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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この竹中さんの講義を聞いたことがある。お笑い芸人のことを結構わかりやすく笑いも交えて語っていたように思う。その竹中さんが闇営業問題について、どう語っているのか、読めるのが楽しみだ。
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これまで吉本興業をテーマにした著作を結構読んできた。書棚の一角の芸能・演芸本コーナーには、山崎豊子『花のれん』・難波利三『小説吉本興業』・西岡研介『襲撃-中田カウスの1000日戦争-』・常松裕明『笑う奴ほどよく眠る-吉本興業社長・大崎洋物語-」・増田晶文『吉本興業の正体』が並び、山平重樹『神戸芸能社』にも吉本興業は登場し、山口組との根深い関係が紹介されている。
本書の第1章タイトルが『ファミリーの崩壊』。吉本せいや桂春団治の口差押え事件あたりから、ゆっくりとこれまでの歩みを触れると思いきや、昨年世間の話題をさらっていた『吉本所属芸人による反社会勢力会合に参加した闇営業問題』に触れる。確かに、ここ10年だけでも創業家のお家騒動・中田カウス暴行事件・島田紳助の暴力団と「黒い交際」発覚による引退など、血生臭いトラブルが多発した吉本興業。元広報マンとしては避けて通るわけにはいかない大テーマだったことがわかる。
著者は2015年に退社するまでの間、数々の謝罪会見を仕切ってきた。その豊富な経験から『謝罪マスター』の称号を持つだけに、隠さず、ボカさず、はぐらかさず淡々と語る。それは芸人だけでなく歴代社長や上司にも言及。
そして、本書後半には再度、令和元年のあの騒動に筆を執る。松本人志が『(昨今の吉本興業に対し)
芸人がいての会社。芸人ファーストじゃないと意味がない』と語った。確かに尤もな話。かつては商品である芸人を極めて大事にしてきた。その最たる例が横山やすし。暴言・暴力・酒酔いで生放送に出演…再三不祥事を起こすも守りに守った。
そんな企業風土を持つ吉本が近年罹っているのが
『商品(芸人)供給過多病』。『足りない商品を増やす』戦略から生まれた吉本総合芸能学院 NSC〉の創設の功罪。ダウンタウンを筆頭に師匠を持たない所謂『無印芸人』が増えに増え、今や所属タレント6,000人。そこを出たところで、プロの芸人という免罪符を得たわけでなく、あくまでも〈芸人の卵〉。芸人として飯を食っていけるのはわずか。そんなことは端からわかってるはずなのに、宮迫問題はいつの間にか吉本の企業体質への糾弾、ギャラが安過ぎる、売れない芸人の生活保証をしていない、ひいては吉本はブラック企業という話にまでに拡大していったことは記憶に新しい。
それって『あっ!東京タワーにゴジラが!』と同じ。50m・2tの巨体が東京湾から上陸し、東京タワーにたどり着くまで誰にも気づかれなかったの?とツッコミたくなる、アレと酷似していると思うのは僕だけかな?
冒頭に触れた第1章の『ファミリーの崩壊』は、通読すれば、本書の通底テーマであることが分かる。芸人と社員が家族のように触れ合い、それが『書類なき契約関係』という形態が吉本の常識、世間の非常識となり喧伝されることになった。
本書には掲載されてはいないが、上岡龍太郎の芸人論が腑に落ちる。『ヤクザも芸人も根が一緒。元々同じタイプの人間。できるだけ楽しくしたい、皆と一緒のことはしたくない、それでいてチヤホヤして欲しい、お金はようけもらいたい…。ほとんどこういう考えの人間が芸人とヤクザになる。ただ、向こうは腕が達者で、こちらは口が達者というだけ』。
この私家版吉本企業史を総覧すると、契約書がないとかギャラの配分率が9:1であるとか言われる…、『アバウトさやカオスさは芸人の世界』と思っていたのは、100年企業 吉本の刷り込みしたものだったんですな。
以前のお家騒動から打ち出した策が上場廃止であり、コンプライアンス遵守であった。昨年の騒動しかり、これまでの騒動やトラブルのほとんどは『組織内』に起因し、それを解決するに当たり、戦略的に『広報』活動を行い、結果『焼け太り』となり、乗り切ってきた。
松ちゃんから突きつけられた『芸人ファースト』をどう解釈し、ブラック企業の汚名を宮迫氏への意趣返しとして『オフホワイト』まで薄め、大変貌を遂げるのか、気になるところ。
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興味深い既述も多くあったが、今揺れている吉本興業について『吉本興業史』と名付けたにしては物足りなかった。
「私の吉本格闘史」とかだったらまーよかったけど
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吉本興業史
著者:竹中功
発行:2020年6月10日
角川新書
吉本興業で社員として長年広報を担当してきた著者が、興業の世界そして吉本と、裏社会との繋がりを明かす、みたいな触れ込みだったこの本だけど、読んでみると全然、報道されている範囲のことを振り返っている程度の本だった。著者は1992年刊行「吉本八十年の歩み」(非売品)と、2017年発行「吉本興業百五年史」(1万500円で販売)の両方の編纂を担当していたと書いているが、それを自分なりに200ページ余りにまとめて新書にして個人的に儲けているという、銭になるならなんでもやろうという吉本精神そのもので上梓した本みたいな・・・
