早々と2021年読めてよかった作品の一つにあげる。
在日コリアンって、私の中でピンときてなくて接点がなかったから知ろうともしてなかったこと。ずっとそれは良くないなと思っていてたまたま和訳された本に刊行後すぐ出会えてよかった。
どの時代に生きてもどの国に生まれても女性はやはり苦労が多い。身体的な特徴により、男性よりはるかに負うリスクが高い。日本が植民地支配に血なまこになっていた時、もし自分が相手国の農民だったらはたしてどんな人生を歩んでいたか。子供がいる今、どんな時代に産み落としたとしても、親として子供を生かし守りよりよい人生が送れるように願うものだとわかるからこそ、ヤンジン、ソンジャの苦しみの欠片を味わうことができる。私が生きるこの生活の中で、"死ぬもの狂いで"何かをしたことがあっただろうか。
人生は運である。誰と出会い、何を決断し、どう運んでいくか。自分でコントロールできないものに抗うことを早々に諦めざるを得ない時代の中で、その日の愛する家族の者たちの食料を調達すること、日銭を稼ぐこと、自分の命をなんとか転がしながら我が子の成人を見届けられるように血の汗を流しながら踏ん張ること。
平和な時代に生まれ、史実を知ることより今の生活をどう潤わせるかの情報が錯綜しがちな昨今、こういった作品を読むことで、限られた人生の中で何を大事にして生きていくか、考えるヒントがある気がする。
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物語は、1910年の釜山から始まる。
島で下宿屋を営む夫婦のひとり娘・ソンジャは
16歳で、妊娠。
相手は既婚者だった。
その後出会う若い牧師・イサクは
ソンジャとお腹の子を救うべく大阪へと移住する。
在日コリアンとしての物語は始まった。
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一つの家族の4世代に渡る生き様を、様々な人物の目線から描いた大作。
それぞれの時代の主人公の心情を詳細に描く一方で、各時代の人々の考え方や、社会問題も取り上げている。
長編小説を読んだのは久しぶりだが、ぐいぐい引き込まれて、あっという間に読み終えた。同じ女性として、各時代の様々な女性の生き方に共感と反感が、尊敬など、大きく感情を揺さぶられた。
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釜山沖の影島(ヨンド)のキム・フニが27歳になった1910年、日本が大韓帝国を併合。
翌年、15歳のヤンジンと所帯を持つことに。
フニの両親が亡くなった3年後に、4人目の子供にして初めての女の子、ソンジャが誕生。
ソンジャが13歳の冬、結核でフニは息を引き取る。
母子はささやかな下宿屋を営んで生計を立てていく。
そこに日本との貿易を営むハンスが現れる。
ソンジャは恋に落ち、ハンスの子を身籠もる。
だが、ハンスには日本に妻と3人の娘がいた。
「あなたには二度と会わない」
妾になることを拒否したソンジャの前に、若き牧師イサクが現れる。
ヤンジンとソンジャを命の恩人と慕うイサクは、ソンジャと所帯を持ち、大阪の兄夫婦を頼って来日する。
生まれた男の子はノアと名付けられた。
何よりも家族を大切にし、そのためならすべてを捧げても悔いはないと生きる人々。
親子四代に渡る、人間模様。
戦争と差別と宿命に翻弄されながら、目の前の現実を生き抜いていく人々の美しさと強さと逞しさ。
戦争ほど、残酷なものはない。
戦争ほど、悲惨なものはない。
民衆は生きて生きて生き抜いていく。
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(上下巻で同じ感想を投稿しています)
何年間に一回レベルの深い読後感。
4代にわたる在日朝鮮(韓国)人のクロニクル。
国単位の外交関係として見れば、日本人にしてみればかなり頭にくることもある存在ではある。
しかし、そこから心ならずも移住してきた人々に対して、我々(協調性が高く、言い換えれば同質性が強く、和を重んじ、言い換えれば異物を排除したがる日本人)はどのようなまなざしを向けてきたのか。
そうした中で、貧しい人々はどのように苦しみ、耐えてきたのか。
イサク、そしてその「息子」(でなくてなんなのだ!)ノアの人格の気高さ。
ソンジャのあふれだす人間味。モーザスの生きる力。ソロモンの絶望。
割とストレートなセックス描写も、まっとうな生への渇望として美しくさえ見えてくる。
ここで描かれているのは、ある意味ではマイノリティに生きる人たちに普遍的なテーマなのかもしれない。だからこそ移民国家の米国であれほどまでに話題になったのだろう。だが、「だから日本もしょうがない」では絶対済ませてはいけないこともある。
ラストシーン、カズオ・イシグロを彷彿とさせる。なんだったかな、「私たちが孤児だったころ」だったか、「日の名残り」だったか。あるいはそれが混ざり合っているのか。年老いた老婆と慰めの言葉をかける初老の男性。静かな結末。
「苦生(=苦労)」に一生をささげたソンジャが夫の墓で行う行為に、読後しばし沈黙。
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戦争後の貧困や差別など
見ていて苦しくなるかと思いきや
ソンジャの真っすぐさがページを引っ張ってくれる
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同僚からのオススメ。
いやぁ。世界が絶賛する理由がわかった。
でも、解説にも書いてあったけど「日本人」と「韓国人」と「外国人」では捉え方は全然違う小説なんだろうなぁ。。。
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日経新聞の書評かなにかでオバマ元大統領の推薦図書と知られているとあり、本を手に取る。久し振りに筋書に引き込まれる。物語は、韓国から始まり、日本に渡った在日コリアンの人生ドラマ。謝罪問題で軋轢のある今の日韓問題も頭に浮かび、差別問題や貧困の苦しさを感じながらページを進めて行きました。それでも主人公ソンジャの家族に対する愛情に救いを感じつつ読了。下巻が楽しみ。
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少し前に話題になっていた本をようやく手に取った。
日本における在日韓国人の苦悩だけでなく、ジェンダー格差や偏見や戦争の話などが盛りだくさんで夢中で読んだ。
韓国文学特有の、詩的な表現も美しい。
部ごとに引用されている言葉も素敵だった。
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上巻は韓国併合から終戦後まで。時代の激流を生き抜く韓国人一族の物語。いわゆる恨を煽る書きぶりはありません。登場人物には豊かな個性があって、作り物ではない存在感があります。併合当時の韓国は貧しくて識字率が低いが、働き者ですね。高級時計をめぐる質屋での駆け引きは臨場感がありました。男尊女卑は強烈です。大阪の鶴橋や猪飼野の雰囲気、戦後の都市部を韓国人が支配していく様子などよく調べています。一方、日本人の嫌らしさの描写は抑えた筆致です。歯切れのいい文体でドラチックに展開し、エンターテイメントとしての満足度が高い。下巻が楽しみです。日本人作家もこのレベルで、戦時中を全財産を没収され収容所で過ごした日系家族のサーガが書ければいいのに。