紙の本
豪華な不気味さ
2020/08/26 14:06
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投稿者:gonta - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマで気になった由利麟太郎シリーズ、ぜひ原作を読んでみたいと思って手に取った。
金田一シリーズとはまた違う、華やかで少し気味の悪い犯罪小説といった雰囲気が面白い。
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ドラマ化ときいて読んでみた。
中編「白蠟変化」と短編「焙烙の刑」「花髑髏」の由利先生シリーズ3編収録。
分量的にも内容的にも「白蠟変化」が印象深いので、なぜ表題をこっちにしなかったのか謎。
金田一シリーズと違ってかなり通俗的なスリラーで驚いた。面白かったが突っ込みどころ満載。特に白蠟三郎の存在感がすごすぎて、由利先生はほぼ空気。そして最後のオチは笑った。
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長編「白蠟変化」、短編「焙烙の刑」「花髑髏」の
計3編収録。
いずれも名探偵・由利麟太郎&新聞記者・三津木俊助のコンビが活躍するが、
ドラマ化された「花髑髏」に辿り着くまでが長かった……(苦笑)。
以下、各編についてネタバレなしで少々。
「白蠟変化」
タイトルの読みは「びゃくろうへんげ」。
1936年『講談雑誌』連載。
男女の愛憎入り乱れる中を飄々と飛び回る怪人・白蠟三郎。
悪人だが意外にしおらしいところもある(笑)し、
妙な哲学を持ってもいて、
愛する人の冤罪を晴らそうと必死になっていた女性をいじらしく思ってか、
妙な気の回し方をする、という……。
一人二役や悪漢の跳梁ぶりは非現実的だが、
エログロナンセンス活劇として愉快に読めてしまった。
が、最後の由利先生と俊助の溜め息がほろ苦い。
「焙烙の刑」
1937年『サンデー毎日』掲載。
タイトルは、中国古代・殷の紂王が行った火炙りの刑のこと。
俳優・桑野貝三は画家・瀬川直人と結婚した
又従妹の葭枝から相談を受け、
奇妙な事件に巻き込まれた――。
桑野が賢明にも、それを友人・三津木俊助に打ち明けたことで
由利麟太郎が担ぎ出され、事件は解決するが、
年の離れた妻の日記を読んで嫉妬に狂った夫が
手の込んだ策を弄するところが奇怪、気色悪い。
「花髑髏」
1937年『富士』掲載。
精神科医・日下瑛造が殺害され、養女・瑠璃子は負傷。
瑛造の息子・瑛一、日下家の書生・宮園魁太、
瑛造の友人・湯浅博士に疑いの目が向けられ……。
ドラマを先に観てしまったが、充分に楽しめた……
というか、やはり別物である。
バス停の名前に変更されていた「二本榎」が
本当に二本の木だったところで、ちょっと笑ってしまった。
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全三編ありますが、どれも男女の恋愛が発端となっているのが面白いです。
中でも『白蠟変化』は、終盤の無情感が好きでした。しかし、由利麟太郎や三津木が活躍するというよりかは、白蠟三郎の暗躍がメインです。
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奇想天外で愉快。
色んな要素を詰め込んだ1冊。
横溝正史さんもノリノリで楽しく書いたんじゃないかな。
戦後間もないあけすけな明るさと東京区内にシンと沈む街と鬱蒼と茂る樹木の作る暗闇が見える。
現代ではなかなか出せない世界観は流石です。
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初めての由利・三津木シリーズ。
戦前のこの時代特有の、不自由さや因襲が恐ろしく薄気味悪い。令和版のドラマも面白かったけど、原作はやはり格別。横溝先生の描く美男美女と怪人はそこにいるだけで背筋が凍るよう。
エロスとグロテスク、人のおぞましさに立ち向かう由利先生と三津木くんが格好良いです。
展開がスピーディでとても先を読めない。由利先生の慧眼に感服するばかり。
三作とも、とても面白かった。
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短編集。
どちらかといえば表題作よりも、白蠟変化が印象的。
映像化したら迫力がありそうな気がする。心理的な要因が大きいのにビジュアルでぐっと惹きつけるような。所謂、犬神家的な要素を強く感じました。