出だしこそ、去年2019年の闇営業問題からスタートしているが、それとても報道されている以上に掘り下げたことはなし。それ以前に起きた、中田カウス襲撃事件と島田紳助引退騒動の取り上げについても、またしかり。まあ、当時の報道にあまり興味がなくて断片的にしか知らなかった人には、まとめて歴史を振り返ることができる内容ではある。
本の内容は、そうした裏社会とのつながりとは関係ないことがほとんど。吉本の創業者の一人、吉本せいの弟で、後に社長や会長になった林正之助のワンマン経営ぶりとその功績などが中心。細々とした裏話やこぼれ話が知りたいなら興味が持てるが、まあ、それだけの本だった。ただし、著者が新入社員なのにいきなり「マンスリーよしもと」の初代編集長を仰せつかって「できません」と言ったときに、「大丈夫や、吉本に編集長なんかしたのはだれもおらんから」と言われたり、NSC(お笑い学校)の創設を命じられたときにも同じように「そんな学校やった人間は誰もおらんから」と言われたりした、そんな精神は僕にはとても共感できる部分があった。経験者依存の安全策だけでは、なにも新しいものなんて生まれない。
****(こぼれ話)*****
1986年作成、兵庫県警「広域暴力団山口組壊滅史」に「山口組準構成員 吉本興業前社長 林正之助」と書かれている。
橋本鐵彦は創業一族ではなく社長になった最初の人。万歳と呼ばれていたものを漫才としたのはこの人。
吉本興業が「大日本東京野球倶楽部」に出資して株を保有していた事実はあまり知られていない。大日本東京野球倶楽部はのちの読売巨人軍。
創業者吉本せいが山口組二代目の山口登組長と関わりを持ったのは、浪曲師、広沢虎造の興行権を求める交渉のためだった。「馬鹿は死ななきゃなおらない」「寿司食いねえ」などを流行語にしていた虎造。二人は1934年に初めて会い、38年に契約に至った。
江利チエミはデビュー当時、吉本に所属していた。ミヤコ蝶々も吉本に所属していた時期があり、二代目ミスワカナになっている。
アメリカから力道山が帰国し、「日本プロレス協会」を設立して行った初興業に吉本は協力した。「シャープ兄弟」との対決があった歴史的興業。正之助も弟の弘高も取締役。
仁鶴は師匠の松鶴に弟子入りした時、師匠と同じ松竹芸ではなく吉本に所属したのは、自分のキャラクターは吉本向けではないかと自分で考えてのことだった。
横山やすしは、松竹から「堺伸スケ・正スケ」という少年漫才でデビューし(やすしは伸スケ)、2年で解散、横山ノックに入門して横山やすしに。吉本に移籍し、レツゴー正児、横山プリンと相方を変えて、1966年に西川きよしと組んだ。
吉本のテレビ制作会社「アイ・ティ・エス」は「吉本テレビ制作」と封筒に併記されていたので、それを持って歩いていると「自宅のテレビが映らないので直してくれ」と言われることもあった。テレビの制作会社の存在が世間では全く知られていなかった。
「勉強できん奴は吉本しか行くことないぞ」「お母ちゃんの言うこと聞かんかったら、吉本に入れるで」と大阪の子供たちは言われた。
当時役員だった中邨秀雄(後の社長)はこう教えた。「カネを払って新聞に記事が載るのは広告。カネを払わず新聞や雑誌に記事を載せてもらうのが広報」
NSCの第一期にDJコースがあった。入学してきたのはハイヒールのりんごひとり。しかし一人だけだったのでそういうコースを提示していたこと自体を忘れていて、本人から「いつになったらDJコースの授業があるのか」と言われ、やっと思い出し、「お笑いで人気者になればすぐにDJの仕事もできるようになる」と誤魔化した。
吉本新喜劇が飽きられて客が入らなくなっていた。1987年のNGKオープンこけら落とし興行でも新喜劇は行われなかった。
1987年、吉本興業の芸人たちが3年前に行われていた一和会系・白神英雄会長の誕生日に出席していたことがスクープされた。大物KとTとTが実名報道されたが、ビデオテープを見ると大物Hも写っていたので先手を打って謝罪会見。今も大物として生き残っている。
(寛平、結城哲也、坂田利夫)(月亭八方)
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いつも聞いているpodcastに著者の竹中功さんが登場して、本書の内容のさわりを紹介していました。それでちょっと興味を持ったので手に取ってみました。
竹中さんは、30年にわたる吉本生活で様々な企画に関わってきましたし、その中でクレーム対応も担当していたとのことですから、紹介されているエピソードはどれをとってもそれはそれは“濃い”内容です。
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文字通り、吉本興業の芸能史。
昨今の反社会勢力との話もあったが、そもそも芸能と反社は切っても切り離せないものであったことがよくわかった。
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宮迫事件後、松本事件前に書かれた本。著者の竹中功氏は吉本を退社しているとはいえ、まだまだ愛社精神が存分に有ることがわかる内容だった。
ずっと広報を担当していただけあって、吉本興業の会社PRのような内容。
吉本を退社した立場だからこそできる元広報マンからの視点を期待していたが、そうではなかった。